"やり過ぎた"と書いて"カ・イ・カ・ン"と読む訳がない
『困難』一層目、地勢も変わった。誰か地図を作っていたら、あまりの変化に驚くかもしんない。
密林ジャングルで、せいぜい周辺の樹木と目の前のエイプ数体だけが対象だったのに、フロアー全体が更地になってしまった。
「「!」」
武器に手を掛けたままのポン○とナナ○はフリーズしている。
「「すっげー、爽快だねえ」」
元凶の現況はこれだ。
リポップまであと一時間足らず。
背後から、次のパーティが転送してきたが、見通しのイイ一面の風景を見て、聞いていたのと違うとかつぶやいている。
もう一つ想定外だったのは、次の層への転送陣か階段が見つけにくいだけ。
後続パーティーも宗作に加わっていく。
後からやってきた誰かが言った。
「確かにコレは『困難』だわ」
「おーい、転送陣見つけたぞー」
「こっこだぞー」
ナナ○が転送陣を見つけたのでわしと相方が大声で後続パーティを呼んだ。
ほぼ一時間して、わしらがやっと転送陣を見つけたので、4人が入り起動させる。転送される直前にリボップして、戦う状態じゃなかった後続パーティは全滅しましたとさ。
ただ単に、地形が変わって土に埋まったり、樹木に突き上げられ落下したり、俊敏なエイプの群に隣接したぐらいな。
保険を掛けてて生還した者達が、『困難ステージの七不思議』として語り継ぐ祖となったとか。その後冒険者引退をして余生を安穏にくらしたそうだ。
悲鳴など叫び声を歓喜の雄叫びと捉えたわしらの怪進撃は、そんなにもは続かない。
『困難』二層目。一層目ですこしだけ学習したわしらは、機動力に勝る猿人と家畜化した狼に苦戦した。それなりの攻撃力のあるナナ○とミィの飛び道具でも一撃必中ともならず、かといって破壊力は高いが機敏には動けないポン○、リーチの短いわし。んーもぉ。
「やるべ?」
「んだ!」
わしらは少しだけ学習している。蛆シリーズを両手に持ち、背中合わせにグルグルと廻りながら前進していった。
はい、ポン○とナナ○はわしらの回転に合わせて周回してたけどね。
いやー、DPカウンターが上がる上がる。わっはっはっはっは。
幾つもあったカートリッジを使いつぶしてしまった。
「ミィ、そろそろトンプソンにしようか」
「Ok!」
ミィが張りぼての戦車になった。
「それは、エイブラムスやがな」
「めんご」
わしらは怪しい気配に向けて撃ったり、前進しながら銃を縦にし立木に背を当てて周囲を伺ったり、前進しながらぐるんと前転して前・右・前・左・前と銃口を向けてみたり。
「「満腹たぁー」」
蛆シリーズから持ち替えて、敵勢力とは遭遇もなく東屋な人工物の中央に設置された次の層への転送陣が見つかった。
「上の層はこんなのじゃなかったね」
「うん。あっちは目印無くて不親切だよね」
「DMに会ったら、言っとかなくちゃ」
「世間じゃ通用しませんよってね」
自分たちが、地形まで変貌させたなんて自覚がないのがわしらだ。えっへん。
後日、DMとお茶する機会があって教えてもらったら、第二層は上の層での情報が伝わっていて、様子見程度だったけど近寄るだけで殲滅させられるのと聞き慣れない音に、みんな道を譲ってくれたのだとか。
聞いてわしらは舌打ちした。「「けっ、根性なしの使えねぇ奴らだ」」
『困難』三層目。降り立ったわしらの4人のウチ3人がハンマー職の一人を見た。
このフロアーは砂漠状態だが、所々に亀裂があり、底が見えないほどの深さがある。勢いを付けてジャンプをすれば向こう側まで届きそうだけど、砂の中に居るモンスターが邪魔をするのだ。渡れないだけならいいけど、谷底に落っこちたらたまったもんじゃないよな。
そんなエキシビジョンな光景を、先行パーティーがやっていた。
ちなみに砂中のモンスターって砂上に出ている部分が、メットを被ってグラサン掛けたモグラみたいでね。
ポン○が愛用のハンマーで地面を打つ。しかし既にモンスターは別な穴へ移動した模様。
「あかんな」
「はなしにならんな」
「同意」
「しゃあないな」
「やるっきゃないか」
「お手柔らかに」
わし、相方、ナナ○は成果の出ないへろへろでよれよれのポン○を見ながら、小さいおしりを上げた。追伸、わしのおしりはいろんな意味でみずみずしいぞ。でも触ったら、さらっとしてるから。今日のおむつは、お出かけ用だからねっ。えっへん。
取り出したのは、マレビト謹製のピコハン。
「えいっ」
「やぁあ」
「とぉお」
近場の穴にモンスターはもぬけの殻だけどフタをするように同時に振り下ろす。
バフッシュ。
穴という穴、至る所から破裂音と伴に砂とモンスターが飛び出してきた。
ここまでお読みいただき,ありがとうございます。
ミィとウィがチートなのではなくDMから贈られた"腕輪"やマレビトの拘りアイテムがチートでピーキーなだけです。二人はせいぜい中級冒険者。まぁ一般人と比べるとTUEEEEですがね。




