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閑話:ルークの心※ルーク視点

攻略対象も薄っぺらく無くてちょっとくらい厚みを付けよう中!


攻略対象達はチョロいからこそこの話を読んでたんだよ!って方はなるべく読まなくても支障のない話しなので飛ばしてください。ギャグは無いつもりです。無理はあるかもですが。


何となくルークに思った、こいつ現代に居たら社畜になりそう。


本当に求めていたものを前にしただけで。悪い魔法が一瞬で解けた様だった。

私は忘れて居た、本当に愛している人を。

いや、心の中では、覚えていたんだ、彼女が愛しいと。

いくら忘れようとしても。

求めていたんだ彼女を。

だから私はマリアを愛していると錯覚してしまった。

忘れても、求めている、無意識に欲しているものをマリアは与えた。

辛い時にはそばに居るから。貴方はもう充分頑張ってる。それ以上頑張ったら潰れてしまうわ。

そんなに頑張らなくて良いよ。

貴方は沢山頑張っててすごいわ。

そうして渡されたクッキーと優しい笑顔に、懐かしさと恋心が芽生えた。

沢山の女性は完璧で優秀、そしてみてくれが良いと褒めて俺に媚を売ってきた。

そんなご令嬢達を好ましいと思ったことは無かった。

俺は公爵家跡取りとして優秀でなければならない。

勉強をするのは当たり前だし、責任ある行動をするのは当たり前だ。

それを気遣い。頑張りすぎだと言うマリアが優しく魅力的に見えた。

誰も私が頑張っている事とに気づかなかった。当の私まで。マリアはその頑張りを褒めてくれる。

そして心のこもった美味しいお菓子。

俺はみるみるマリアの甘言に流され。マリアの遊びの誘いに応じ、そのうち自分の唯一他人に誇れること。努力する事を忘れていた。

マリアの頑張らなくて良いよ、と頑張りをみとてめくれているというような魔法の言葉は、私の全てを否定する言葉だと気付かずに。

それでも私の求めて居たものはこれなのだと思ってた。

私は情けなくマリアの虜になっていた。

エドワルド様を選んだとわかった時さえ、離れられなくなっていた。

それがどんなに滑稽だと、心の片隅では分かっていても。


あの月の綺麗な夜の図書館。

私はマリアとエドワルド様を見るのが辛くて1人で久しぶりに勉強していた。

最近テスト前にくらいしか勉強してなかったので、前には軽々こなしていた量に付いていけず、疲れてうたた寝してしまった。

気づいたら周りは暗く窓から月の光が差し込んでいた。

窓のヘリにアリスは腰掛けていた。

数年ぶりにまともに見るアリスは、見惚れる程美しかった。

なぜ数年も彼女をまともに見て居なかったんだ?

昼を食べ損ねた私にアリスはクッキーをくれた。

その味は涙が出そうなくらい心を締め付ける不思議な味だった。

マリアの作った味にどこか似ているクッキーは彼女の手作りだった。

いや、マリアのお菓子がアリスの味に似ているのだ。

私は幼い頃この味を食べたことがある。

だからマリアの菓子に懐かしさを感じたんだ。

マリアの菓子のレシピはアリスのものだった。

心があったかくなる菓子の味。

私を立派になった。でも無理をしてるのを知っている。

渡せないクッキーを今も作ってくれていると言った。

そう、これは幼い恋心と共に忘れたものだった。


大丈夫よ、人は元から完璧には出来ていないのだから。ルークは頑張り屋さんだから。そのルークが頑張って、出来なくったってルークがルークで無くなる訳では無いのよ。それに頑張ってればね、いつか出来ないこともできるようになるの。

頑張れる貴方は立派よ。


差し出された優しい味のクッキーと、どこまでも私を肯定して背中を押してくれる言葉、いつでも天使のように笑ってくれたアリス。


公爵家に養子に来てから、勉強しなければいけないことが沢山増えた。

そしていくら頑張っても出来ない自分を責めた。

そんな私をアリスは立派だと褒めてくれた。

大丈夫とクッキーをくれて微笑んでくれた。

そんなアリスに私は恋をした。

いつしかアリスに褒めて欲しくて頑張っていた。

だけど幼い恋は叶わないものと知ってしまった。

私が公爵家へ養子に来たのはアリスがエドワルド様と婚約して居なくなっても跡を継ぐものが必要だからだ。

エドワルド様を見て頬を染めるアリスを見て自分の想いは伝わらない、アリスの目にはエドワルド様が写っている。それを見ないようにするために取り憑かれたように勉強した。

そして無理をしている。と心配してくれ、あのクッキーをくれたアリスに叶わぬ想いと伝えられぬ苛立ちからその手を払いった。

その時のアリスの悲しそうな顔が辛かった。

そしてアリスから目を背け忘れることにした。

そしていつしかその事を忘れ、私はただただ目標を見失って努力していた。

だからマリアに頑張らなくて良いよ、と言われた時、あっさり努力する事を辞めてしまったのかもしれない。

マリアと過ごす時間は夢のようだった。

それは現実を見ない盲目的なものだった。

そんな私をアリスは現実に引き戻した。

立派になった。

私はただ一言アリスにそう言って貰いたかっただけで、ただ自分を見てもらえない、と思い拗ねていただけだった。

私を惑わす魔法が解けた。

だけど私は、マリアに侍らされ、周りが見えない、情けない、アリスに褒められるような自分では無くなっていることを恥じた。

あまつさえアリスをマリアの敵と憎んでいた。

アリスは私に思わせぶりな言葉をかけた。

それが嘘だと分かっても、自分がそれだけアリスを傷つけてそうさせたのだと反省した。

優しいアリスの心に傷をつけて居た。

冷静になった私は見ないようにしていたマリアの悪い所を見てマリアに幻滅し、綺麗にその恋心が無くなった。

そしてアリスの為にできることをしようと思った。

アリスにもうエドワルド様を想う気持ちがないのなら、婚約破棄されても良いのだろう。

我が国は王位は王の指名制。

生まれた順番ではなく優秀さで決まる。

悪い所は無いが、さして褒め称えるところもない安定を求める第1位王子派

側室の子で正妃様に疎まれ、あまり表舞台に立たずその姿を見せない、正体のあまり分からないが優秀と聞く第3位王子派

活発的で将来有望とされ何より公爵家と言う大きな後ろ盾を持つので支持される第2王子、エドワルド様の派閥。

そして中立派。

マリアの虜でマリアのわがままをなんでも聞く、将来王位に着いたら愚王になることが目に見えているエドワルド様、何よりアリスとの婚約が無くなったらなんの魅力もなくなるというのにそれも分からぬ愚かなエドワルド様。

貴方には決して王位を継がせない。

アリスを傷つけたから。

いや、それ以前に公爵家として、そんな存在を王にする事は、国のためにならない止めるべきこと。

そもそもエドワルド様とアリスの婚約はアリスがエドワルド様に惚れてアリスに甘い元々中立派だった公爵が娘を想い、まだ将来良き王になるだろうと期待されて成立した婚約だ。

アリスが王族に嫁がなくてもリウォンダー家は安定していて栄えている。

そうなってくると私も家のため国の為微力ながら愚王を作らぬための助力をしようと思う。

中立派、公爵家が後ろについてるから安定だろうという第2王子派の家の子息令嬢達に現状を家にそれとなく伝えて貰う事で第2王子派を減らす。

義父と手紙で連絡を取り合い密かにアリスを傷つけたエドワルド様に痛手を負わす準備とスムーズな婚約破棄ができるように手配する。


アリス、貴女が手に入らない事は分かっている。

でも貴女に立派だと褒めてもらえる私である努力をもう一度しようと思うよ。

もうみっともない私には戻らない。

貴女の義弟として恥ずかしくない男になってみせる。

だけどアリス、貴女への想いはもう忘れたりしない。

こんなに愛しくて、大切な気持ちだから。

幼く目を背ける事しか出来なかった私ではもう無いから。

叶うことはないけれど、この切ない痛みも私の大切な宝物。


「ルーク?辛そうな顔をしてる、何かあったの?」


図書室、いつの間にか私の前に座っていたアリス。

ビックリした。


「いや、やるべき事が見つかって頑張らないとなぁと思って、気合を入れていた所だよ。」


「そう、貴方はやっぱり立派ね、でも頑張るのと無理するのは違うのよ?加減を間違えないでね。わたくし応援してるわ。」


天使のように微笑むアリス。

それだけで私は幸せだ。

読んで下さりありがとうございます。

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