習う
渡には便利魔法リードが有る。だが、それは書かれているモノを読み取るだけで、実際に習得したとは言えない。
渡の師匠は最初にリードの魔法を教え、魔導書を大量に叩き込ませた。
しかしそれで魔法が使えるかと言えばノーだ。情報として叩き込んだ魔法を、何度も何度も繰り返し練習し、失敗と成功を繰り返す事で初めてその神髄に触れる。
算数で例えるならば、1+1=2というのはデータで知ってるが、その1とは何ぞや? と言うのが読み込んだだけの状態と言えるだろう。
実際に買い物などで、チョコレートが1個や梨が2個などと言ったモノを見て使い処を理解する様に。
そんな訳で、今渡は学校にて叩き込んだ情報を最適化していると言っても良い。
言ってしまえば、インプットした物をアウトプットの方法を学んでいると言っても良いだろう。いや、その一つ前段階だろうか。
「なるほど……うむ、良く解らん」
などと言う時も有るようだ。
知識が有るだけではダメだというのを正に体現しているかのようである。勉強が出来るじゃダメなのだよ。ソレを活かす方法を学ばねばな! と言うやつだ。
とは言え、渡達の年齢にソレを言うのも酷な話。どちらかと言えば……インプットしろ! と言う教えな訳だし。お陰で、勉強が嫌いになる子が多数……と、その話は横に置いておくとしよう。
兎に角、渡は化学の実験を見て感動し、歴史の裏話と言う脱線を聞いては教科書に書いてなかったぞ!? と、興味を持ったりと、割と学校生活を楽しんでいる様だ。
「君は本当に楽しそうだねぇ」
「うむ、結構楽しいぞ。情報だけ抜いていると、どういうタイミングでどう使えば良いか解らないからな。それが一つ一つ理解出来る訳だしな」
答えを先に知り、後で計算式を学ぶと言った感じだろうか。まぁ、どちらにしろズルいと思う紬。
「まぁでも、其れをどう使うかって本人しだしねぇ……」
「ん? 何か言ったか」
「いやいや、楽しそうで何よりって事だよ」
渡であれば悪用などしないだろう。そう考えながら渡の質問に対して誤魔化す。
少し違和感を渡は感じたが、紬の表情から問題が有るような気配も無いと考え、まぁ良いかと違和感の正体を流した。
「ただ、一つ問題が有るのだが……」
「ん? 一体どんな内容だい?」
「そのだな……体育なのだが、どれだけ手加減をしても……な」
「あー……どうしようか。走る振りをしてもぶっちぎっちゃうし、かといって皆が走ってる中競歩をする訳にもいかないしね」
まぁ、競歩であっても周囲の人間を抜いてしまうだろう。
どうやら楽しい学校生活でも、渡を悩ませるモノが有った様だ。
リードの魔法は頭でっかちを作る魔法。よく言う〝あの人勉強は出来るんだけど……〟と言うやつですね。
中々に難しいお話しです(´-ω-`)




