早期決着
前回のあらすじ
魔物と戦争してたら他の国に邪魔された。ガウゼス帝国とかふざけた国がエルスランド帝国に宣戦布告。
とある帝国の外交官の一言。
「かかってこい。相手になってやる!!」
こんな感じだろう。
ガウゼス帝国と開戦してから大した戦いは起こっていない。精々小競り合いが2・3件と言ったところだ。
しかし、ガウゼス帝国がEMKの戦線側面を脅かしている関係上、北方戦線では進軍が滞りがちだ。魔物もそれをわかってか、北方に集中して攻撃を仕掛けてくる。
エルスランド帝国軍部や同盟国軍部は魔物との戦いに集中するためにもガウゼス帝国との早期決着を望んでいた。
だが、エルスランド帝国陸軍には現在、本土防衛の兵力とわずかな予備兵力がいるだけだ。
そこで、イリース共和国陸軍はガウゼス帝国との戦いのため、2個機甲旅団と1個歩兵師団、そして共和国陸軍最精鋭の白百合戦闘団をマガウド大陸に派遣することに決めた。
グリーゼ皇国も1個砲兵旅団程度ではあるが援軍を派遣。
エルスランド帝国からは陸軍2個騎兵旅団・1個砲兵連隊と2個戦闘飛行団・10個爆撃航空団、海軍からも1個航空戦隊がガウゼス帝国戦に参戦。
そして、早期決着のために選んだ攻撃目標はガウゼス帝国西部に位置する交易都市、ハルケルンだった。
ハルケルンはガウゼス帝国帝都とあらゆるを結ぶ重要な位置に存在し、帝国の心臓部とも言われる場所だ。ここを占領した場合、各都市に十分な量の食料や物資がいきわたらなくなる。帝国としてもそれを避けるため、ハルケルンに大規模な兵力が駐屯しており、ハルケルンに行くまでにも多数の帝国要塞群を突破しなければならない。
だからこそ、ハルケルンを占領すれば向こうから講和を持ちかけてくると軍部は思った。
軍部はこの作戦を「リトルムーン作戦」と命名し、ガウゼス帝国侵攻軍を同盟軍と命名した。
作戦当日、ガウゼス帝国国境には作戦参加部隊が集結していた。
懸念されていたハルケルンまでの要塞群は海軍の第15航空戦隊の艦載機及び2個爆撃飛行団が要塞を破壊した。
そのため、ハルケルンまでには大した障害はなかった。
午前7時、ハルケルンに向け、全軍が進軍を開始した。
ガウゼス帝国から攻撃はなく、平原をただひたすら突き進みだけだった。
「静かだな。」
「ああ、恐ろしいくらいにな。」
騎兵連隊の兵士がつぶやく。
ガウゼス帝国側も要塞群への爆撃から同盟軍の目的がハルケルンの占領と言うことを考えハルケルンに周辺都市の予備兵力をハルケルンに集結させ、防御を固めた。
数日後、同盟軍はハルケルン前面1キロに迫った。
ハルケルンには防壁などがなく、守備隊は討って出る必要があった。
「全軍進め!!!!」
指揮官の号令でハルケルン守備隊は街から出撃するとグリーゼ皇国第2砲兵旅団とエルスランド帝国陸軍第25砲兵連隊から放たれる砲弾に嵐にさらされる。
守備隊は密集陣形のため、砲兵のいい的にしかならなかった。
それでも、守備隊は進んでくる。
そこに、爆撃飛行団や航空母艦から発艦された艦載機が守備隊の兵士を襲撃。
それでも兵士は突き進む。
兵士たちに疑問はなかった。
ガウゼス帝国は数年前、クーデターで当時の皇帝が殺された。
クーデターを起こしたのは皇帝の妻、皇后だった。
皇后はクーデターを起こし、皇帝を殺害後、女帝として即位。
今後、ガウゼス帝国は女帝しか認めないと宣言。軍部も男性1色から女性1色に変わり、指導者層の男性は近隣諸国に亡命した。
その関係で、まったくと言っていいほど戦争に関しては分からなかった。
それに女帝やその周囲は大のショタコンであり、武官の家に生まれた少年を軍師や司令官にするなど軍部の質は低下していた。
兵士に対しても洗脳教育を行うことで命令に忠実な兵士が生まれたが、練度は低くクーデター後一切戦争を行っていないため軍部の欠点もわからない状況だった。
結局、軍の質は低下し、同盟軍が予測した戦闘時間より大幅に短い時間で戦闘は終結。
ハルケルン守備隊は全滅し、同盟軍はハルケルンを占領。指揮官や司令官・軍師などの将官の捕虜を多数得たが、帝国は一向に講和する気配がなく、こちらから講和してみるも、断られた。
軍部は諜報部よりガウゼス帝国の内情を入手。
しかし、だからといって状況が変わるわけもなく、ガウゼス帝国戦は長期戦に移行する結果となった。




