エクストラなシャペルン王‐大図書館都市の下克上記
「私達は、己の世界観が、掛け値なしで世界一って思ってるような人種だ。
なのに、今まで、さんざんぱら、イー君に圧倒されてた、そういう事情だったよな?」
今、目の前には四人の魔法少女ちっくな、外見少女の成りの、世界完全破滅可能な化物がいる。
「ああ、そうだが、?
ええぇ! そんなに怒ってたのかぁ!?」
「たりめーだ」
おそらくこの子が、事の発端を地獄の底から呼び起こした、リーダー格だと決め付ける。
「イリカ、それはメサイアの創意なのか?」
「しらねーよ、あんなのは、俺様の奴隷どもだ、黙して従う以外に、どだい選択肢を与えてねえぇ」
ここは玉座、俺は追い詰められた城の主に等しい。
本来なら静寂に包まれた静謐な空間、カツと鋭利な靴音響かせて、テコ入れの人材が一歩。
「イツキさん、ルナ図書館もほとんど同様です」
妹のような外見の銀髪、麗しい妹キャラは、こちらを平素と違う、挑戦的な目で見てきた。
「まあ、私の場合は、そこの暴君と違って、最低限の許可は得ました。
図書館の創意としても、破滅の鍵を行使し、世界を終わらせても、良いとの事」
「マジか、ナルコさんっ!」
「マジマジです」
「クッカッカ、そういう事だ。
もちろん、後ろの二人も、似たような感じってこった。
これで分かったか?」
二人の後ろにも、控える感じで二人いる。
金髪で、常在ひと殺しのような目が特徴的なアリシア。
サブリエル図書館の主だ。
さらに此処、エクストラシャペルンを本拠とする、本来なら俺の直属の部下、イデアも居た。
ひょっこり顔を覗かせて、舌を出す感じで、阿呆みたいに自分で頭小突いたりしている。
しかしアイツは組織ナンバーツ、星図詠図書館の代行だ。
「おいイデア、ステラはどうした?」
俺は疑問に思ったので、問うてみる。
すると、ぴょんぴょんひょこひょこ、跳ねるように三人に並ぶように移動した。
「さあ、知らないよ。
それに星図詠って、七大図書館じゃ、どう考えても最大規模だから。
この格下連中とは、いろいろ違うわけ♪」
イデアは更に一歩前に出て、他の図書館長、三人を見る。
「皆はちゃんと代表で、来てるみたいだけど。
まあ、一番の特権、みたいな?
やーあやーあ、殺気飛ばさなくてもいいよ、今は同盟中だもんねぇ♪
でも私が本気出せば、みんな瞬殺ってことを自覚して、自重してれば、それでいいから、っねぇ?」
とても嬉しそうな、嗜虐心溢れるサドな笑顔だ。
「本当に綺麗に笑うなぁイデアは」
「うふうふ、ありがとうね、イー君。
後で、ご褒美に苛めてあげるよぉ♪」
まったく嬉しくない、いや、どうだろう?。
そこで、そろそろ始めにガンガン檄を飛ばしていたイリカが、じれたように言う。
「そういうわけだ。
こちらは、共闘済み、破滅の鍵が過半数以上揃えば、どうなるか、分かるだろ?
つまりは、」
なにか言おうとしたのだが、そこで一拍。
キンと、硬質な床を硬いモノで、突くような音が響いた。
それは、まだ黙したままの、最後の一人によって遮られた。
「くだらない、ホントくだらない」
「ああぁ、何がだ? 俺様の企てに乗った、尻馬がなにかほざいてんだぁ? アリシア?」
全身を流れる金髪に、白い、魔法杖でない、ただのプラチック棒のようなモノを持って。
「ワタシは、ただ布告できれば、それだけで十分。
イツキ、貴方は我々に逆らえない。
その力を制限し、私達の、少なくともワタシの邪魔をしないように、自重あそばせ」
それだけ言って、後姿を晒しながら、踵を返していく。
「糞ツンデレが、どうせ後々からでも、手を出してくるんだろうが、あばずれがぁっ」
「イリカ、口が酷すぎるぞ。
しかし、アリシアが、共闘なんて今までしなかった、サブリエル図書館が、な」
イリカは「時代が変わったんだよ」と言って、こちらに微笑をくれる。
「というわけで、今日からイー君は、俺様の奴隷だ」
宣言された、見目麗しい少女に、所有物、奴隷宣言された、どうすればいいんだ?
「いいえ、わたしの奴隷です」
隣の銀髪少女、ナルコも、負けじと言う。
「ばーかぁ。
どう考えても、この中で最も力がある、私が幅を効かせる展開でしょ?
あんたらは、お呼びじゃないのよ」
「はっ、巨大図書館の後ろ盾がないと何もできない、そもそも代表代行が、何言ってんだっ?!」
イリカとイデアが、口汚く、言い合いを始めようとする、うーむ、どうするか。
クイクイ。
俺が悩ましげに、その場で静観していると、誰かが袖を引っ張った、まあ一人しかいないが。
「ナルコ、あいつら止めてくれ、俺はその間に逃げるから」
「駄目です、駄目ですねぇ、それは。
展開が読めます」
即答された、ナルコはジッと俺を見つめてくる。
「そうか、それじゃあ、二人で逃避行でもするか?
正直な話、俺はこの中では、お前が一番良識派だと思っている」
「うそが上手いですね、他の人にも言ってそうな台詞では、心打ちませんから」
「そうかい、でも、本当に一番御しやすそうってのは、マジだ」
「そうですか、だったら御してごらんなさい」
ナルコは、ひょいっと、俺を掴み上げて、俺は無抵抗で連れ出された。
「あっ! あの根暗チビっ、さっそく抜け駆けしやがった糞が」
「一旦休戦よ、あいつを捕まえて、しょっぴくから」
ステンドグラスを透過して、俺は空中に投げ出されたのだった。




