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25話:甘やかしと王子様。

<お知らせ>

サブタイトル訂正しました。

 さぁ午後からどうしようかな。人に疲れちゃったしなぁ。歩き回るのも面倒くさいなぁ。


 あまり集中できないままに考えを巡らしながら、エマは南方の国から輸入されたスパイス入りのミルクティを飲んだ。


 これ前世のチャイだ。大好き!


 甘さとスパイスのバランスが最高だ。

 エマの為に用意された菓子皿の上には、ヒヨコ豆の粉でできた生地を限りなく薄く延ばし重ねて焼いたオレンジの味の菓子、ナッツを砂糖で煮込んでスパイスで味付けて固めたものや、牛乳と練乳を煮詰めココナッツを加えたものが並べてある。

 適当にとって口に運ぶと想像以上に美味しい。

 一つ二つと口に放り込んだ。

 どこか異国の香りがする。エマはデイアラとは全く違う文化に何となくテンションがあがった。


 といっても、ここでは何もやることが無いしなぁ。暇。


 エマは文化祭実行委員の事務所の片隅で暇をもてあましていた。


 演劇部の公演が終わり講堂から出たとたん、イビスに指示された文化祭実行委員達に拉致されたのだ。

 実行委員たちはテオフィルスだけ連れ戻せという指令だったらしい。


 が。


 テオフィルスがエマも一緒でないと同行しないと宣言したためこんなことになってしまったのである。

 そのときの委員会メンバーのうんざりした顔といったら……。


 テオってこんな性格でしたっけ??? もっとクールなとこもある感じじゃなかった?? イメージ悪くなっちゃわない??


 社交を頑張っているテオフィルスを知っているだけに、今までの努力が無駄になってしまうのではないか。エマは不安になった。


 「その程度でどうにかなるほど俺の評価低くないから。今日はエマと午後からしか会えないと思ってたのに、午前中から一緒にいれたんだ。もう今更離れたくないな。側にいて?」


 とテオフィルスは小さな声でそっと言った。そういわれると何も反論できず、ただただ従うだけだった。


 テオのささやき、ほんと反則。逆らえなくなっちゃう。


 テオフィルスはいつものスペースで実行委員メンバーに指図しながら持ち込まれる案件を滞ることなく処理している。

 たまに目が合うとやわらかに微笑んだ。

 そのたびに事務室がざわつくのはエマの気のせいだろうか……。


 「ソーンがあんな顔して笑うんだね。君、すごいじゃないの」


 エマの向かいの席に聞き覚えの在る声の主が座る。赤毛に薄茶色ヘーゼルの瞳……


 「ウィンダム殿下???」


 朝の遭遇。そして不快感。

 エマの記憶が一気によみがえった。テオフィルスにもらった幸せな気持ちが薄れていく。


 「こんにちは、エマ・アイビン。君とはまた会えると思ってたよ。朝ぶり?」


 「左様でございますか。私は二度とお会いしたくないと思っておりました」


 エマは冷たく言い放った。

 王族に対しての態度ではないとは分かっていたが、関わりたくない思いが強かった。

 緑がかった薄茶色ヘーゼルの瞳には何かよからぬ事が含まれている気がしてならない。


 「ははは、冷たいなぁ」


 呆れたように笑うとウィンダムは菓子皿の上の菓子を口に入れ、ゆっくりと咀嚼する。のど仏が上下に動いた。


 エマは言葉も出せずその様子を凝視した。否、せざるを得なかった。この赤毛の王族はちょっとした動作も優雅で美しくそして威圧感があった。


 イビス兄さまも美人過ぎて目がはなせない人だけど、ウィンダム殿下には違った魅力がありすぎる。何なのこの人……。


 「これ旨いね。南国メスの菓子かな?」


 「そうですよ。メスの菓子を作る店が屋台を出していましてね、そちらから買ってきたのです。妹は田舎者ゆえ他国の菓子に疎く、食べさせてやりたかったものですから」


 クレーマーを無事撃退したイビスが紅茶ポットを持ち、ウィンダムの横に立っていた。シンプルなティーカップにチャイ風紅茶を注ぐ。


 「メスの紅茶です。菓子に合いますよ。ところで殿下。いかがなされました?」


 「やぁイビス。お前に会いに来たんだよ?」


 紅茶を飲みながら、ウィンダムはウィンクをした。イビスは眉間に皺をよせ……それさえ麗しいのは何故だろうか……、忌々し気にため息をついた。


 「ご冗談は止してください、僕も仕事があるのです。お暇ならライオネルでも呼び出されたらいかがです? アレは殿下のお望みならすぐにでも参りましょう」


 「レオもいいけどなぁ。今日はレオの気分じゃないんだ」


 ウィンダムは事務室を見回しながら一瞬視線を止め、テオフィルスの黒い瞳が自分を冷たく捉えているのを確認すると、


 「エマを誘いに来たんだよ。“朝は”逃げられたからね」


 エマの手を取り、再び甲にキスをした。


 「ちょっ!!! 殿下??」


 エマは声を上げた。背中に寒気が走る。

 凍りついたエマとは対称的にウィンダムは艶やかなそれでいて優雅な笑みを口元に浮かべた。


 「エマ・アイビン嬢、俺と一緒に来て欲しい」



出てくるお菓子はナッツとお砂糖をたっぷり使ったカロリー関係ないお菓子をイメージしました。

無糖の紅茶が合いそうですが、エマは甘党なのでダブルで糖分補給してますw


ブックマーク&読んでいただきありがとうございます!

書いていてとても悩むことも多いですが、すごく励まされます!


次回は明日更新できたらなと思ってます。

次回もよろしくお願いいたします。


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