表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アディマライド~英雄のツヅキ~  作者: 多神 久郎
6/16

第六話 いのちを探して

コウは変身スキルを使ってエクラノプランの内部へ突入。

薄気味の悪い蚊人間たちと交戦した。


アイリの親父さんは見付かるのか!?



「二つ!」


 蚊人間は何とかこっち蹴りを腕を立ててガードしたが、

アディマライドオンした僕の力はステータス九十九に

更にプラスされているので無残に残骸の中を吹き飛んでいった。

あと残り四つ。僕と蚊人間たちは距離を取りつつ、

エクラノプランの腹の中を走る。


「三つ!」


 飛び掛ってきた蚊人間の顎を左足で蹴り上げる。

そしてその足を下ろしきる前に斜め横から隙を突いて飛び掛ってきた。


「四つ!」


 左足を下ろして直ぐ右足で蚊人間の横っ腹を薙ぐ。

ピンボールの球のように彼方此方ぶつかりながら奥へ飛んでいく。

残り二人は空へ飛ぼうと腰を屈めた。


「五つ!」


 残骸を伝い、先に一人の頭の上へ飛び上がり踵落としを決める。

バシャッとその場の足元の水溜りに崩れ落ちる蚊人間。

ラストは空高く舞い上がり、僕が飛び込んで来た方向と逆へ逃げていく。

何か嫌な予感がするので、今度は押さえず全力で駆けて行く。

だがあまりにも早くて追い抜いてしまった。


「ラストォッ!」


 斜め前に飛び上がり、飛び蹴りを鳩尾に喰らわせて

元来た方向へ吹っ飛ばした。

そして身を翻すと、更に奥には細長い物体に溝がある物が沢山あった。


「ギギ」


「ギギギ」


 次から次へと羽化してくる蚊人間。

ボウフラの過程を吹っ飛ばしてくるとは流石ゲームだなと思いながらも

「ウィンドウ開け!」

 と空中で叫ぶ。するとウィンドウが開き、やっと選べるようになっていた。

だが相変わらず選択数は少ない。しかもファイアライドバスターはフリーズって

言ったのに、入っている。とするともう一つしか必然的にない。

名前はファイアライドガトリング砲。四の五のいってる時間はない。


「来い! ファイアライドガトリング砲」


 右手を掲げると空中から銃口に七つの穴が開いていて、

腕を覆うほどの長い銃身に恐らく弾倉と思われる長方形の箱。

それを右手で受け取るが、少し予想より重かった為ふらついてしまう。

どうやら右腕にもつけられるようだが、そのまま着けたら

腕が抜けてしまいそうなので、右腰に着けると何とかしっかりはまってくれた。


「いけっ!」

 僕がそう声を発すると、ウィィィンと音を立てて銃身が一周回った後

次々と羽化する蚊人間に向って弾が発射される。


ダダダダダダダと規則的にリズムを刻んでいくガトリング砲。


そして着弾して弾け飛ぶ蚊人間。


最初は爽快感から気分は高揚した。

だが途中から気分が悪くなる。一方的な虐殺じゃないのかこれは。

だがそうしなければこっちはきっと、あの鼻の部分から伸びている

針のようなものに刺され血を抜かれてしまうだろう。

ゲームだというのにガトリング砲を持つ手には、

ただ空中に光になって消えていく蚊人間の血がべったりと

付いているような気がした。これが命を奪う者の感覚なのか。

今まで虐げられる側だった僕が、いや今までだって知らないうちに

命を頂いて来た。気に入らなければ、母の料理を捨てていた。

今やっていることと何が違うのか。深く考えたこともなかった。


 背筋が寒くなり、胃からこみ上げてくるものを抑えながら蚊人間たちを一掃した。

「……い……お……しっ……おい! おい! しっかりしろ!」

 頭が真っ白になった状態でどうやら僕は立ち竦んでしまったらしい。


 視界を取り戻し、前を見るとそこには魚人間がいた。


「うわぁああああああああっ!」

 僕はまた敵が来た。僕の命を、僕を食う為に敵が来たと感じて

ファイアライドガトリング砲を魚人間に向ける。

「落ち着け! アイリの親父だ!」

 アイリという言葉に反応してガトリング砲を下ろす。

「良かった。あんたの御陰で助かったぜ! これで何とか外へ出られる! さ、背中に」

「いえ、いいです。先にどうぞ」


 そう言うと振り向き僕はファイアライドガトリング砲を構えて乱射する。

次々に破壊されていく残骸たち。

「おい止めろ!」

「……」

「無闇に命を奪うな!」

「……」

「俺たちが命を頂くように、俺たちも喰われる事がある。そして頂いたのなら綺麗に平ら

げ、その命を同化させた御前が誇らしく思われる人になれ!」

「……」


 アイリの親父さんの言葉は今の僕のもやもやした頭を晴らしてくれた。

多分正解で完全に晴れる事はなくても、そう思い生きるなら戦える。

昔ばあちゃんが言ってた。御飯の時の頂きますは、命を頂きますだって。

いつしか当たり前に口に運んで要らなければ捨ててそんな事を繰り返しているから、

命が軽くなったのではないだろうか。


「親父さん違いますよ。エクラノプランが船を飲み込んだ理由は、

体内に巣食っていたあの蚊人間たちの所為じゃないかと思って。

居なくなった後船の残骸が残っていたら、

また御腹を壊すんじゃないかと考えて破壊してるだけです」

「おぉそうだったのか」

 前にテレビで見た事がある。漂流物を飲み込んでしまう鮫や鯨がいると言うのを。

好んで食べたわけではない上に消化も排出もできないので、弱ってしまうらしい。

体の中に巣食った何かが体を暴れまわっているとしたら、

想像するだけでも胃が痛くなる。それで食べもしない物を飲み込んで

何とか排泄したかったのではないか。もしくは倒してくれる誰かを待っていたか。

考えは尽きないが、早めに処理しよう。気分は良くないし、親父さんも長い事

こんな所に居て大変だったろう。


全て消し終わると、僕は傷付いた胃の中を直すべく回復魔法を唱えようとしたが、

覚えてない。ウィンドウの中に無いだろうか。


――――ウィンドウ開きますか?――――


「はい」


――――貴方ガ現在変身中ニ使エル回復魔法ハ一ツシカ有リマセン――――


「ならそれしかないだろ。はよ教えろ」


――――ライドヒーリングヲ使イマスカ?――――


「ライドヒーリング!」

 僕はそう叫んで手を空へ向けると僕を中心に、

白い炎がエクラノプランの内部の全てを包んだ。

赤黒がった内部がピンク色に戻っていく。

そして足元の胃液っぽいのも、綺麗な水に変わって行った。


「さ、脱出するぞ! 背中に乗ってくれ!」

「はい!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ