このドキドキは、ト・キ・メ・キ ?
すちゃっととれた。
えっ、"とれた"じゃなくて、ふむふむ。ほぅ"外れた"と表現するのか。
なんせ4歳児の言うことだから、笑って流せ。わし、つごうよく"おっさん"なのを忘れられるのだ。えっへん。
わし焦ったぞ。さっきまでのわしのトキメキを返してってんだ。
腕輪をつけると頭の中にメッセージが流れてきて外し方とかがわかったんだが、これなんつーギミックのデバイスだよ。
もうナニか起きても、受け入れてしまいあまり驚かなくなつたわしって、老いてしまったぜ。
『申し遅れました、「麒麟の腕輪」と申します。以後お見知りおきを』
はあ? まっいいか。追々、理解して行きゃいいよな。
『はい、マスター』
そこは「イエスマイロード」的に。
『イエスマイロード』
うむ。このアイテムは、歴代の主人公に受け継がれていきそだな。
『そこは"主人公"でなく"ヒロイン"だと、僭越ながら。認識をもたれるべきかと』
はぁー、ヒロインですと?
『はい、ミィさま「帝釈天の腕輪」が英雄勇者対応で、私「麒麟の腕輪」が聖女巫女対応となっております』
なんですとー、わし攻略されちゃう側なのぉ?
ふと、相方を見ると金色の腕輪をキラッと光らせてドヤ顔を向けてくる。ちっくせうーーーー!
ほんのちょっとだけ、お股がキュンとなっちゃったじゃないか。
お漏らししてないかちぇっくはしたぞ。ネバいのもないしあと2回で交換すれば、まだ大丈夫だ。
宿を飛び出した。
さっ、やっと『困難』にトライだ。
転送陣の前には、まだ攻略者がいないからか、順番を待つ身の程知らずの冒険者が長く列を作っている。
先頭を見ると『ID枠が満杯』など書かれたプラカードを持ったスタッフらしき背のすこし低い着ぐるみが、列の誘導やらを行っているね。
わしらが最後尾に並ぶと、ちょっと視線が集まった。まさかヒロイン枠で見てんじゃねえだろおな。今のわしは百合指向だぜ。仮想対象は現在ナナ○さんだ。あのポンコツ姫はありえねぇ。
保険であるとか、ポイントカード兼メンバーカードの確認も行っているようで、所持していないと所持してから出直して挑戦するか、紛失したのなら『簡単』から受け始めるように勧められているのね。
ここでぐずるとギルドから人が来たり注目を浴びるから、すなおに出直しているようだ。
中には、出直すように言われて、わしらをチラ見してから、指さしながら係員にくってかかっているが、なにか忠告されてからどこかへ転送されて居るみたいだな。ご愁傷様。何となく、『適度』か『困難』のどこかの階層だろうな。ソロのNIDじゃキツイなんて物じゃないだろうね。死ぬよ。
前にいたパーティに一人そんなのがいて、パーティ構成が崩れたのに残った人数だけでチャレンジするらしい。慢心してなきゃいいけどね。
係員からの情報で、現在の最大攻略進度は第十一層到達で、傭兵団が3班に分かれIDで進めているらしい。若いねー。おじさんにはまぶしいよ。
『適当ステージ』は待たなくて入れなかったけど、この『困難ステージ』では、死亡率が高いので保険加入を勧めるのと、前後のパーティトの間隔を開けるために調整しているそうだ。これはダンゴになんないようにとのサービスだとか。
んと、気づいたこと。扉横に時々青い魔方陣、赤い魔方陣が現れ前者は装備付き、後者は貫頭衣姿で現れる。他には赤い点滅光が現れなにかがチャリンと落ちる音がして、ギルド職員が拾って籠に入れている。傭兵か冒険者タグだな。南無ぅー、合掌礼拝。
ギルド職員さんのお仕事見学をしていたら、やっと順番になった。
わしと相方に好奇の目が集まっとる。かわゆいって罪になるのなら、わしらは重罪だな。えっへん。
即転移じゃなく、少し間のあいたようなディレィタイムを連想する転送だった。眩暈も頭痛もシビレもない、状況把握さえすれば即戦闘開始できるようになんだろね。でも転送された先は、狭いけどセーフティーゾーンになっているみたいで、モンスターたちには認識されていないみたいだ。
セーフティーゾーンでのタイムリミットは約一分。次の転送者がやってくるからだよ。
もし次の転送者達とバッティングすると強制排出で押し出されるか、強制脱出または内部転移になる。
強制脱出だとランダムで「装備」、「所持金」、「所有DP」、「獲得報酬」が少なからず減少しているが、致死ではない。
内部転移は、転送罠と同等で、必ずしもセーフティーエリアに送られるとは限らずに、運が悪ければ残念な結果にしかならない。
「魔石」、「所持金」、「所有DP」から支払って自主的に脱出する方法もある。
んでね、転送してきたわしら四人の前でエイプらに袋にされて赤い魔方陣によって消えていく直前のパーティの皆さん方。仲間内でちゃんと資格調査とアクシデントの想定なんかも欠如してたんじゃねーの。
「「コンディションレッド」」
「ロック解除。フルバーーストぉーーー!」
「全解除承認。敵勢力、完全殲滅せよー!」
はい、ドンぐらいの火力かわかんないのに和で輪野力を解放しちゃったわしら、オーバーキルでした。『適度』最下層でのボスに当たるつもりでやっちゃってましたよ。
和製RPGの後遺症ですかねぇ。(;^^)ヘ..
ここまでお読みいただき,ありがとうございます。
( ..)φメモメモ
NID・・・下記、IDで無いことを表す当シリーズ内での造語。
ID・・・インスタンスダンジョンのこと。組んだパーティ以外は参加できない。内部の罠やモンスターはリセットされている。
なお、[Episode 2 After]時点のヲタ村ダンジョンでは、最大20名までとしている。
・銀の腕輪 麒麟の腕輪 四象
東 春 青龍 守備範囲:空海
南 夏 朱雀 守備範囲:空
西 秋 白虎 守備範囲:地上
北 冬 玄武 守備範囲:地上・地中・海
・金の腕輪 帝釈天の腕輪 四天王
東 持国天 眷属:[comingsoon]
南 増長天 眷属:[comingsoon]
西 広目天 眷属:[comingsoon]
北 多聞天(毘沙門天) 眷属:[comingsoon]
青色転送・・・任意脱出
緑色転送・・・内部転移
黄色転送・・・ランダム転送
赤色転送・・・死亡保険
赤点滅・・・・死亡(ギルドタグのみ転送)