15章 列車で温泉 ぱーとつー
紅蒼国 皐有県那廼郡雛乃杜村 雛乃杜温泉郷 せんでんホテルひなのもり
「ほな行きますか。」
ここの大浴場を摂津姉妹が気に入ったことによりこの地に彼らが訪れたサイの定宿となっていた。
那廼駅まで戻り新幹線で東龍駅へ。東龍駅から東行幹線と呼ばれる一大路線群の優等列車に乗り換え。まっすぐ東へ。
『この列車は伊勢大和新幹線―504号日向原行きです。次は牧浪に停車します。』
東行幹線を構成する路線のうち蒼明から牧丘、御魂ヶ原を経由し牧浪伊勢に至る蒼伊牧本線は、南臥、牧丘、伊勢で乗務員交代を行い日向原に向かう。特に伊勢は神応鉄道東部方面管区統括本部が置かれる交通の要衝として機能していた。
牧浪
かつて、地域の中心になることを目的として路線が引かれた計画都市であり、その中心となる牧浪駅は地域の交通管理システムStyle Transで、管理可能な陸海空の交通機関が集約された駅である。
だが、東の牧浪西の紅聖が、思い通りにならないことの代名詞とされるほど、神鉄首脳部が期待したほど発展しなかった。
そのため、当時の宇治原本線の終点であった伊勢市を再開発の対象とすることにした。
伊勢
神応鉄道の旧第三方面管区統括本部 現在の東部方面統括本部が置かれる、紅蒼国東部州の中心である。
人口規模は、東部州最大の250万人を超え、先述の再開発と、蒼伊本線の日向原までの計画全線開通。蒼牧本線との完全統合を経て、総線数320に上る紅蒼国最大の駅となる伊勢駅を中心に、高速バスや近隣都市との間を結ぶ都市間バスが乗り入れるバスターミナルが内包されている。
また、国の方針も手伝ってか国内の大企業は、蒼明、麒冥に次ぐ第三の拠点をここに置くことが多く、駅の北側に伊勢ビジネスガーデンが再開発との象徴として広がっている。
伊勢駅のホームは全て地下に設けられており特に新幹線と蒼伊牧本線優等ホームは列車入線時にホームドアに近寄らないよう注意がされる。
「やべえ。」
「おおかた、ここまで来て何のために来たか忘れたんでしょ?」
「うん。」
ちょっと慌て気味の神子さん。
「なあ、前見たけばい姉ちゃんまた同じ事やってるぞ。」
正規の言葉に千人近い視線がさりげなく向けられる。
そこにはいかにも遊んでいますと言いたげな格好にけばけばな化粧をした若い女性が腰を軽く振りながら歩いていた。もちろんヘソ出しルック。
ちなみに伊勢駅は全てのホームが地下にある。
「あれで、腹を壊したのは鉄道会社が悪いって行ったってどうしようもないもんな。だって、こうもまあ、鬱陶しいほどに『列車が高速で進入するためホーム内の気温が急激に低下する場合があります。また、進入時の強風で怪我を負ったとしても当社は一切の責任を負いかねます。』って掲示されてる。…。もう突っ込む気も失せるな。」
「お、うちのやることには根気よく突っ込む正規君が諦めた。」
とりあえず関係ない話なのだが、思いついたので書いておく。
「何や、急に。」
この話基本はかなり未来の時代で、SF要素はたいてい盛り込んでいる。
[そうですねぇ。]
だが一つだけ今の今まで扱っていない物がある。
転送装置
である。
「は?てんそうそうちなら、…あれCNCPか。あー。あれ?王国内に転送装置系って無いような。」
[何で、自分でいつでも好きなときに空間跳躍できるのにいちいち目的地を打ち込むなんざ面倒くさいことをしなきゃならない機械に頼るんですか。それに、転送装置に似たような物は既にJRが運用してますよ。]
「ああ。特定改札直結連絡ね。あれ、転送装置って言うか、空間跳躍の類だし連邦本星以外は使ってないよ。面倒臭いから。」
[つまり転送装置はないと。]
某ボールに入った動物を戦わせるゲームに有るボックスシステムのような物しか実用化されていない。というか、廃れた。何故か、蒼藍族、頭よくてどんちゃん騒ぎ好きで運動神経の良い面倒くさがり屋で変人の集まりである。
[まあ、空間跳躍は時代遅れと言い切るレベルに発達してますからね。それで、よその歴史に介入してますけど、あれ、はっきり言って白豪主義が悪いですからね。]
人種分類に当てはめたら白人に該当する人が何をおっしゃるやら。
「さてと。それじゃあ、ここで、解散自由行動です。」
神子の言葉に皆首を傾げる。
「あれ~?リーンーこの国の海軍の陸港どこだっけ?日向原になかったっけ?」
「有りませんね。伊勢原にはありますが。」
伊勢原は伊勢大和地区の西に広がる、東宇治原地区の中心地である。
「とりあえず足手まといになりそうな年寄りは温泉にでも浸かるとするかね。」
「船腹行ったら蒼天宮入れないから。」
船腹の風土食に虫料理があり、学校調査時に訪れた際遥夢と神子が泣いていやがった経験がある。
「あーいかないよ。要は各駅停車に乗らなければ良いんだろ?」
「特別快速以上に乗ってください。普通、快速、準急は止まるからね。」
大騒ぎの珍道中はまだ続くがここではひとまずここまで。
次章では舞台とか変わるからね




