第133話 外さない部品の図面
現在の満タン便に、すでに取り付けられている部品。
M001-RF0
その部品は、満タン便の安全運行に必要。
日本側工場へ最終帰還したあとに役目を終え、取り外され。
さらに、零番へ設置されるRCV-0受入基準板の材料として再利用される予定です。
ところが。
製造元――水車町
製造日――未到来
製造指示――未発行
今、この車を支えている部品を。
水車町はまだ作っていません。
だからといって。
誠司たちは、現在使われている安全部品を外し。
「未来で必要だから」という理由で複製し始めることはしません。
まず必要なのは。
今ある部品を壊さず。
外さず。
何なのかを確かめることでした。
「外しません」
朝。
水車町車両返却所。
ガランが。
満タン便の運転席下を見る。
「場所だけでも確認するんだろ」
「外さずに確認できるなら」
「できなかったら?」
「今日は確認しません」
ガランが。
少し笑う。
「本当に急がなくなったな」
「元からです」
「そうか?」
ロウグが。
記録机で。
何も言わずに笑っている。
*
M001-RF0。
現在表示。
現在使用状態――有効
現在運行安全に必要――はい
撤去可能時点――車歴C搬入受領後
「これだけで十分です」
誠司が言う。
少なくとも。
今。
外してはいけない。
それは。
分かる。
「でも」
サーラが尋ねる。
「壊れかけていたら?」
そこは。
別。
未来で材料になる。
とか。
将来取り外す。
とか。
関係ない。
現在。
危険なら。
修理。
交換。
必要。
安全照会。
M001-RF0
現在状態の安全判定のみ照会。
将来製造・再使用計画は判定根拠に含めないこと。
返答。
現在異常――なし
緩み――なし
亀裂兆候――なし
最終返却予定運行――使用可能
予防交換――不要
「なら」
誠司は。
照会票を閉じる。
「今の車のために、新しい物を作る必要はありません」
未来の履歴を。
完成させるためだけに。
部品を作る。
ではない。
今。
安全。
だから。
まず。
記録。
*
問題は。
現在の部品を。
どう記録するか。
普通。
金具。
外す。
机。
置く。
寸法。
測る。
穴。
測る。
厚さ。
測る。
型紙。
取る。
だが。
RF0。
外せない。
「付いたまま測る」
ガランが言う。
「はい」
「精度は落ちる」
「なので、本番図面にはしません」
また。
分ける。
現物確認図
製造図
現物確認図。
今。
何が付いているか。
記録。
製造図。
新しい物を。
作るための。
正式寸法。
同じではない。
「現物を測って、そのまま製造図にすればいいだろ」
若い仕分け係が言う。
ガランが。
すぐ首を振った。
「駄目だ」
「なぜ?」
「使った鉄は曲がる」
摩耗。
歪み。
現場合わせ。
削り。
後加工。
全部。
入る。
今。
付いている形。
イコール。
最初に作るべき形。
ではない。
「傷まで写して、新品に付ける馬鹿はいない」
ガランが言う。
「穴も?」
「穴だって、取り付ける時に広げたかもしれん」
誠司が頷く。
現物復元
と。
新規製造
を。
分ける。
*
まず。
練習。
東方共同荷車。
制動棒の。
支持金具。
今。
使っている。
異常。
なし。
でも。
予備。
ない。
外せば。
その間。
荷車。
使えない。
「これでやる」
ガラン。
細い木片。
糸。
直角板。
簡単な挟み尺。
使う。
金具。
付いたまま。
幅。
高さ。
穴中心間。
板厚。
見える範囲。
測る。
裏側。
見えない。
磨いた。
薄い金属板を。
鏡代わり。
差し込む。
「こんなの作ってたんですか」
ロウグが尋ねる。
「昔からある」
ガランが。
鏡板の角度を変える。
裏。
見える。
「外さず見る時にな」
現物図。
書く。
右上。
少し。
曲がっている。
ガラン。
指。
止める。
「ここは製造図へ入れない」
「なぜ?」
「荷重で曲がった跡だ」
根拠。
擦れ。
塗装。
変形方向。
周辺。
「なら新品は真っ直ぐ?」
「基本はな」
ただし。
取り付け時。
車体側が。
すでに少し歪んでいれば。
調整。
必要。
だから。
製造図。
基準形状――直
取付票。
現車合わせ調整――可
調整量を別記録
三枚。
必要。
現物。
製造。
取り付け。
「一枚に全部書かない」
ロウグが言う。
「はい」
*
正式化。
稼働中部品・非脱着採寸標準
一。
安全上必要な現用品は、記録作成を理由に取り外さない。
二。
取り外し不要な範囲から採寸・形状確認を行う。
三。
見えない箇所を推測で埋めない。
四。
現物形状と、新規製造基準形状を分ける。
五。
摩耗・変形・現場合わせ加工を自動的に製造仕様へ写さない。
六。
製造図作成後も、製造指示がなければ加工を開始しない。
ガランが。
六を見る。
「最後が最近多いな」
「必要なので」
*
満タン便。
運転席。
座席。
動かさない。
固定。
車輪止め。
主鍵。
保管。
電源。
停止。
ガラン。
床へ。
寝転がる。
「狭い」
「無理ならやめます」
「これくらいならいける」
小さな灯り。
鏡板。
差し込む。
以前。
見つけた。
無記録の。
補助板。
運転席下。
古い。
赤塗装の。
さらに下。
違う色の。
金属。
「これだと思う」
ガランが言う。
誠司は。
システムへ。
照会。
M001-RF0と、既記録「運転席下補助板」の同一性確認。
返答。
物理照合が必要。
当然。
番号。
直接。
見えない。
板の。
奥側。
刻印位置。
表示。
刻印位置情報――安全確認目的で開示可
図。
小さい。
ガラン。
鏡。
もう一度。
「ある」
「読めます?」
「待て」
灯り。
角度。
土埃。
古い油。
こすらない。
布。
軽く。
表面。
一度。
「M……0……」
もう少し。
「M001-RF0」
一致。
M001-RF0
既記録「運転席下補助板」――同一物確認
エレナが。
古い黄色票を出す。
第126話で。
見つけた。
運転席下補助板
施工時期――不明
現在異常――なし
比較照合へ影響する可能性――あり
正体。
ようやく。
つながった。
*
正式名称。
M001-RF0
運転席下補助フレーム
用途。
特装後の運転席床・座席固定部荷重分散
車体ねじれ時の座席固定部変位抑制
帰還系統運転席基準部の位置保持補助
ガランが。
最後を見る。
「だから安全部品か」
満タン便。
特装。
荷台。
設備。
通常のK2-Dより。
荷重。
違う。
路面。
違う。
異世界。
悪路。
橋。
雪。
砂。
そのねじれ。
運転席側へ。
伝わる。
RF0。
薄い補助板。
ただの。
当て板ではない。
座席。
運転者。
そして。
帰還系統が。
運転席位置を。
基準にする。
それを。
ずれにくくする。
「なくても走る?」
若い仕分け係が尋ねる。
「普通の舗装路なら、たぶんな」
ガランが答える。
「でも、これだけ走った車で外して試す理由はない」
誠司も。
同意。
*
非脱着採寸。
始める。
幅。
見える。
長さ。
一部。
隠れる。
穴。
六。
うち。
二つ。
丸。
二つ。
少し長い。
一つ。
縁。
削ってある。
もう一つ。
完全には見えない。
「推測しない」
ロウグが。
標準を読む。
穴六――形状未確認
そのまま。
書く。
板厚。
三点。
測れる。
僅かに。
違う。
腐食?
塗装?
ガラン。
「元厚は同じだろう」
「製造図には?」
「まだ書かん」
現物。
実測値三点
製造。
未確定
角。
一箇所。
手で。
削った跡。
ヤスリ。
「工場仕上げじゃない」
ガランが言う。
「どうして?」
「削り方が急いでる」
細かい。
綺麗。
でも。
角だけ。
現場で。
何かへ。
当たって。
逃がした。
ような形。
「それも」
現物図。
残す。
製造図。
まだ。
反映しない。
*
半日。
かかった。
それでも。
図面。
完成しない。
M001-RF0現物確認図
完成率――七十八パーセント
ガランが。
数字を見る。
「ここでも率か」
「見なくていいです」
「七十八なら、あと少しだぞ」
「見えない場所を埋めたら百になります」
「それは駄目だな」
「はい」
百にするため。
推測。
しない。
七十八。
で。
止める。
それが。
正しい。
*
「製造図は?」
サーラが尋ねる。
未着手
「現物の七十八パーセントでも、作り始められない?」
「作りません」
そもそも。
製造指示。
ない。
それに。
製造図には。
現物以外の情報。
必要。
必要荷重。
材料。
基準厚。
穴公差。
防錆。
取付調整幅。
日本側工場の。
設計条件。
そこで。
照会。
M001-RF0について。
現用品を取り外さず現物確認中。
製造指示は発行しない。
将来、製造指示が必要となった場合に備え、設計条件のみ共有可能か。
返答。
可能。
そして。
工場側。
条件。
届く。
板厚基準。
材質。
最低強度。
穴位置。
六つ。
ただし。
数値そのもの。
一部。
水車町の。
現物値と。
違う。
「ほらな」
ガランが言う。
現物。
穴二。
長穴。
工場設計。
丸穴。
「現場で広げた」
可能性。
高い。
角の削り。
工場設計。
なし。
現場合わせ。
確定ではない。
でも。
製造図へ。
最初から。
コピーする理由は。
なくなる。
「なら」
ロウグが言う。
「製造図は工場基準から作る?」
「それだけでも駄目です」
ガランが答える。
工場。
通常想定。
水車町。
実際に。
走った。
RF0。
何年も。
持った。
そこに。
現地改良の。
意味が。
あるかもしれない。
だから。
三つ。
比べる。
日本側基準条件
現用品実測
過去取付調整記録
最後。
ない。
今は。
「取付記録が見つかれば」
誠司が言う。
「製造図へ進めます」
*
配送帳面。
M001-RF0。
履歴。
開く。
製造元――水車町
製造日――未到来
製造指示――未発行
取付日――第一配送者運行期
取付地点――水車小屋北側荷置場
「やっぱり」
ロウグが言う。
初回納車のあと。
直人が。
運行していた時期。
さらに。
取付理由――補修
新造時装備――いいえ
「後から付いた」
ガランが言う。
その下。
補修要請――一件
状態。
水車町側未受領
「未受領?」
現在の。
水車町。
まだ。
その依頼を。
受け取っていない。
だから。
製造指示。
出ていない。
でも。
過去では。
その依頼。
すでに。
出されている。
*
「開けます?」
ロウグが尋ねる。
誠司は。
まず。
安全区分。
見る。
緊急救援――なし
人命危険――当時運行停止で回避
応答期限――始発線時間指定
現在側時間制限――なし
「なら」
誠司が言う。
「通常の補修依頼として受けます」
未来が。
待っているから。
急ぐ。
ではない。
過去側。
車両。
すでに。
運行停止。
安全確保。
されている。
時間指定便。
現在側が。
落ち着いて。
確認してから。
必要な過去時点へ。
送れる。
補修要請・受領準備
差出地。
水車小屋北側荷置場
差出時点。
第一配送者運行期
車両。
満タン便M-001
症状。
急制動時、運転席固定部が後方へ変位。
通常制動時――微小
床側金具――亀裂なし
座席金具――亀裂なし
継続運行――停止
ガランが。
低く言う。
「ちゃんと止めてる」
さらに。
応急処置――木製楔による位置保持
応急処置状態での公道運行――禁止
構内移動のみ――可
「まともだ」
ガランが言う。
昔の直人。
失敗も。
した。
急ぎも。
した。
でも。
全部。
雑だったわけではない。
*
差出人。
三浦直人
受取先。
水車町・将来車両管理
「将来」
サーラが読む。
当時。
水車町配送所。
ない。
車両返却所。
ない。
ガラン工房。
今の形。
ない。
でも。
始発照会。
未来の。
現地管理者へ。
補修依頼を。
保留できた。
「日本側工場じゃない?」
若い仕分け係。
「そこも記録があります」
直人。
最初。
日本側工場へ。
照会。
同一部品の即時供給――不可
理由。
当該車両は始発線上の異時点運用中。
工場から完成部品を直接送ると、車歴干渉の可能性。
代わりに。
設計条件のみ返送可能。
そして。
工場側。
提案。
現地製造可能な補強部品として設計変更可。
その結果。
修理依頼。
水車町。
未来側へ。
届く。
「現地で直せるものは」
ガランが言う。
「現地で直す」
「ただし」
誠司が続ける。
「安全基準は工場から受ける」
共同。
だった。
*
補修要請。
受領。
水車町側受領――完了
それだけで。
M001-RF0。
表示。
変わる。
製造指示――未発行
製造要求――一件あり
ここ。
重要。
要求。
ある。
でも。
指示。
まだ。
ない。
「依頼が来たから即作る」
ではない。
水車町側。
作れるか。
安全か。
判断。
担当。
本人。
受任。
必要。
*
三浦直人。
運行者一時帰着所ではなく。
満宿の前。
夕方。
座っていた。
今日は。
役目。
なし。
誠司は。
呼び出さない。
本人限定照会。
一枚。
過去のあなた名義によるM001-RF0補修要請を、現在の水車町で受領しました。
現在のあなたへ作業依頼はありません。
記録内容を確認しますか。
一、確認する
二、後日
三、確認しない
返事。
十分後。
一、確認する
直人が。
自分で。
配送所へ来た。
記録。
読む。
しばらく。
黙る。
「これ」
「覚えていますか」
「全部は」
直人が。
症状欄を見る。
急制動。
座席。
ずれる。
「でも」
指。
一箇所。
木製楔
「木を噛ませたのは、覚えてます」
「走りました?」
直人。
首を横に振る。
「怖くて」
それから。
少し。
苦笑。
「俺にも、止められた日があったみたいですね」
誠司は。
何も。
足さない。
*
「部品が届いたことは?」
「ぼんやり」
直人が。
運転席下を。
遠くから見る。
「鉄の板」
「はい」
「穴が一個、合わなかった」
ガランが。
顔を上げる。
「どの穴」
「たぶん」
直人。
指で。
空中に。
形を描く。
「後ろの右」
現物図。
穴。
一つ。
形状未確認。
もう一つ。
長穴。
ガラン。
記録。
見る。
「長穴にしたのは?」
「俺じゃない」
「誰が削った」
直人が。
眉を寄せる。
「板と一緒に、紙が来た」
「取付説明?」
「はい」
「現場合わせで削れ、と?」
「そんな感じだったと思います」
少し。
記憶。
戻る。
「削ったのは俺です」
ガランが。
長穴を見る。
「だから工場図と違う」
現物。
正常。
工場基準。
正常。
間。
取付調整。
存在。
三つ。
ようやく。
つながる。
*
直人は。
記録。
最後まで読む。
「誰が作ったんですか」
「まだ製造指示は出ていません」
「でも、付いてる」
「はい」
直人が。
何度か。
経験した顔で。
頷く。
「そういうやつですね」
「そういうやつです」
「俺に作れって言わないでくださいね」
「言いません」
「よかった」
役目。
なし。
そのまま。
帰る。
*
夜。
水車町。
補修要請を。
正式に。
技術案件へ。
移す。
M001-RF0補修案件
必要。
一、製造基準図
二、製造担当
三、材料
四、加工後検査
五、取付説明
六、始発線修理部品便
七、過去側取付後確認
「工程多いな」
ガランが言う。
「車の安全部品なので」
「そうだな」
まず。
誰が。
作る。
日本側工場。
完成品。
送れない。
水車町。
現地製造。
必要。
候補条件。
鉄材加工
穴位置精密加工
現場合わせ前提部品の製造経験
工場基準図読替能力
水車町側車両修理記録への署名権限
照合。
一名。
誠司は。
表示前に。
いつもの文を。
付ける。
候補表示は本人受任ではない。
表示。
M001-RF0
水車町側製造担当候補――ガラン
全員。
ガランを見る。
「……俺か」
「候補です」
「未来に俺が作ったことになってる?」
「まだ、そこまでは」
表示。
続く。
製造元――水車町
加工担当――未登録
製造担当候補――ガラン
本人意思――未確認
ガランは。
すぐ。
答えなかった。
満タン便を見る。
今。
その下に。
自分が。
まだ作っていない。
鉄板がある。
「説明から」
ガランが言う。
「受けます」
「製造は?」
「まだ受けない」
「分かりました」
ガラン
M001-RF0製造案件
技術説明――希望
加工受任――未確認
それで。
止める。
*
深夜。
配送帳面。
第一配送記録。
開く。
第一配送記録・補修第一便
運転席が動いた日。
私は、そのまま走ろうとした。
三浦直人。
古い記録。
荷物が残っていた。
道は乾いていた。
ブレーキは効いた。
座席が少し動いただけだと思った。
一行。
空く。
でも。
二度目に踏んだとき。
自分の体が。
車より一拍遅れて動いた。
直人。
車を。
止める。
荷物。
別便。
まだ。
少ない時代。
代わり。
ほとんど。
ない。
それでも。
止めた。
私は木を削って。
座席の下へ噛ませた。
構内で動かした。
動かなかった。
だから。
また走れると思った。
しかし。
始発照会。
安全判定。
運行不可
直人は。
苛立った。
私は書いた。
「今、直せる人はいません」
返答。
「今いないなら、後でいる人へ聞いてください」
私は。
何を言っているのか分からなかった。
それでも。
補修要請。
出した。
宛先。
将来の水車町車両管理
「誰でもいい。
これを安全に直せる人へ」
第一配送記録。
続く。
数日後。
鉄の板が届いた。
差出人の名前はなかった。
代わりに。
一枚の紙が入っていた。
直人は。
その紙を。
読んだ。
「穴が合わなければ、車体側を削らないでください」
「板側を必要最小限だけ調整してください」
「削った量を記録してください」
「取り付けたあと、急制動を試す前に低速制動から確認してください」
ガランが。
現在の記録机で。
その文章を見る。
何も言わない。
それは。
ガランが。
今日。
現物を見ながら。
ほとんど同じことを。
若い仕分け係へ。
言っていた。
第一配送記録。
最後。
私は。
板を作った人の名前を知らなかった。
ただ。
あの人は。
車より先に。
運転者を直そうとしていなかった。
車を止めたまま。
安全に直す方法だけを送ってきた。
第一配送記録。
終了。
*
その下。
M001-RF0。
現在案件。
新しい欄。
過去側補修要請――受領済み
日本側設計条件――受領済み
現用品非脱着採寸――実施中
水車町加工担当――未決定
そして。
一番下。
修理部品便
差出地――水車町
到着地――第一配送者運行期・水車小屋北側荷置場
積荷――M001-RF0 一
取付説明書 一
運行方法――始発線・部品便
加工担当候補――ガラン
そこまでは。
予想できた。
だが。
さらに。
品質確認欄。
製造後検査――二者確認
一人目。
水車町車両管理
もう一人。
日本側特装工場
「遠隔検査」
ロウグが言う。
その下。
日本側立会予定者。
名前。
表示制限。
ではなかった。
すでに。
開いている。
日本側検査立会予定――高瀬圭介
全員。
少し。
驚く。
高瀬。
今。
白いK2D-0713を。
保管している。
零番を。
普通の客として。
見に来た。
RCV-0の。
設計票を。
起こした。
そして。
これから。
ガランが引き受ければ作るかもしれない。
M001-RF0。
その安全検査を。
日本側から。
見る予定になっている。
しかし。
問題は。
さらに下だった。
検査実施時点――高瀬圭介・初回納車便受任前
つまり。
高瀬は。
初回納車便を。
引き受けるかどうか決めるより前に。
M001-RF0の検査へ。
関わることになっている。
そして。
その検査対象であるRF0は。
後に満タン便から外され。
高瀬自身が設計したRCV-0の材料になる。
部品。
図面。
受入場所。
車。
それぞれの道が。
少しずつ。
高瀬の周囲で。
交わり始めていた。
最後。
高瀬の検査予定欄。
本人意思――未確認。
未来の記録は。
また。
一人分の返事を。
勝手には埋めていなかった。
現在の満タン便を支えているM001-RF0は、第126話で見つかっていた「運転席下の無記録補助板」と同じ部品であることが確認されました。
正式名称は、
運転席下補助フレーム・M001-RF0。
特装後の車体ねじれによって運転席固定部がずれるのを抑え、座席と帰還系統の基準位置を保持する安全部品です。
現在の部品は正常であり、最終返却まで交換する必要はありません。
そのため水車町では、現用品を外してコピーするのではなく、
現物確認図
新規製造基準図
取付調整記録
を分ける「非脱着採寸標準」が作られました。
また、M001-RF0が必要になった理由も判明しています。
第一配送者時代。
急制動時に運転席固定部がずれる異常が発生し、三浦直人は満タン便の運行を停止。
日本側工場から完成品を直接送れなかったため、「将来の水車町車両管理」へ補修要請を出していました。
その依頼を、現在の水車町が正式に受領したことで。
ようやくM001-RF0を作る理由が、未来記録ではなく実際の補修依頼として成立しました。
水車町側の加工担当候補は――ガラン。
ただし本人は、まだ技術説明を希望しただけで、製造そのものは受任していません。
さらに、完成した部品の遠隔品質確認には、日本側特装工場から高瀬圭介が立ち会う予定になっています。
その立会も。
まだ本人の意思は確認されていません。




