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レベルアップ……レベルアップ!?

 地球上において、ゲームの様なレベルアップなるモノは存在しない。

 スキルアップにしても、数値として明確に出るなどと言う事は無い……良くて学歴に格闘技の段位や資格試験の様なモノだろう。


 しかし、渡の居た異世界において、明確なステータスの数値などと言うモノは無いにしても、大まかな枠組みはステータスの魔法で見る事が出来た。

 そして渡はふと思う。もしこの世界でステータスを見たらどうなるのだろうか……と。


 そして、そんな興味に狩られてしまった渡は、もううずうずとして我慢できねぇ!! と言う衝動に駆られ始めていた。

 だが、事は魔法の事だ。そして、魔法は勝手に使うな! と言う約束事をしている。その為に渡は、素直に思いを告げる事にした。


「紬! 良い所に来た。お願いが有るんだ、君の全てを見せてくれ!」


 間違いなく誤解する言い方だ。

 そして、そんな渡の声は渡の部屋以外にも響いており……リビングでは母の奈々がドキドキワクワクしていたりする。

 だが、言われた当の本人である紬はと言えば、こいつ一体何を言ったんだ? と、思考が停止中。


「む……紬。どうしたんだ?」


 反応が無い事で紬に声を掛ける渡。

 肩をトントンユラユラと叩いてみたり、揺らしてみたり。そんな渡の行動により紬は再起動。そして、言われた内容を思い出し……。


「君は何を僕にやるつもりだ!!」


 叫ぶ紬。まぁ、これに関しては誤解するような言い方をした渡が悪い。

 そもそも、異性に対して全てを見せろだなんて……そういったお誘いととらえられても仕方の無い話。

 だが、渡は一切そんな考えなど無い訳で、怒鳴られたと言うのにきょとんとした顔をしつつ、紬に対して話を続ける。


「紬は何を怒っているんだ? 俺は紬の情報を見たいと言っただけなのだが……」

「データ!? それって、スリーサイズとかそう言う事だよね!」

「スリーサイズ? なんだそれ。見たいのはステータスなのだが」


 ステータスと言われなんのこっちゃと、今度は紬が頭上にクエッションマークを浮かべる事になった。


「うむ、ステータスと言うのは魔法でスキル等をデータ化して見れるものだな」

「……紛らわしいよ!? さっきの言い方だと全く必要な事が伝わってないから!」


 全く、ドキドキした僕の気持ちを返してくれ! と、紬は心の中で愚痴る。とは言え、こんな事で動揺したなど言える訳もないし、それにステータスの話にも興味をそそられ、それならステータスの話を聞いて気分を変えよう! と、その様にする事にした、実に複雑な乙女心である。


「で、それを聞くと言う事は、ステータスを見る方法は魔法を使うと言う事かな」

「あぁ、その認識で間違っていない。魔法を使わなければならないから声を掛けたんだが……」

「はぁ……解ったよ。とりあえず僕が実験体になろう」


 しょうがないなぁと言わんばかりに、紬は苦笑しつつ渡のお願いを受け入れた。

 そして、受け入れられた渡と言えば、ワクワクと言った具合に気分が向上している。


「それでは……見るぞ」


 そう言いながら、ステータスを見る魔法を紬へと掛け……そのデータを確認する。

 すると、渡の表情は実に微妙な物へと変わって行った。


「え、えっと……何か悪い情報でも見えたのかい?」

「いや、うん、まぁ、ある意味悪い結果と言っても良いかもしれない。何せ、ステータスの方法が俺の知る見え方と違うんだ」


 スキル関連に関してだが、普通であれば習得しているスキルと、それが五段階評価の数値で表示される。

 例えば、剣術を習得しているのであれば〝〇〇流剣術・レベル4〟などと言った感じで。

 そして、師匠から様々の技術を叩きこまれた渡のステータスは……まぁ、普通に考えたらお見せ出来ないレベルだったりする。

 他にも、性別やら何処の国の人間か、所属している組織なども見る事が出来る。


 それはさておき。


 そんなステータスを見る魔法。それを使って見た紬のデータはと言えば……。


「名前すら表示されていないんだ」


 名前が無い、レベルも無い、スキルも無い、性別や所属している組織も書かれていない。


「む……と言う事は、こっちの世界の人には通用しない魔法と言う事?」

「だろうな。うーん……謎だな」

「あ! なら、君のデータはどうなってるんだい?」


 言われて気が付く。そう言えばこっちの世界に戻ってからステータスを見ていなかったな……と。

 なので、折角だからと自らのステータスを見てみると。


「おぉ!? なんだこれ!」

「な、何が有ったんだい!?」

「いや……俺のデータなんだが、予想以上にレベルが上がっていてな」


 ステータスは小まめにチェックすべし。コレは渡の師匠が渡に告げていた事だ。

 そんな教えを受けた渡は、此方の世界に戻る前それも隠し部屋へと入る前にチェックしていたりする。

 ただ、此方の世界に来てからチェックして居なかったのは、余りにも様々な事が有ったから……と、モンスターが居ない為に気が抜けていたと言うのも有る。


 そして、今確認したステータスだが……言ってしまえば隠し部屋に入った程度で上がる様なモノでは無かった。

 そりゃ驚くだろう。レベルアップする要素が無いにも拘らずレベルが上がっていたのだから。


「理由が解らない。やった行為は世界を渡る扉を潜った程度なのだが……」

「こっちの世界に戻ってからは……僕達が魔法の使用を禁止してるんだよね。まぁ、ちょっとした魔法は結構使っちゃってるみたいだけど」


 ジト目で告げる紬だが、紬の言う程度の魔法ではレベルが上がる要素など無い。

 結果、謎のレベルアップが起きたと言う事実と、此方の世界の人間にステータスは見れないと言う事が解っただけだった。

 実に残念で頭を抱える終わり方である。

と言う事で、ステータスチェックの不具合。

まぁ、地球の人は魔力を持っていませんから……読み取る魔力が無いという事でステータスはチェックできませんでしたとさ。と言う事です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 異世界の概念が付与されていないから見れない的な。
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