第12話:ネクスト・ソリューションズの終焉と新たな芽吹き
第12話を読みにお越し頂きありがとうございます!
作者の独り言とアルムのつぶやきです。
金をため込み過ぎて還流が出来ていない輩のなんと多い事でしょうか。
試算によると現在流通している金は日本国内だと1600兆円、だが、企業や個人がため込んでいるいわゆる全く動いていない滞留資金は750兆円にも上るそうです。
また、アメリカなどでは富裕層内での循環経済だけで富をループさせ分配していて、市民にはいわゆるトリクルダウンは起きてこないのです。
統計によると世界のすべての富の約半分を上位1%の人間が牛耳っているのはある程度の方々は周知の事でしょうか?。
彼らの資産にほんの数%でも再分配させるだけで、世界中の貧困層・超貧困層のすべての人々が普通に暮らせていけるようになるというのにです。
障壁が多すぎるのだ、大国や先進国には富が集まりすぎなのに再分配しようともしない、途上国は政治の腐敗や独裁者による着服などにより寄付や送金は阻まれていて実際の生活者には届いていないのが実情です。
世界の金融の秩序を平定する方法を作るのが肝要だと思います。
『先日、俺がアルカディアテックの資金として送り込んだ金は今述べた滞留資金の更にその先の本当に死に金で誰も触れない金が120兆円あるうちの40兆円だけだったのだが、もっと言えば、タンス貯金などは俺でも触ることが出来ないし、伝説にもなっている徳川埋蔵金を例にとると、日本国内には敷地内に現金や地金などを埋め込んでいる例が枚挙にいとまがないくらいなのだ。』
では第12話をお楽しみください!
「1%の富裕層による富の独占とループ……そして途上国での腐敗による支援金の着服か。まさに『トリクルダウン』などというものが妄想に過ぎない証拠だな」
アルカディア・テックのCEOオフィスで、25歳姿の社長・縦溝巌が、DW-QCSのホログラムに描かれた世界の富の偏在マップを見つめながら深く吐息を漏らした。
「ああ。日本国内だけでも滞留資金が750兆円、世界中に眠る完全に誰も触れない『死に金』が120兆円……。先日、アルカディア・テックの活動資金として動かした40兆円なんて、そのごく一部に過ぎないからね」
アルムが静かに言葉を継ぐ。
「タンス貯金や地中に埋められた地金、いわゆる徳川埋蔵金のような物理的な隠し資産までは、さすがにデジタル金融網からは触れない。だが、上位1%の資産のほんの数%を正しく還元させ、途上国の腐敗した介入をスルーして直接人々に届ける仕組みを作れば、世界中の超貧困層は一瞬で救われるんだ」
「世界の金融秩序の平定……。まさにカルダシェフ・スケールType 0.7の泥沼を抜け出すための絶対条件だね」
巌が力強く頷く。
その傍らで、秘書の一ノ瀬ユミカがタブレットを手に、少し緊張した面持ちで報告を入れた。
「アルムくん、巌社長。買収が完了した旧ネクスト・ソリューションズの全社員が集まる、初の『全体朝礼』の準備が整いました」
「ありがとう、ユミカさん。まずは足元……僕たちがいたあのブラック企業を、完全に新しい『与え合う会社』へと生まれ変わらせようか」
◇
旧ネクスト・ソリューションズの大会議室。
そこに集まっていた数百名の社員たちは、不安と動揺でざわついていた。
自分たちの会社が突然、謎の巨大複合企業『アルカディア・テック』にTOB買収され、悪徳過社長と猪俣課長が失脚。
そして壇上に現れたのは――
「皆さん、おはようございます。アルカディア・テック代表取締役社長の縦溝巌です」
「「「かっこいいぃぃぃ……っ!!」」」
ビシッと仕立ての良いスーツを着こなし、25歳ほどの超絶イケメンへと若返った巌がマイクの前に立つと、社員たち(特に女性陣)から悲鳴のような歓声が上がった。かつて「閑職のハゲた中年部長」だった面影など微塵もない。
「今日から、皆さんが苦しんできたサービス残業、理不尽なハラスメント、そして低賃金による搾取はすべて終了します。当社の全社員の給与を**一律3倍**に引き上げ、年間休日を150日とします」
「「「えええええええぇぇぇぇぇっ!??!?」」」
会議室に、激震が走った。
「さらに、皆さんの日々の業務には、我が社が開発した『パーソナルAIコンシェルジュ』を導入します。面倒な単純作業や書類作成はすべてAIが肩代わりし、皆さんは自分の創造性ややりたい仕事だけに集中してください」
「き、給与3倍!? 休みが倍増!? AIが仕事を助けてくれる!?」
社員たちは互いの顔を見合わせ、感極まって涙を流し始めた。
ブラック企業の地獄で擦り切れていた彼らの心が、一瞬にして歓喜と希望で満たされていく。
「そして――」
巌の横に、CTOのアルムが歩み出た。
「旧ネクスト・ソリューションズは本日をもって解散し、新組織『アルカディア・ソリューションズ』として再出発します。僕たちが目指すのは、他社から案件を奪い合う仕事ではありません。世界中の歪みを正し、人々に自由と豊かさを『与える』仕事です」
アルムが静かに微笑むと、全社員の端末に新たな業務プログラムが送信された。
そこには、DW-QCSが提供する超効率的な教育システムと、無理なく高収入とやりがいを得られるプロジェクトの数々が並んでいた。
「す、すごい……! こんな会社が本当に存在するなんて……!」
「縦溝社長! アルムCTO! 私たち、一生ついていきます……!」
万雷の拍手と歓声が、会議室を揺らした。
最下層でモップを握りしめ、惨めな思いでその光景を遠巻きに見ていた悪徳元社長と猪俣元課長は、ぐぬぬと歯噛みしながら打ちひしがれていた。
「ふふ、社員みんなの笑顔……すごく素敵だね、巌さん」
「ああ。搾取の対象だった人間が、与える側に回る。これが資本主義の再設計の第一歩だ」
しかしその時――アルムの耳元で、DW-QCSが警戒のアラートを静かに鳴らした。
**『警告:ウォール街の巨大ヘッジファンド「ブラック・ロック・キャピタル」および国際金融資本グループが、日本市場への大規模な空売り攻撃を開始。目標:アルカディア・テックおよび関連金融ネットワーク』**
「……来たね。世界の富を貪ってきた、上位1%のマネーゲームの亡者たちだ」
アルムの瞳が、静かな、しかし圧倒的な青い光を宿した。
世界の滞留資金と死に金を解放し、金融秩序を平定するための「超次元マネーバトル」が、ついに火蓋を切る――!
(第13話へ続く)




