領海内への侵入者
前回のあらすじ
共和国・皇国「軍拡するから武器を購入したい。」
帝国企業「儲かる儲かる。」
共和国・皇国「使い方わからない。」
帝国「軍事顧問団送るし、うちの士官学校に留学しな。」
某国家「傭兵に裏切られて国無くなったのでイリース共和国に逃げよう。」
これで良し!!!
エルスランド帝国哨戒部隊所属の零式水上偵察機はいつもどうりの哨戒を行っていた。
本日も今までと同じ何事もなく終わるはずだった。
「おい!あんな帆船は我が国にあったか?」
哨戒中の零式水上偵察機が帝国領海内を航行する不審船を発見した。
「女神様!!あれは、何でしょうか!!!」
「新手の魔物ではないでしょうか?」
「くそ!!あいつらめ。ここで沈められてはどうしようもありません。攻撃開始!!」
零式水上偵察機は確認のために高度を下げ不審船に近づこうとしていた。
「もう少しだけ高度を下げれないか?」
「これ以上下げると魔法攻撃で迎撃される可能性もある。迂闊に高度を下げるのは危険だ!」
操縦手の心配に反して不審船から魔法での攻撃があった。
「この高度まで届くか!!」
「迂闊に近づくのは危険だ、本部に連絡して増援を待とう!!」
「それがよさそうだな。」
零式水上偵察機が高度を上げようとしたその時・・・
「女神様、奴らが逃げようとしています!!」
「逃がせば奴らの船団が来てしまいます。絶対逃がしてはなりません。」
「しかし、これ以上の高さまでは・・・・」
「私が力を貸します。」
「巫女様!!」
「何をしているのです!!早く攻撃魔法を。」
「はっ!!」
不審船を中心に大規模な魔方陣が現れた。船から放たれた魔法は上昇中の零式水上偵察機に命中。零式水上偵察機は爆発は免れたものの、操縦が聞かなくなり墜落した。
零式水上偵察機が不審船によって墜落した数分後、帝国領海警備隊は大慌てになっていた。
「零式水上観測機に爆弾を搭載して当該海域に向かわせる準備をさせろ。」
「了解!!」
「現在、ここで待機している海防艦は何だ!!」
「択捉型海防艦が5隻とイルマリネン級・スヴァリイェ級・トンブリ級海防戦艦が各1隻ずつ停泊中です。」
「念には念をだ。すべて現場に急行させろ。」
「イリース共和国海軍が現在、当該海域付近で訓練を行っております。」
「外務省と海軍省にこのことを通達しろ。同盟国海軍が危機にさらされるのはまずい!」
「了解。」
領海警備隊所属の水上基地から零式水上観測機は爆弾を抱え不審船に向け飛び立つ準備をしていた。
その頃、墜落した零式水上偵察機の操縦手たちは不審船の乗組員に助けられた、と言うか捕虜にされ牢に押し込まれた。もちろん、彼女らにとって怪しいものはすべて取り上げられた。
「隊長、我々はどうなるんですかね?」
「知らん。」
「そんな無責任な!」
「おい!!静かにしろ。」
「すいません。」
「お前らはおそらく処刑される。私達にとって忌まわしき奴だからな。」
「どこかで会ったか?」
「そう言うことじゃない。お前たちすべてが問題なんだ。」
「エルスランド帝国がか?」
「エルスランド帝国、何だそれは?」
「何だそれはって。お前たちはイリース王国の残党じゃないのか?」
「どうして私たちが王国の残党なんだ!!!!」
「どうしてって、王国を滅ぼしたのは実質エルスランド帝国だしな。」
「そうですね。」
「まあ、とどめを討ったのは北イリース共和国だがな。」
「北イリース共和国?」
「ああ、確か今じゃあイリース共和国だったかな。」
「確かエルスランド帝国の傀儡政府でしたっけ?」
「それは元だ、元。もう完全独立してるからな。」
「何のことだ?エルスランド帝国とか、傀儡政府とか。」
「傀儡政府ってのはこっちの都合で作った国のことだったかな。」
「たぶんそんな感じですよ。」
「お前たちはマッドドッグ傭兵団の連中じゃないのか???」
「マッドドッグ傭兵団?何だそれ。俺たちはエルスランド帝国領海警備隊哨戒部の兵士だけど。」
「ここは、エルスランド帝国と言う国の領海内なのか!?」
「そうだぜ。だから、俺達哨戒部の哨戒機に見つかるんだよ。たぶんあと少ししたら巡視船が来るかもな。」
「隊長、下手したら海軍が来るかもしれないですよ。」
「そうかもな。」
「それは、まずい。急いで報告せねば。」
女騎士は真っ青な顔をしてほかの兵士に牢屋番を押し付け階段を上がっていった。
彼女が向かった部屋では7か国の指導者達が水上偵察機から引き揚げた一枚の地図を見ていた。
「この情報が正しければ、我々はエルスランド帝国と言う国の領海内を航行していることになるぞ!!」
「と言うことは先ほどの者達もこの国の兵士か。」
「どうすればよいのですか女神様。」
「私達の目的は変わりません。イリース共和国を目指すだけです。」
そこに女騎士が入ってきた。
「どうしたのですか!ルーレー?」
「先ほど捕まえた者たちはエルスランド帝国と言う国の兵士です。」
「やはりそうでしたか。」
「知っておられたのですか!?」
「ええ、この地図を見たらね。」
「それだけかしら?」
「いいえ、彼らは兵士と言っても警備隊だそうで、こちらにこの国の海軍が向かってくる可能性があると言っています。」
「それは、まずいですね。」
その時・・・
『こちらは、エルスランド帝国領海警備隊である!!貴船はわが帝国領海内を無断で航行している。速やかに停止しなさい』
突然どこからともなく声が聞こえる。全員が急いで甲板に上がった。
そこには、帆の無い鋼鉄の船らしきものが8個浮いていた。