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【第一部完結】アストロ・ノーツ────異世界転生?女になって弱くなってるんだが……  作者: oleocan
第10章 アーベル地下ダンジョン編

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第226話 もう一振りの刀







翌日、余程疲弊していたのかクラウディは昼前まで寝てしまい、起きて辺りを見渡すと既にアイラの姿はなかった。


テーブルには1本、空の酒瓶が置いてあるのが目に入る。寝る前までには半分くらいあったが、全部飲んで行ったみたいだ。


少女が背筋を伸ばしていると、胸にひりついた痛みが走った。


「っ……」


寝てる間に好き勝手したのかまた胸に歯形と発赤ができており、痛いのでポーションで回復するクラウディ。


水筒をインベントリから取り出して数口飲み、干し肉やパンを胃に押し込んで空腹を満たした。それからすぐに男装をすると必要な荷物をまとめて部屋を出た。


宿の外は、陽は真上近くまで来ていた。


坂を下って大通りに出ると右へ曲がり、双子の鍛冶屋を目指した。ダンジョンに潜って7日、予定ではもう依頼した武器は出来上がっているはずだ。


20分ほどさらに歩いてアーベルの街の端の丸い鍛冶屋へと到着する。


工房から突き出た煙突からは煙が上がっており、中で作業しているのだろう。


クラウディはもう一度金があることを確認し工房のドアをノックした。


しかし反応はない。


特に鉄を叩く音も聞こえないが、もしかしたら別作業中で届かないのかもしれない。少女はL字のハンドルを掴むと引っ張ってドアを開けて中に入った。


中は薄暗く、明かりは炉の炎が照らしているだけだった。その光に当たって影が4つみえる。うち2つは例の小さな鍛冶屋だろう。あとの2つは身長の高いおそらく男性2人組。


「お!お主やっと来たのか!予定より遅いからバックレたのかと思っとったぞい!」


入り口に立つクラウディに気づいた工房主、双子ドワーフの姉のミコッテが小さな手を振った。


クラウディは手招きされ近くへ行くとあとの2人の影が誰だかわかりたじろいだ。


「あれ、君?」


「っ……」


何とゴツい鎧と大楯のパラディン、レオナスとあのラゼンという魔剣士だった。ラゼンは上半身の鎧を脱いでおり、その下に着ていただろう黒い衣服が見えた。カイザックよりはやや細身の体つきのようだ。


クラウディはチラリと大きな金床に目をやった。そこには傷だらけの鎧と割れた籠手が置いてあった。先日アイラとの戦闘で割れてしまったので修理にきたのだろう。


2人もこの双子の鍛冶屋に気に入られていたのだ。


「クロー君、だったよね?2日ぶりだね。君も修理かい?」


「ん?お主ら知り合いか?こやつは武器の作成依頼で取りに来たんじゃよ」


────守秘義務とかは無いのか……


あっさり他人のことを話すドワーフに片眉を上げるクラウディ。それを聞いてレオナスは好奇心に顔を輝かせた。


「へぇ!それは興味深い!」


「……武器は?」


「家の方にあるぞ。ちょっと待っとれ。こっちを先に片付ける」


クラウディはレオナスたちの事は気にしないようにし、彼らの要件が終わるまで外で待つことにした。






「ほれ、これが完成品じゃ」


あの後15分くらいして話は終わり、クラウディは小さな家の方に案内された。相変わらず小さい家である。


中に入るとドワーフの妹のミネッコが包みを二つ、2階から抱えてきてテーブルに置いた。


クラウディは促されて比較的薄い包みの方をペリペリと綺麗に剥がした。中から出てきたのは派手な装飾のない、鍔のない刀だった。鞘から剣を抜くと、反ったやや短めの刀身が出てくる。波紋なのか、直刃がしっかりと出ていてイメージにかなり近かった。


それにかなり手に馴染む。


────やはりこれだ


元男の少女は元世界では刀を主体とした武器を使用していたと確信した。二振りの刀でだ。


「あっちの方の構造を真似ては見たが複雑すぎて8割が限界じゃった。その代わりきちんと『頑強』を付与しといたからの!」


ミコッテが腰に手をやり、得意げに胸を張った。


「いくらだ?」


「ふむ……そうじゃな完璧には仕上げられんかったからのぅ……本当は30万と言いたいが、25で勘弁しといてやる」


「了解」


クラウディは硬貨袋から金貨を25枚きっちり渡した。毎度ありと両手で受け取る鍛治屋。


────ん?あれ、25って当初通りでは?


少しモヤっとしたが取り敢えず刀を受け取り鞘に納めた。


「見たことない武器だね」


「…………」


何故かついて来ていたレオナスが横から覗きながら繁々と眺める。入り口にはラゼンの姿もあった。先日の件もあってか近づいてはこない。


「なぜ居る?」


「いやぁ!やっぱり気になっちゃって!で、その武器はなんて言うんだい?シミターに似てるけど」


「…………これは刀だ」


「カタナ?僕の知ってるのと違うな……種類があるのかな。あれ、そっちのは?」


好奇心の強いレオナスはもう一つの包みを指差した。やや厚めの布で包んである。おそらく直に触れると持ち上げられないのだろう。


クラウディは見せる必要もないとウーラタイト製の刀を持つとそそくさと出ようと出口に向かった。


「ちょちょちょ!待つです!待つです!」


クラウディの前にミネッコが跳ねながら立ち塞がる。


「……なんだ?金なら払った」


「悪いの、わしらは作ったものの性能もきちんと確かめておきたいのじゃよ」


────ああ、なるほど


ローランドルのドワーフ、スコットも実演するのを見たがったなと思い出したクラウディ。


どうすれば良いか聞くと工房の裏に試し切り用の人形があるというので一同向かうことになった。

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