138話 最後の裏切者
ヴェッサ?「キシャアアッ!」
オフィーキュスとクリオス「「ひゃああ!?」」
突如、眼を見開いて豹変した彼女が見る間に黒く変色した爪を伸ばす。
そして彼女達を、その首を引き裂くように掻き振った――。
ゼラ「よっとお!」
寸前で準備していたゼラが勢いよく二人を掴み後ろへ下げ、なんとか躱した。
驚く“ヴェッサだった者”は見る間に変化して“怪物”へ変貌していた。
鋭く伸びた爪や牙は黒く、皮膚は青白くなり紫の血管が浮かび上がっていた。
魔物、恐らく変異丸か何かで変異したものだ。
やはり腹の魔力は魔石か?
ゼラ「ヴェヴェヴェヴェッサさん!?」
レックス「魔物だ!」
そして傍に座る彼女達を襲ったのだ。
それとも、捕まえようとしたのかもしれない。
敵だ。
すぐさま剣を突く。
バアンッ!
そいつは床を思い切り叩くようにして跳び上がり躱した。
天井スレスレまで。
レックスなら手が届くくらいだ。
逃さん。
ヒュオンッ!
剣を横なぎに斬る。
ガスッ!
空中で何もできないと思ったが、ヴェッサの長い髪の毛だったものが天井に刺さり、それを利用して身体をズラして斬撃をよけた。
レックス「なっ――上に――」
ゼラ「ヴェッ早っ――」
ブラッダー「力も強いですよ!」
ヒュオッ!
ガッ!
返す刃も同じように避けた。
かなり素早く、力が強い。
強力な魔物なのか。
ヒュヒュヒュオウンッ――ズガガッ。
二、三振りを次々と全て躱した。
やるな。
天井が高い為、斬り辛い。
魔物「シャアアッ!」
そいつの顔はもはや整ったヴェッサの顔ではなく、いや、顔の半分が大きな口に変化していて、黒い牙をギザギザにはやしてこちらを威嚇していた。
ヴェッサだった顔は口を広げてひしゃげた皮袋の様に、広がった怪物の口に押しやられて潰れていた。
だが。
(シルフよっオウス!)
バシャッ!
ヴェッサ?「ウッ!?」
水球をぶつけ驚かせて、飛び上がり斬る。
黒衣の男の障壁を斬ったように、魔法の刃をもう一度出してみる。
ヒュバッ!
ギリギリで躱された。
ズガアアアアンッ!
天井が大きく亀裂が入り砕ける。
皆「「うわっ!?」」
ヒュバ――ズガカカカッ。
まるで天井を走り回るようだ。
ベル「早いよ!」
レックス「ベル殿っ離れて!」
「むがもごっ」
もう一度!
ヒュオン――ヒュパアアン!
風の刃を纏った剣は、奴が高速で離れた場所の空を切った。
バシュウ――。
しかし、その時、剣に纏った風が、飛び離れて奴の腹を裂いた。
――ザンッ!
魔物「ギャアアアアッ!!」
刃が飛んだ? 当たった!
ボタボタボタッ!
胸から腹まで裂かれて血を吹き出しながら落下する。
ドサアッ!
いかんっ!
ドガアンッ!
落ちたすぐ傍の、縦穴に飛び込み逃げ出す。
怪我をしたのにもの凄い速さで突っ込んだ。
奴の頭の後ろ、後頭部にも斬られたような裂け目、口が見えた。
クリオス「あっ」
ゼラ「逃げ――」
ブラッダー「逃がしません!」
ドドオンッ!
竪穴入口へ飛びこむ奴の背に向けて、詠唱を準備していたブラッダーが岩礫を二連続で放ったが、ぎりぎりで躱して落ちていく。
「っ――!?」
飛び出す私を彼が手で静止するのが見えた。
「――土槍!」
そこへ更に彼は追撃して魔術を放った。
ズガガガガッガアアアッ!!
竪穴内へ下に向かって、こちらに響き渡る程の連続音がこだました。
なんだ?
穴の中に槍でも生やしたのか?
ヴェッサ?『ギャアウウッ!』
当たったようだ。
ガシャアアアアガラアンガラゴロッ!
……ドサアッ!
竪穴内部を覗き見ると、尖った土、岩の槍が幾つも飛び出し塞ぐかのように竪穴内を埋め尽くしていた。
見えないが、音と振動から、穴の底にヴェッサだった何かが落ちて動かなくなっているのを感じる。
イイイ……――。
刃の震えが止まった。
「……」
煌めきも収まった気がする。
魔物に反応したのかこの剣。
ベル「逃げて落っこちたよ!」
一同「「……」」
皆驚いて声が出ないようだ、彼女の大きな声が響いた。
オフィーキュス「……なっ」
ゼラ「……なっ」
レックス「何でスか今のは!?」
クリオス「お、お姉ちゃんが、怪物になって生き返ったよう!」
驚く皆とは別に、ブラッダーと二人して縦穴の下を見るが、暗いし、土槍が幾つも穴を貫いて飛び出していて、下まで見えない。
あの弱い魔力も、遠くて見ることができないな、だが、あの手ごたえからして、恐らく……。
「……落ちて今度こそ死んだようだ」
ブラッダー「そうですね、僕もそう思います、ちょっとやり過ぎましたよね」
ゼラ「おっどろいた~」
クリオス「ひっく」
レックス「お、お見事でス、お二人共」
オフィーキュス「はああ~~……」
「どけて見に行くか?」
ブラッダー「……いえ、捕まった皆を探しましょう、わざわざ土を解除して、ほぼ確実に遺骸となってるのを確認する手間すら、惜しいですよね」
ふむ。
ブラッダー「しかしよく看破しましたね。その竜眼の力ですか?」
「よくわからないが、腹のところに微かな魔力が見えたんだ」
彼女の最初からな。
「ふうん? 興味深いですよね (魔石でしょうか? 魔力が見えるんですよねこの子)」
クリオス「あ……ベルちゃんも?」
「えー?」
「ああ、よく見抜いたな」
「えへへ~」
ブラッダー「飛ばした斬撃も見事でしたね、その対魔剣、ギャレスが持ってるよりよっぽど役に立ってますよね」
対魔剣?
「この髭の剣か?」
「あぁ、ご存じないですか? “魔物が嫌がる銀”が混じっていて、“妖魔系”の魔物を察知する術式が込められているんですよね、震えていたでしょう? ちなみに銘は“ターニッシュ”ですよね」
魔物が嫌がる銀、妖魔系、名?
ターニッシュ……。
ゼラ「ええ!? ギャレス隊ちょ――髭の剣が!?」
ブラッダー「知らなかったんですかゼラ君……」
?
よくわからんが、わかった。
魔物を見破る力も持つ僅かに加速する魔法剣、名はターニッシュ。
……剣を作ってもらってるところなんだが、もうこれでいいのではないだろうか。
いや、これは取り回しは良いが、長さが足りない、あの長剣がいる。
実際に今の魔物が天井にくっつくように這い動くのを斬り辛かったし。
ブラッダー「……魔物なら全部と言うわけじゃありませんからね? 察知できないのもいますから。ルーナさんの事情は僅かに師匠から聞きましたから察しますが、これだけはご注意を」
妖魔とやらだな。
魚の魔物はだめとか、そういう感じだろうか。
「ありがとうブラッダー。土魔法は見事だったぞ」
「ふふふ、おいおい暴れ球もお見せしますよね」
オフィーキュス「あ、あの、ヴェッサの、彼女だったものでスが……」
レックス「ソうでス、今の変化、魔物だったのでスか?」
ゼラ「なっ、何すか今の化け物は!? 大丈夫ですか二人共?」
蛇女「……も、もう少シで、私達、切り裂かれていたのでスか? か、感謝いたシまス、ゼラ様」
クリオス「うん、ありがとうおじちゃん」
「お兄ちゃんでいいからね? 少年」
ブラッダーはモードの方を見ていた。
彼女は離れた場所に寝かせていて特に問題なく寝ている。
モード「スピー……」
クリオス「すっごく怖かった、か、顔が怪物に変わって」
ベル「びっくししたねー」
そうだ、一体あれは何だったんだ。
ブラッダー「ご存じでないですか? あれはシェイプシフターという怪物ですよね、大きな街等、人の多い中に紛れ潜んで、隙を見て襲い掛かる、変化を得意とする魔物ですよね……にしては“随分強力な個体”でしたけど」
ゼラ「あー、あれが……ってそ、そうっすよ、厄介な代わりと言っちゃ変ですけど、そんなに強くない筈じゃ?」
レックス「あんな化け物は始めて見まシたゾ」
漁師の彼の他、キャラバン組も同じようだ。私もだぞ。
ゼラ「あ、あと、頭の後ろにも口があったんですけど?」
ベル「たくさん食べられるね!」
ブラッダー「それこそ、内部に潜んでいる怪物の本体ですよね」
ほう。
あ、一つ気が付いた。
「変異してたようだったぞ? 瓜や牙が黒かった」
敵はかなり素早くその様な形態は観察できなかった皆であったが、素直に信じた。
ゼラ「ああっそういうことか! じゃあ、敵側ってことなのか?」
レックス「……囚人の中に、あえて紛れ込んでいたと?」
ブラッダー「……状況的にはそうでしょうねぇ……(う~ん何だか意味がないように思えますね、もしかして、別の目的で独自に動いていたのでしょうか? もしくは、変異丸をたまたま入手して潜り込んでいた、ただの魔物かもしれないですけどね)」
ベル「えぇ、ベッサ、悪い子だったの?」
クリオス「優しかったのに!」
レックス「いや魔物だゾ、魔物、油断させて襲ってきただろう?」
隙を見て襲い掛かる、だったな?
私達と一緒の時は振りをしてたと言うことか。
ゼラ「あー……」
オフィーキュス「……」
ブラッダー「(恐らく、何処の道中までは本人だったのでしょう……)シェイプシフターは見た物に変化する技を身に付けていて、元の姿は色も顔もないのっぺりした怪物なんですよね」
ほぅ、アリエスタみたいだな、彼は材料とやらを得て練習をしないと駄目だが。
ゼラ「ヴェッサさんに化けてたってことなら……まだ僕達は出会ってもいないってことか、僕は彼女の美貌を知ってるのに、彼女は僕を知らない……はぁ……」
そう言って落ちた短剣を拾う。
?
――アリエスタの幻聴 (こんな時まで色恋ごとかよ!?)――
レックスの眼が細くなって彼を見ているな。
蛇女「で、では!? ほ、本物のヴェッササんは、どこへ?」
ブラッダー「……変幻自在にその人物に擬態するには、本人の血肉を必要とするそうですよね、そして、残念ながら、アレは人の血肉を好んで食います、魔物全般が大体そうですけどね」
ぎ体。
では本物のヴェッサは……。
ベル「ねえねえ、何で死んだふりしてたの?」
ゼラ「あ、そういえばそうだね」
レックス「待ち伏セでスか?」
ブラッダー「状況的に、仲間同士で問題があったようですけどね」
ふむ。
確かに、暴れた跡があるな。
盗賊達のものか? リゾットの靴跡もある?
完全に見過ごしていた。
仲間の痕跡に集中し過ぎたんだ。
失敗した。
ゴオンッゴオンッゴオンッ……。
一同「「?」」
何だ? 何か、金属を叩くような音がどこかから鳴り響いた。
戸棚の隠し通路の向こうか?
相談して、ブラッダーと私で様子を見に行くことにした。
慣らす音は定期的に慣らされていた。
遺跡中に響き渡るような音だ。
戸棚は隠し扉になっており、開けると廊下があった。
ここも物置のような場所らしい。
ゼラ「また当たり前のようにこの二人は (もの凄く捗るなあ)」
クリオス「隠し戸棚だっ」
オフィーキュス「あらまあ」
レックス「お見事でス」
ゴオンッゴオンッゴオンッ……。
左手から音が聞こえる。
振動や気配から、壁の向こうはさっき言ってた広場、ホールとやらか。
下部分から聞こえてくるし感じる空間から、二階分は広い部屋で今私達がいる高さは上の位置だと感じた。
少し行くと階段があるが、途中で何かに気が付いた。
ほんの僅かに、壁から明りが漏れている。
立てかけられている板の後ろだ。
(? どうしました? この絵の裏ですか?)
絵なのか?
これは絵の背面なのか、始めて見た。
彼が後ろをのぞき込んで何かに気が付き、無言でこちらに仕草で指示を出す。
二人でそっと大きな絵をズラすと、窓らしきものを塞いだ板が、二つ並んでいた。
それの嵌った縁のところから、僅かに光が漏れていたのだ。
ゴオンッゴオンッゴオンッ……。
僅かに壁が揺れてるのか、天井から砂埃が落ちるのを漏れた光が照らす。
塞いでいる板には取っ手らしきでっぱりがある。
階段の方を見たブラッダーが窓に視線を戻し、私に向かって少しだけ頷いた。
ああ。
塞いである板にある取っ手を持って、そっとそれを少しだけ動かしてみた。
ゴト……。
すると、窓らしき、丸い硝子がホールの明かりを透過、してのぞき込む私たちの顔を照らした。
丸い硝子窓があまり透き通っていなかったが、かろうじてホールの連中が見えた。
そこには大量のオーク達が蠢いていた。
中央に台になった中に、大きな篝火が燃えていて、ホールに幾つもある大きなて丸い卓の幾つかを破壊して放り込んで騒いでいた。
(すごい数のオークですよね、奥地の山から呼び寄せたのか……)
水槽の様な、だがとても大きな水場が向こうに見える。
ずっと流れていた水音の正体か。
何か小さいのが泳いでるな、魚? ……蟹?
まさかな。
その向こうの壁には大きな穴、窓が空いていて、夜の空が見えていた。
(あそこ、壇の上に勢ぞろいしてますよね)
右手に出入口らしき大きな戸口があり、段になって高くなっていた。
そこの、オーク達が見上げている壇上に帝国の二人らしき赤い人物が二人。
リゾットらしき長い外套に帽子の人物。
特徴のあるローブの大きな人物はマイケル神父か、鎧の男はギャレスだな。
リコアはいないな?
奴らはやはり研究室に戻って来て気絶してる髭を見つけたようだな。
私たちは、罠部屋の隠し通路の入り口は、彼が土壁で塞いだから大丈夫だと思うが。
(別にいいんですけど、ギャレスが解放されちゃってますよね、また捕まえないと)
蜘蛛ゴーレムの廊下に引っ張り込んで、砂の中にでも隠しておけばよかったかもしれない。
ゴオンッゴオンッゴオンッ……。
ずっと叩いている音はあれか、リゾットの隣で、丸い巨大な盾のようなつやつやした金属をブロンコスらしき巨大なオークが叩き続けていた。
(逃げたくせに何やってるんですかねあのオークロードは)
そうなのか? ベルを見て走り去ったらしいが……。
魔石灯や、ホール中央にある大きな篝火にきらきらと輝いているな、盾じゃなくて、楽器かもしれない。
後で彼が教えてくれたが、銅鑼という楽器だった。
オークが持って来たのか?
(ルーナさん、確かもう一個爆裂茸風の爆弾持ってませんでした?)
(あぁ、投げるのか?)
もう一つは、ベルトのポーチに入れてある。
(投げたいのはやまやまなんですけど、見て下さい連中の手前)
やまやま? あっ。
そして、更に手前にしゃがんでいる、捕まっているらしきダロムや囚人達が居た。
奥の方に三人。
縄で縛られて膝を付いていた。
待て、犬娘コーギー、ドワーフのステラ、片腕の蜥蜴ダロム、あれ、大柄な人族がいないぞ。
テルなんとか。
(えっ!? あれほらっ)
ああ、居た。
ブロンコスに影になっていたが、大柄な男が立っている。
皆とは違い縛られていない、壇上に立っている連中と同じ、仲間かの様にして壇上をうろうろしていた。
(くっ裏切者だったかっ⦅はぁ~同じ虜囚仲間として皆で励まし合ったのが悔やまれますよね、一人は裏切者で一体は魔物だったとわ⦆……)
(確か、て、テルセウス)
(テルギウスですよね、ルーナさんに名前を憶えられてないだけでざまあみろな感じがしますよね)
それと、ブロンコスの影から出て来たテルギウスにも魔力があった。
……奴の鞄か?
何か持っているようだな。
そして、ブロンコスの魔力の影になると見えないんだな。
何だか、裏切りそうな奴の特徴が判って来たな……大体文句ばかり言う奴だ。
うん? そうなるとアリエスタも裏切者になってしまうな。
――アリエスタの幻聴 (何だとコラァ! もっぺん言ってみろてめえ!)――
(? ルーナさん?)
(なんでもない)
(……あの盗賊、この窓を知ってる風ですよね)
ああ。
リゾットの奴、たまにこちらを見ている気がする。
私達が隠し部屋に居るのを知ってるかのようだな。
ということは、やはり足跡もそうだが、奴が皆をさらって宝を独り占めして箱に隠していたようだな?
(恐らく。そしてそのおかげで他の連中に言えなくて、私達は少し休めましたよね)
あれ?
今喋っていたか私は。
連中が騒ぐ声が聞こえる、壇上で話している連中の会話もなんとか聞こえた。
オーク達「飯はマダかぁ!」「早ク焼いてクレヨおボス達ぃっ」「フゴウッ、腹減ッタぞお!」
内容は解っていないだろうが、コーギー等はぶるぶると震えている。
シュトレイ「奴らが全く来ないではないか! どういうことだ盗賊!」
リゾット「いっ、今頃相談してるんですよっ、必ず来ますって! 入り口はここしかないんですから!」
盗賊達「親分……オークの船……積み荷……」
リゾット「……いいからさっさと行って来い! 別に食われやしねえよっ! 集落にちゃんと進軍しておくよう言っておけよ!?」
何やらリゾットが部下に怒鳴りつけ、盗賊達がその入口とやらに消えて行った。
船?
進軍しておけだと?
ヴァイン「あぁん? 馬鹿はてめぇは! 抜け道なんて幾らでもあんだろうが! 俺達がどうやって街からダラダラ長い地下道歩いて来たと思ってんだボケ!」
シュトレイ「馬鹿は貴様だヴァイン! 怪我人や囚人を抱えてあの“連絡通路”を通ることは不可能だ、黒頭巾の魔除けなしでは瞬く間に隙間に巣食う化け者共に群がられるのだぞ!」
「いや、でもっ、通路は換気口とか、抜け道がたくさん……」
「己は黙って失くした剣を連中が持ってくることを祈っておれ!」
「(チッ、うっせーな)……はい、すいませーん」
逆らうような返事でもしたのか、態度から察したのかはわからないが、シュトレイがキレているようだな。
魔除け? 連絡通路?
(なんか赤い人達が揉めてるようですけど、聞き取れましたルーナさん?)
ああ。
他に出入口があるようだが、魔物除けとやらがないと危険らしいことを伝えた。
(ほうほう、素晴らしい耳です、“使い魔いらず”ですよね。あの出口を通るしかないと、それに人質も救出しないとですよね……やれやれ、戻りましょうか)
使い魔、あぁ、セレナールの青い鳥か。色々離れてても聞いてたみたいだったなあれは。
戻る前に、ブラッダーが忘れていたと、この先の階段を調べる。
やはり高い場所なようで、そして何やら壁の中のような感じのせまい空間だった。
(これ、像の裏側ですよね)
そうなのか?
ブラッダー曰く、ホールに作られた巨大な像の裏側に作られた場所なようだ。
物が置いていたり、ずっと放置されたここは埃や汚れが多く、像を支えている棒があちこちに取り付けられていて、階段を下りるのにも頭をぶつけないように避けないと駄目だった。
彼は小柄なので平気だったが。
一番下の層に出入口があったが、ホールとは逆だった。
(う~ん、多分このホール、食事を提供する場所だったみたいですねぇ、こちらの扉の先は恐らく、従業員が使う区画ですよね)
ふむ?
(振動で把握はしてましたけど、実際に見るとわかる事もあるって話ですよね)
そう言ってブラッダーは地図を描いた羊皮紙をひらひらさせた。
ゴオンッゴオンッゴオンッ……。
(さて、ホントに戻りましょう、救出作戦を考えないとですよね)
そうだな。
読んでくださりありがとうございます。




