神々の食卓
下品です。ダメなヒトはダメですよ。
普段、弓使いで英雄勇者のタマゴを予感させる"太陽の神子"の称号も持つ金色の相方は、低くくぐもった笑い声を出しながらゆっくりと進んでいくのに対して、わしは「くそっ」とか「ていやっ」、「くっ殺ろ」なんて奇声を上げてスライム素材の剣を振り回しているだけ。
なにこの設定?
転生・転移管理局にもの申す!
・・・運営の方がしっくりくるかも。ほんなん、どっちでもよかった。
我憤る。故に我有り。
あっかぁーん、脳沸いてきてもぅた。
どうみても、相方がボスでわしは、露払いしている下っ端ではないかっ。
むむっ、思いついたぞっ。変装も出来るようになったし修業にでも出るか。うっかりだ。もう、でけとーやん。
おしっ、あとはうまく分身出来たら、相方居なくてもひとり漫才がでける。むはははは。
にしても光と影の対極関係とか、納得いかんわい。
ぶつぶつ言いながら進んでいくと、次の層への転送陣小屋が見えだした。
うん、小屋の上に公衆トイレ有りのマークかがある。良きかな良きかな。
「急ぐぞ」
「承知!」
そう、わしらはなにかと喰っちゃ飲むを繰り返してたからな。下が近いのだよ。がははははは。
近づくにつれ、一つに見えていた転送陣の東屋と休養所と公衆トイレを兼ねた小屋、人工の小さな滝と泉の精をかたどったのか左右の手に水差しと底のやや深い器を持つ薄衣の乙女像が奉られたちっちゃい祠が直径10メートルほどの池の中央にあり、小さな橋で繋がっている。
冒険の安全とか安らぎを求める者へのモニュメント的な?
無論わしらの目的は、憩いとか休息ぢゃない。
「敵は本能児にあり」
「是非も無し」
「押して参る」
「応」
陽光の下では、お肌の関係でわしはマッパにはなれないけど、ダンジョンでは、屋内と同じで平気なのだよ。
周囲に人気がないのをいいことに、マッパになることをいとわずわしらはスライム襦袢を脱ぎ捨てて、小屋の中に飛び込んだ。
しばらくして相方は腹をわしは股間を押さえてトボトボ出てきた。
ねえねえどうしてだか聞きたい?
えっ、ウザイ? 面倒くさいですと!
はいはい、小屋の中ってね、ポットン便所でしたー。清掃も行き届いてなくて床はなにやら、べちゃべちゃしてるし、目に来る、鼻に来る、頭にくる。
それも大人用ですから、あの禍々しき深淵を裸足で跨ぐなんて、恐怖なんて文字では生ぬるいでしょうよっ。
「こんなし打ち絶えられませんわっ」
「そうよ、そうよ」
「あのダンマス許せませんわ」
「そうよ、そうよ」
「今度遭ったら、コテンパンにナカして差し上げますわ」
「そうよ、そうよ」
「それはさておき、あれをご覧になって」
「まあ、なんていうことでしょう」
「きっと、便器よね」
「ええ、しっかりとした焼き物の便器のようですわ」
「夜想曲でおなじみの、ニクなんとかじゃないですよね」
「もっと近づかないと解りませんわよ」
「ええ、でわ参りましょうか」
「はい、いずこなりとも」
わしらは、ジワリジワリと目的地を目指す。
なにをかくそう小屋に入りかけて、気が緩みほんの少しゆるまっているのだ。
緊急を要しながらも素早くいけないもどかしさよ。
一線を越えてしまうと、言ってしまうんだろうな。「くっ、殺せ!」とな。
それでも、間に合ったわしらは金色に輝くもモザイクをかけないとダメな存在とおさらばし池で体を洗い合いお互いを抱きしめあった。
「「へくちゅん~」」
先にもたらされてた情報で、第七層はフィールド型湿原で毒虫、は虫類、鳥類などの状態異常系が多数出没するなんて趣味じゃなかったからだ。
小型でうじゃうじゃなんてキモすぎだよ。ホラーだよ。ヒッチコックだよっ。
そのまま転送陣で地上へと戻っていった。
案の定、ポン○とナナ○に説教されるのだがそれ以上でもそれ以下でもないし、割愛方向でいいよねっ。
半日ほど時間をおいて後。
傭兵団内でも医師、ヒーラー、鑑定士など前線でなく後部支援を目的としたグループが通りかかった。
訓練で階層をループ行軍していた元神職の経歴があり探知と鑑定持ちの傭兵団員が、祠の乙女像の異変に気づき、思わぬ発見をした。
「これは、・・・・」
「どうしたブラウン。夕べの安い酒が残ってんのか」
跪いて手を天に掲げ突然顔を押さえて泣き出した男に同僚は、落ち着くのを待たずに肩に手を置き尋ねた。酒の臭いがしたわけじゃないが、いつもと違う行動にまだ酒が残っていたのかと声を掛けていた。
「奇跡だ。この地は神に愛されている」
「えっ。何言ってんだ。正気になれよ」
「ワトソン。正気もナニも、私が酒を飲めないのは知っているだろう」
「---そうだったな」
「この神々しい気配が判らないか」
「いや、あーーさっぱりだ」
「なげかわしい・・・・」
ブラウンは自分以外で鑑定の出来る者を呼び、まず器の中身を鑑定させると、自分の鑑定にその者の言葉が出なくてがくがく震えだした。
「私の見立てが合ってたら頷いてくれ。違ってたら横に振ってくれ。大丈夫か」
男が首を縦に振るのを見定めてブラウンが容器に指を指し言葉を続けた。
「早速だが、これは神の食べ物の一つ"ショコラータ"でいいか」
男が大きく頷いたのをみて、ほっと笑みを浮かべてワトソンにドヤ顔をしてみせる。
「この水差しの中身は、神の飲み物の一つ"アップルジュース"でいいか」
肯定するように男は再びうなずいた。
「そして最後に、この溢れんばかりの泉がエリクサーだと見ているのだがどうだ」
彼らの検証で十分すぎる回復力で薬としてどれだけ使用しようとも明くる日には、基の量に戻っていた。
その後、傭兵団は情報公開をしたのちもここを回復拠点として効果的に自らのレベルを上げていった。
噂は広まり護衛付きで訪れた著名な研究者により、効果が証明され、『奇跡の泉と乙女像』として広まっていった。
研究者の発表で国外にも奇跡の効果が知られるようになったが、神の食べ物と神の飲み物と泉の水は他の階層に移った時点で腐敗した臭いを出して効力を失い、その量だけ容器の内容量が回復しないことだけは伝わらなかった。
不届き者の知るところとなってから、『奇跡の泉と乙女像』は奇跡を起こさなくなった。
ずっと後になるがブラウンは傭兵団員を辞めヲタ村に出来た"聖女教会"で神職となる。付け加えるならば探偵まがいの推理力が覚醒するのは別なお話。
ここまでお読みいただき,ありがとうございます。
ネタ以外でモブに名前は付けません。
・おしらせ(201811吉日)
唐突ですが、今回で『-Episode 2 After- ヲタ村ダンジョン』は、終わりです。
引き続き、『-Episode 3 Before- ポンコツ姫の巡礼道中(仮)』へと続きます。(←連絡なくときどきタイトルが変わります)
各エピソードからの"間話"は、『-Episode 0- 薮AI /YaBu-AI』へ"幕間:"として順不同で追加していきます。
設定の一部メモ。読み飛ばし推奨
相方は、段階により、"陽光の神子""太陽の神子""勇者見習い""英雄"など日の当たる二つ名と称号を次から次へと開花させている。"神"に近い立ち位置な。だって創造神代理と切っても切れない関係だし。
んで、わし側は"月闇の巫女""月光の巫女""聖女なり損い"など、なんか日当たりの悪い設定。どっちかってえと"魔王"寄りですな。なにしろ真祖の前身で"大魔王"よりも上位で"邪神見習い"だったり。
いずれにせよ、ミィとウィは成長半ばで舞台から姿を消します。成長と言ってもバストのことではありませんよ、板胸さんのままですからねっ。はい、そこ誰が痛胸じゃいっ。
資料:
『困難-第一層』フィールド型密林 主にエイプ
『困難-第二層』フィールド型草原 主に猿人と共闘する狼
『困難-第三層』フィールド型砂漠(裂け目有り) 主にモグラもどき
『困難-第四層』フィールド型疎らな森林 低位アンデッド(スケルトン系、ゾンビ、グール)
『困難-第五層』 魔石交換所
5階、フードコート併設の食堂階 第四層への転送陣
4階、書籍と文房具類等
3階、防具、アクセサリー
2階、武器
1階、消耗品など冒険アイテム 入口フロアと第六層への転送陣
『困難-第六層』フィールド型平原 主に各種ラージスライム
『困難-第七層』フィールド型湿原 毒虫、は虫類、鳥類など 状態異常系が多数
『困難-第八層』フィールド型森林 レッサーバンパイア グール ゴースト その他
『困難-第九層』人工ダンジョン ミノタウロス オーガ ゴースト その他
『困難-第十層』 第五層店を拡大し、映画館なとを追加し拡張されたアレ。
10階、映画館 第九層への転送陣
9階、フードコート併設の食堂階 第九層への転送陣
8階、名門店階 カフェなど含む 第九層への転送陣
4階、書籍と文房具類等
3階、防具、アクセサリー
2階、武器
1階、消耗品など冒険アイテム 入口フロアと第十一層への転送陣




