妬みとは
学校生活。それは渡にとって全く予想できない世界。なので常に紬に対してあれやこれやと頼る事になる。
しかし、その行為はある特定の人達にマイナスの感情を与える事になってしまった。
特定の男子達と女子達。
彼等はいわゆる紬ファンクラブなるモノを作っている存在。
天然である栗色の髪。黄色に近い色をした瞳。影が有ったとは言え、笑顔を見せつつ学校生活を過ごしてきた紬。そんな紬は他の目から見て何処か神秘的で………。その為か、女子生徒の方が多く好意を持っていたりする。
ちょっと狂信者じゃない? と思うようなタイプの人達だが。きっと彼女達の脳内では百合の花が咲く。そんな妄想でいっぱいだっただろう。
しかし今! そんな紬に虫がついた! と、これは彼等の言い分だが。そう感じ取ってしまったらしい。
「我らが女神に悪い虫が付いたそうだ」
「殺虫剤は何処?」
と、どことなくばk……不穏な気配を見せるモノ達だが。その感情の元は〝羨ましい!!〟や〝妬ましい!〟というモノ。
だって、自分達の女神(一方的な信仰)が、自分達以外を見ている(今までも彼等が特別だった事は無い)のだから。
だがここで、今まで同士と言える同じファンクラブのメンバーに反対意見が生まれる事となる。
それは、渡や紬と同じクラスの生徒。
「まてまて、女神は影の無い笑顔を取り戻したんだ。そっとして置くのが一番だろう?」
「だよねー! あの笑顔は更に女神度を上げているわ!」
ふむ、確かに……そう感じている者は他にも居たのだろう。数名の男女がうんうんと縦に首を振っている。
しかし、其れすら我慢できない人達も居るようで……。
「馬鹿を言わないで! 女神が特定の人相手になんて許されないわ!」
お前は一体何なんだ。普通に考えれば、相手の事を考えその様な考えなど出来ないのだが……と言っても、既に女神などと人に対して言っている時点でお察しではある。
それに、どちらにしてもこの言い様からして、自分が一番では無いといけないタイプの人間だろう。下手をすればストーカー化するタイプだ。
しかし、そんな彼女に同意する人達も結構居る訳で……。
この日、紬ファンクラブはその嫉妬などから二分化する事となった。
片や見守り隊とでも言った人達。方や狂信者の集団……と、紬からしたらはた迷惑な存在だったりするのだが。
とは言え、遠くから見守る。それだけの存在ならば害は無いだろう。
そして、そんな見守る側に回った者達はと言えば……。
「あいつ等の行動はちょっとやばいよねー……これ、先生達に言っておく?」
「それと同時に、彼等の行動は見ておいた方が良さそうじゃない? 鏡宮君に何かあったら、宮入さんの笑顔がまた曇っちゃうんじゃない?」
あーだこーだと色々対策でも練るかの様に会話をする一同。
どうやら、渡の家族や学校が考えた様な、何も起こらないだろうという予想は、全くの想定外と言える部分から覆される事となった様だ。
恐らくこの事を相談された教師や教頭は、思わぬ問題にその頭を抱え、オデコが後退していく可能性に恐怖を覚える事になるだろう。
裏せってーい!
なぜこんなファンクラブが出来たのかと言うと、紬が学校行事において率先して皆が嫌がる仕事をやっていたから。ただ、それだけだと八方美人だ! と嫌われる可能性も有りますが、紬がちょこっとだけ影がある笑顔を浮かべていた事や、生徒側に立ち教師とバトルをした事も有るから。
教師からしてみれば、良い生徒なんだけど凄く扱いにくい存在だったり。
とは言え、実はこれ紬にもそうする理由がって、学校にいる間、下手な事を考えない様にするために色々と忙しくする為。
動いてないと不安に押しつぶされそうになっていたのでしょう。なので、今はきっと天国にいるかのような思い。そりゃ、笑顔に曇りなど無くなると言うものです。
ちなむと、狂信者タイプは過去に紬が教師とバトった時などに、直接助けて貰った人だったり。
まぁ、紬は割とワーカーホリックな気質になってしまって( ;∀;)




