閑話:オスカーの心※オスカー視点
攻略対象達も色々考えてるんだよキャンペーン中。
それにしても惚れやすい。
オスカーの次はルークを書く予定です。
本当に!アホでちょろい攻略対象達だから好きだって人は、攻略対象達の心の閑話は飛ばして下さい。
作者が今更愛を持とうと思った攻略対象達を、美化して動いてもらった結果です。
おっと、今日は一段と嫌な事が合ったらしい。
菫色の小さな彼女は演習場の隅で膝を抱えて、熱心にこちらを見ている。
剣を振り回したくてうずうずしてるようだ。
アリス。変わったご令嬢。
普段令嬢の鏡のように高貴で優美に振る舞う、隙のない彼女。
公爵令嬢と言う立場から完璧に振舞って居るが本当はお転婆だ。
剣を交えたから分かる。
彼女から伝わってくる粗雑でそれでいて優しく、繊細な心。
強がって居て誰も頼れない。
本音を見せない。
数々のご令嬢の悩みを聞いて甘い言葉を囁き、色男として自分の価値を目に見えて確認しないと、不安で押しつぶされそうな俺。
騎士団長の息子として幼い頃から国を守ることを決められ、強くなる事が当たり前。
どんな日も剣を振るっていた。
そんな中マリアは現れた。
強くなくても、女の子の理想でなくても。真面目な俺を好きだ、無理をしなくても貴方は強くて優しい方です。マリアにそう言われて俺は剣を振るう事がすくなくなった。
肩の力が抜けた気がした。
だけど彼女が選んだのはエドワルド様だった。
それでも俺はマリアから離れられなかった。
誰にでも優しいマリアは俺のそんな心を知ってか、エドワルド様を大切にしながらも俺に優しく変わらず居てくれた。
エドワルド様も、気心知れた友人の様にマリアと居るようになってから一緒にいて、マリアを大切に思っている。
そんな2人だから俺は王になったエドワルド様とその妃になったマリアを騎士団長として見守ると決めた。
2人を見ていると苦しいけれど、マリアへの心は俺だけのもの。それだけを持って生きていこう。
そう自分の心を美化していた。
そんな時出会ったのがアリス。
真っ赤な目で泣いている彼女に何故か惹き付けられて、立ち去ろうとする彼女を引き止めた。
思えば叶わぬ想いを誰かを助ける自分で紛らわそうとしていた。何とも失礼な、そして嫌な俺の癖だ。
だけどその手は振り払われた。
高貴なその人は自分の弱みを恥、気高くあろうと1人で耐えていた。
そんな彼女の涙が嘘だとわかったのはすぐだった。
ふらりと立ち寄った演習場。
久々に素振りをしようと思っていた。
そんな演習場の片隅で彼女は泣きながらお菓子を食べていた。
気になってなぜ泣いているのか訪ねた。
座るついでに何気なく口にしたお菓子。
その味はマリアの味そっくりだった。だけどマリアとは比べ物にならないほど完璧な味だった。
聞けばマリアの菓子のレシピは彼女のものだと言う。
信じられないし、信じたくなかった。
マリアが自分のためだけに一生懸命考えて作ってくれていたお菓子だと思っていたから。
マリアは言っていた。
レシピの精霊さんが教えてくれるの。
マリアの照れ隠しのの冗談だと思っていた。
だが実際にレシピの精霊さんは居た。
ここからだろう。アリスが企んで居たのは。
その後怒りだしたアリスは木剣を持って俺に打ち込んできた。
しばらく受けていて感じた。
言葉とは裏腹に。
そこには怒りなどない。
ただただ打ち込んでいる。
生身の俺の身体に1発も入れないで打ち込むアリスはとても冷静だった。
意図も分からず心を見せず。
息が切れるまで打ち合った。
なんて、心を見せない。俺に気づかせないように、でも俺を気遣い当てないところを打ち込む恥ずかしがり屋の剣なんだろう。
それなのに強気な踏み込みでご令嬢とは思えない剣さばき、何か思う所があるような気の強い打ち込み。
小さい頃から剣を振るってきたが、こんなにわかりやすいのに分からない剣は初めてだった。
気づけば俺はマリアの事など頭になくて名も知らぬ令嬢の事を考えているのに気づいた。
演習場を去っていく背を見送りアリスの残していったバスケットから菓子を取り出して食べた。
これは素人の作ったものとは思えない。
彼女のレシピなんだろう。
マリアはここまで完璧なものを持ってきたことは無い。
そこから少しマリアの幻想が壊れていく始まりだった。
あの令嬢に会いたい、強烈な印象のアリスだった。
アリスに会えないかと演習場で待っていた。
そして彼女に会えた。
運命だと思った。
そしてアリスの正体がエドワルド様の婚約者だと知った。
マリアとエドワルド様を見守る。そこにアリスと言う犠牲がある事に気付かされ、いっきに現実を見た気がした。
そこに恋心など無いんだろう。
だけど彼女は忘れていた、俺の目指す理想の俺を言ってくれた。
エドワルド様とアリスに一矢むくいるためにして居る行動だろう。
冷静にそうとらえられた。
だけどそれを悟られていないと思っているアリスを可愛いと思った。
そしてこれから自分に起こるであろう事を自分で何とかしようとする強さに、俺の弱さを思い知らされる様だった。
俺は逃げていた。
マリアの言葉が自分を楽な方へ流す言葉だと、どこかで分かっていながら止められなかった。
そんな弱い俺と違って必死に強くあろうとするアリスに憧れた。
彼女の助けになろう。
アリスの願い。アリスを守るための証拠を集めることにした。
沢山の生徒にアリスは悪くないことを証明して貰う為に署名とアリスについてを聞いた。
最初はただこの令嬢が退学になるのは嫌だなと言う漠然な思いで自分でもなぜやっているのか分からなかった。
周りの冷静な声を聞けばアリスの高評判にたいしてマリアの悪評は酷いものだった。
俺はどこかでマリアに幻滅することでマリアへの恋心が少しでも減れば良いなぁと思う程度だったのだろう。気づきたくなかった。マリアは優しくないことに。気づきたくなかった沢山のマリアの嘘に。
そうしてくるとアリスの高評価が何故そこまでと思った。
公爵令嬢だから皆気を使ってるのか?と思うほどにアリスに優しい人だと言う人は多かった。近寄り難いけどとても優しい人、それがアリスへの評価だった。アリスに助けられたという人も何人も居た。
そこまで優しいのか?と疑った。
気にしているとアリスが目に付いた。
窓からたまたま見つけたアリス。
囲まれていじめられてるだろう令嬢の元へ行き、囲んでいた令嬢達を一喝して蹴散らすといじめられていた令嬢がお礼を言うまもなく立ち去っていく。
演習場の使い古され汚れ誰も使わなかった木剣たちが無くなっていく。
ふと覗いた木剣置き場。
アリスは木剣を磨いていた。
声をかけるとただの暇つぶしに磨いていただけだと言う。
普通使われなくなった木剣なんぞ誰も目にかけないのに。
次第にアリスの素直でない優しさに惹かれた。
アリスは俺を甘やかさず、ただそのその存在で俺のあるべき場所を、あるべき姿を導いてくれる。
そこに偽りの甘言も、偽りの優しさもない。
今は猫をかぶった、マリアやエドワルド様しか見てないアリスだけど。俺にいつしか度胸がつき、2人なんて気にならないくらいいい男になったら君は俺を見てくれるかい?
最近少しかぶった猫が剥がれてきてるよ?
気づいているかいアリス。
「アリス、嫌な事があったんだろ?剣を持ってきな。」
「よけいなおせ……まぁわたくしの事を見ていて下さるのね。では遠慮なく。」
「さぁおいで!」
「はい!」
アリス今の君の剣はイライラしてるね。
本音が少し見えたよ。
俺に少しは心を許してくれてるんだね。
君のおかげで俺はまた毎日剣を振るってる。
君を思うと強くなれる。
君の事を考えると優しくなれる、この気持ちはきっと恋なんだろうね……
読んで下さりありがとうございます。




