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背徳の異世界家族計画  作者: carel
異世界人建国計画編
37/95

36.飛竜?


 俺達が地図作成に向かい、上空を飛んでいた。


 飛空艇には、高度計、速度計、方位磁石等が備えており、高度10kmを維持し、北に向かって進んだ。


 地図作成と言っても、魔素を記録して行くだけの、単純作業だった為、飛空艇の後部に転移魔法陣を付けて、いつでも会議堂に戻れる様にしていた。


 「にぃ、暇!」


 「ダンジョン攻略行く?」


 「さすがに、一人残されると、俺でも暇だな……。」


 「母さんと行く。」


 「父さんは、こっち……。」 


 「ごめんなさい!一人で、大丈夫です。」


 そう言うと、琴音と鈴音を送り出す事にした。


 「こっちはこっちで、飛竜とか出るかも知れないから、二人はダンジョンでも、攻略してきてくれ……。」 


 ここで俺達の駆け引きが、始まる……。


 片やダンジョン内でのゴーレム上位種戦、片や飛空艇での飛竜戦……。


 「飛空艇からだと、手裏剣のオールレンジ攻撃が有効そうだよな?」


 「にぃ、素材はどうするの?」


 「飛竜って、美味しいの?」


 よしっ!食い付いたっ。


 「どうなんだろうな~?……あっ!でも、確か恐竜って、鶏肉みたいな味がしたって話だったな……。飛竜はどうだろうな?」


 「「………………。」」


 「うこっけい……。」


 「比内地鶏……。」


 「名古屋コーチン……。」


 「天草大王……。」


 「「う~……。」」


 「琴音と鈴音は、ダンジョンか~……。あ~、残念!非常に残念だな……。」


 二人が、涙目になって来ている。……そろそろ、潮時か?


 「にぃ、私達は一心同体。」


 「何処までも、ついて行く。」


 「そうか……。良かったよ、二人がいてくれて……、倒すのはいいけど回収どうしようか、悩んでたんだ。」


 「私達に任せて。」


 「アイテムポーチのオールレンジ回収!」


 「なんて無茶苦茶な発想なんだよ……。出来るのか?」


 「「練習してみる。」」


 「……おう……。頑張れ……。」


 何とか、一人での地図作成を、回避した俺だったが……、琴音と鈴音のやる気に、一抹の不安を感じた。


 「でも、暇な事は確かだからな……。交代でダンジョンに行くか?転移魔法陣を常時、外に出してるのと、婚約指輪で連絡をマメに取るって事で、一人ずつ潜っても、問題ないと思うんだけど……。」


 「じゃあ、潜る。」


 「母さんは?」


 「居た方が安全だな……。別の意味で不安だが……。」


 「私、最初!鈴音、次。」


 「私、にぃと、イチャついてる。」 


 「やっぱり、鈴音、先で良い……。」


 「琴音が、先で良いよ……。」


 二人が言いあっているのは、久々に見たが……。


 「姉妹喧嘩も程々にしておけよ、一応飛空艇の中だからな……。」


 「「喧嘩じゃない!」」


 「そうか……じゃあ、俺から先に……。」


 「「にぃは、ダメ!」」

 

 「そうなると、当初の予定通り、3人でいるしかないな……。むしろ俺としては、その方が良い。」


 「「分かった……。飛竜、掃討する。」」


 そう言って、二人が指差した方を見ると……。


 山脈の拠点から、北西の一際、高い山の頂に米粒みたいなのが動いているのが見える。高さ的に5000m位だが……。


 「良く見えるな……。あれ飛竜なのか?」


 「「私達の視力は6.0!」」   


 「サンコンさんかよっ!」


 「冗談。」


 「魔眼スキル。」


 「視力が上がる。」


 「通称……。」


 「「オスマン眼!」」


 「サンコンさんじゃねぇ~かっ!」


 「でもダメ、日本の生活が長すぎた……。」


 「視力が1.2に落ちる……。」


 「まんま、サンコンさんだろっ!」


 ダメだ!このパターンは何時までも続いてしまう……。


 「魔眼スキルはいいとして、あれって飛竜だろ……。鑑定はいけるか?」


 琴音、鈴音が目を細める……。近眼の人がよくやる……あれだ。


 「にぃ、サンコン眼。」


 「舐めない!」


 「うわっ!この人達、サンコン眼、言っちゃってるよ。どんだけサンコンさん推すんだよ……。」


 「鑑定結果、ワイバーン!」


 「牡、牝、居る。」


 「適性、火、風、持ってる。」


 「火炎弾的なの吹くかな?」


 「きっと、リオ何とか!」


 「部位破壊!」


 「「首、獲る!」」


 「首、獲ったら部位破壊じゃないだろ……、終わってるし。」


 防御面はいいとして、問題は火と風の耐性も持っていそうな事だ……、効きが悪いだろう……。


 この高度だと、土魔術は使えない。そうすると、水魔術なんだが……。


 「う~ん……。」


 「どうしたの?にぃ……。」


 「にぃ、悩みごと?」


 「俺達って、接近戦がメインだろ……。かと言って、魔術も苦手じゃないんだが……。この飛空艇って、頑強な風船に毛が生えたような機動力だから、光学迷彩で接近しても、見つかったら逃げれないし、一撃で仕留めて回収って方法しか、ないんだよな……。ついでに言うと捕捉も難しいと思うし、遠距離だと回収も難しい……。機動力が足りないんだよ。」


 「「う~ん……。」」


 「だろ?」


 「にぃ、高速ウインチ作って!」


 「魔力で動かせる奴!」


 「あぁ~、アレするのか?お前等……。立体機動的な奴。」


 「アンカーは手裏剣で代用する。」


 「射出は風魔術!」


 「お前ら無茶言うな……。一応、ここは高度10000mだぞ!アンカー刺すにしろ、ワイバーンにしか刺せないだろうし。それに、たぶん酸素濃度薄いぞ……。」 

 

 「そこは、ソールの改良!」


 「結界で、気圧安定させる。」


 一応は考えてる様だが……。


 「それでも、心配なんだよな……一旦、降りるか……。あの山だと5000m位だし、多少酸素は薄いが、誘き出して迎撃した方が楽だろう。」 


 「空中戦したかった……。」


 「でも、にぃの愛だから……。」


 「「妥協する……。」」


 と言う事で、ワイバーン狩りをする為、山へ近づいて行った。


 近づくにつれ、ワイバーンの数が増えて行く……。


 「竜の巣だぁ~!」


 琴音が、飛竜の屯してる所を見つけ指を差して叫ぶ。


 「父さんの言ったとおりだ。向こうは逆に風が吹いている。」


 鈴音が言うが……。


 「はい……、親父はそんな事言ってないし、風も逆には吹いていないね……。」


 「「………………。」」


 「にぃ!ラピュタはこの中だ!」


 「山の中てっ……。」


 「行こうっ、にぃ!父さんの言った道だ!父さんは、帰って来たよ!!」 


 「「…………………………。」」


 琴音と鈴音がワイバーンを指差しこっちを見つめる……。


 「分かった、分かった……。よぅし、行こう!………で良いか?」


 琴音、鈴音は頷くと、着陸地点を探しにかかった。


 山の上層は、途中から木々が無くなり、岩が剥き出しになっている為、どこでも着陸は出来るが、比較的なだらかな場所を探している。 


 「にぃ、あそこ平ら。」


 「あそこだとワイバーン狩りやすい。」


 って、ワイバーンが羽休めの為、屯っている場所を指差す。


 「私達が先に降りる。」


 「着陸場所、確保する。」


 「問題無いとは思うが……。誰に似たんだか……。」


 「「にぃは、ゆっくり降りて来れば良い。」」


 この娘達って、こんなに戦闘狂だったんだな……。


 「にぃ、失礼!」


 「にぃも、人の事言えない!」


 「こんな時だけ、心眼使うのかよ……。」


 「「にぃが、顔に出てただけ……。」」


 「えっ!出てた。」


 「「やっぱり、失礼なこと考えてた……。」」


 「誘導尋問かよ……。でも、アンカー使えば、着陸場所なんてどこでもいいぞ。後は後部ハッチから出れば良いだけだし。」


 「えぇ~!私達、無双したい。」


 「にぃ、鶏肉だよ!」


 「そんなに言うなら、近くに寄せてサイドのドアから、降りて行くか?」


 「にぃ、ありがと!」


 「にぃ、大好き!」


 「くれぐれも気を付けろよ……。」


 そして、ワイバーンがいる場所の10m上空に差し掛かると、二人は勢いよく飛び出していった。


 二人とも、トンファーと手裏剣の装備だ。


 「あっ!」


 今、気付いた……。あいつ等、パイルバンカー使いたかったんだろ……。


 ドッゴッ~ン!!


 頭にパイルバンカー形の結界が突き刺さり、地面に串刺しになっているワイバーンが2羽いた。


 そういや、ワイバーンに翼があるから、助数詞は、羽でいいのだろうか?そうすると、西洋風のドラゴンが1羽、2羽ってなるのか?グリフォンなんかも、そうなるな、でもグリフォンは半分鳥類だし問題ないか……。


 ドラゴンってトカゲの仲間になるから……、そうすると、ひきか?大型でとう?ワイバーンも、匹か……。


 う~ん……、分からん!


 そんな事を考えていると、周りにいたワイバーンが何事かと、首を上げた所に顎の下から、パイルバンカーが打ち上げられた。


 この分だと、直ぐに終わりそうだな……、二人とも楽しそうに戦っている。


 …………、そうかっ!死体なら、たいで良いのか。


 やっぱり、中卒の頭だと、この問題は難しいな……。


 俺は、若干気落ちしながらも、二人が確保してくれた場所に、飛空艇を係留した。  


 「どれっ!俺も発散するかな。」


 そう呟き、俺も外に出て行ったが……。


 「「にぃ、遅い!」」


 8体ほどのワイバーンの死体を残し、ワイバーンは上空に逃げている。


 「う~ん……、魔術で殲滅しても、食材は残らないからな……。」 

 

 二人が、一撃の元に葬り去るから、ワイバーンも本能的に逃げ出したのだろう……。意外と、頭が良いのか?


 「まあ、今回は8体で我慢するか……。割と、大きいから食いでがあるだろ。」


 「「了解、そうする……。」」


 食材を回収し、1体だけ切り分けて収納した。


 飛空艇内で、調理する為である。


 「これ、美味しいんだろうか?」


 「微妙……?」

  

 「ささみっぽいかも?」


 「それじゃ調理次第か……?」


 「むしろ蛇に近い……?」


 「爬虫類なの?」

 

 「ワニとかスッポンって思うと、期待できるんじゃないか?」 


 「「おお~!」」


 「にぃが、ギンギンッ!」


 「精!力!増!強!」


 「血も行ける!」


 「爬虫類様様!」

 

 変な意味で、二人が興奮し始めている……。


 「ふぅ~。一応、ここにも転移魔法陣、置いて行くから美味しかったら、また来ればいいか……。」


 そんな感じで話を区切り、ワイバーンがいなかった場所に、魔法陣を設置して、飛空艇へと戻って行った。


 そして、地図作成を行うため飛空艇を発進させた。


 地図作成の間、暇をつぶす為、簡易の調理場を作り、鈴音と琴音にワイバーンを調理して貰う。


 何か、アウトドア用品の様な、調理器具になってしまったが、問題ないだろう……。


 取りあえず、鳥と仮定して調理しているようだが……、とりあえず、塩ゆでして貰った。


 多分、素材の味が一番分かり易い。


 「「「う~ん……。」」」


 「にぃ、ぱさぱさ……。」


 「ささ身より、味気無い……。」


 「そうだな……。味付けが重要だな……。こういうのは……、唐揚げだな!」


 「小麦粉で大丈夫?」


 「片栗粉が良かった?」


 「どっちも美味そうだな。油は、薬草から作ってみるか……。効能とかあるかも知れん。」


 「にぃ、面白そう。」


 「生命の原液、再来!」


 「まだ腐るほどあるし、やって見るよ。」

  

 薬草を100束取り出し、錬金で油の抽出を行なっていく……。


 鑑定!


 生命の原液:生命構成物


 魔素(液状):魔素


 水:H2O


 「あれっ!」


 「「どうしたの、にぃ?」」

 

 「この前、抽出した3種の液体になった……。」


 「生命の原液が油?」


 「魔素(液状)が油?」


 「そう言う事だよな……。生命の原液は、そんなに油っぽくなかったから……。魔素の方か?」


 「魔素、確認してみる……。」


 何気に、魔素のは言っている瓶から、琴音が一滴、手の平に落とす……。


 「にぃ、これ油っぽい……。」


 「本気まじかっ!」


 「超高級油……。」


 「3人しか居ないし、使ってみるか?」


 「「おお~!」」


 俺達は、超高級な油の使用を、決行する事にした。


 そして、収納から小麦粉を出し、鈴音に預ける。琴音は、ワイバーンの肉を唐揚げサイズに切り分ける……。切り分けた所から、鈴音がサクさんの所からもらった卵を絡ませ、小麦粉につけ、それを超高級油、通称、魔素油に放り込んでいく……。


 ちなみに、卵も高級食材、サクさんが、たまたま手に入れたのを譲って貰ったのだ……。

 

 多分、俺達のレパートリーを期待しての事だろう……。


 美味しかったら、サクさんにワイバーンの唐揚げを、教えるとしよう……。


 そんなこんなで、ジュワッ~!と、音を立てながら唐揚げが、カリッ!ときつね色に上がって行く……。


 「「にぃ、美味そう!」」


 「そうだな、でも魔素で揚げるってのも、斬新だよな……。」


 「「にぃしか出来ない……。」」


 俺はミスリルで、油切りのバットを作成、確か紙も入っていた筈だから、中にそれを敷き鈴音に預ける。


 琴音が大皿に、盛り付けして行く。


 「さて、そろそろ、全部上がりそうだな……。」


 「にぃ、ソース!」


 「にぃ、マヨネーズ!」


 「俺はレモンが欲しい……。」


 収納には、ソースとケチャップ、マヨネーズは入っているが……。残念ながらレモンが無い……。


 「レモンも探そうかな……。」


 何だろう、やっぱり食材が少なすぎる……。食糧事情の改善は急務なんだが……、忙しいんだよな……。


 早めに、大森林手前ダンジョンの攻略もしないと……。


 唐揚げを揚げ終わり、俺達は簡易のテーブルに、唐揚げとスパゲティーもどきを並べる。


 スパゲティーの生地は琴音が小麦粉と塩を練って作っていたので、俺は押し出し機を作り、麺を作って行った。


 後は、茹でてる間、ミートソースっぽい物を作り、終わりだから簡単である。


 「それじゃあ、いただきますか?」


 「「「いただきま~す!」」」


 何か、ピクニック気分になってきた……。


 こういうのも良いな~……。


 地球だと、中々味わえなかったから、一際楽しい……。琴音と鈴音もそうだと良いな~!等と思いながら箸をつける。

  

 「うおっ!いけるっ!」


 ワイバーンの唐揚げが思いの外、美味い……。


 「「にぃ、美味い!」」


 「やっぱり、調理法次第だな……。」


 「これ、サクさんに教える。」


 「油だけ問題!」


 「油は、サクさんの所にもあるだろ!」


 「あれは、魔獣の背脂!」


 「食物油とか生産確立しないと……。」


 「そうだな……。その辺も問題なのか……。生産性の高い物があればいいけど……。」


 「それより、食事!」


 「にぃ、考えすぎ!」


 「そうだなっ!折角のお前達の手料理だ!」 


 「「にぃ~!ワイバーンの血もある!」」 


 「それは要らない!」


 「にぃ、早過ぎ……。」


 「精力剤だよ……。」


 「いや~!このスパゲティーも美味いな~。流石は琴音!」


 「そっ、そう……。」


 「琴音、騙されない……。」


 「唐揚げだって、俺好みの味だぞ……。」


 「そっ、そう……。」


 「鈴音……。」


 二人が、見つめ合って項垂れる……。


 この後、追及されない事を祈り、料理に舌鼓を打つ……。



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