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咲瀬町の小さな物語  作者: しょーたろー
第二章 Re:Member
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第二章 Re:Member エピソード22 Woman heart and autumn sky

お久しぶりです。

どうぞ読んでください。

ここはどこだ?

瞼から差し込む月光はどこか懐かしく思えた。手も足も動かないのを理解するにはそこまで時間はかからなかった。頭を動かして回りになにがあるのかを知る。

見たことの無い医療機器に窓に天井。どうやら俺は入院しているようだ。

何が原因で入院しているのかは分からない。なんで手足が動かないのかも分からない。だけど、これだけは分かる。


今、起き上がって誰かに助けを求める時じゃない。

原因を探るのではなく残してきた真実を追求すべきだということを早くに理解した俺はまた眠りについた。


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


「・・・うくん」


「・・・ろうくん」


「・・・たろうくん」


「・・・うたろうくんってば」


「良大朗くん!」


誰かが俺を呼んでいる。聞き覚えのある声、忘れていた声。忘れちゃいけない声。俺の身近にいた大切な人の声。


「綾瀬・・・さん?」俺がそう呼ぶと彼女は涙ぐみながら「心配したんだよ。」と言って抱きしめてきた。なんでだろう、久しぶりに暖かさを感じている。そんなに時間は経ってないはずなのに。


「俺、どれくらい寝ていたの?」そう聞くと彼女は「3時間くらい」と返事した。綾瀬さんはなにがあったのかを詳しく説明してくれた。

どうやら俺は急に倒れたみたいだ。倒れてすぐに意識がなかったみたいで沢山声をかけたみたいだが反応がなかったのだ。声を聞いた近くにいた人達の協力により救急車で運ばれ入院することになったようだ。

なんらかの病気なのかと病院の先生は疑ったようだがどうやら違うみたいだ。原因不明もいいとこすぎる。

綾瀬さんは俺が起きるまでずっと一緒にいたみたいだ。やはり綾瀬さんは優しいし女神だし最強で最高だ!


「ところで綾瀬さん。俺なんかと一緒にいていいの?楽しみにしていた夏祭り終わっちゃうよ?」


せっかく楽しみにしていた夏祭りなのに俺なんかに時間を費やすなんてもったいない。

そう思ったから聞いたのに綾瀬さんは頬を膨らませそっぽを向いて「バカ。」と一言だけ言って帰り支度を始めた。


「もう帰るの?」


「帰るの!どうせ夏祭りも終わっちゃったしもう会う機会なんてないと思うけど!」


「なんで怒ってるの?」


「怒るよ!女の子の気持ちに気づかない蒲池くんなんてもう知らない!」


そう言って本当に帰ろうとしていた。ん?待て。待て待て待て!


「さっき良大朗くんって呼んでたのになんで蒲池くんって呼び変えるのさ!」


微かに聞こえたんだ。俺の名前を呼んでいる綾瀬さんがいたんだ。女の子に下の名前で呼ばれるのって嬉しいじゃん!最高じゃん!世の男子みんな思ってるよね?


「・・・嫌だ。」


「今の蒲池くんには呼びたくないし、また呼んだらどこか遠くにいってしまいそうだから嫌だ。」


そう言い残した彼女はいつものように笑顔で手を振りながらバイバイとは言わずに去っていった。

その言葉の意味を理解せずに寝ることにした俺は後の俺から嫌われることになる。


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


入院してから3日後健康状態が良好と判断された俺は無事退院しまた快適な夏休みを過ごすこととなる。大輔達と遊んだりもしたし宿題や受験勉強を頑張った俺の夏休みは結構充実していたと思う。

思い残すことがあるとしたらあの日から綾瀬さんとは連絡をとっていないし会っていないことくらいだ。


夏休みがあけてついに新学期!

また辛い学校生活が始まるのだと思うとめんどくさく思えてくる。


「行きたくねぇー。」


そう呟きつつも登校する俺はかなりの頑張り屋さんだと思う。

2学期は再確認の学期。

自分の限界や現状、目標を見直して過ごしていく学期だ。

自分のことをまだはっきりと理解していない俺にとってどんな生活が待っているのか楽しみでしょうがない。



読んでくださりありがとうございました。

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