シャルロット様の今日の口上録
「あんた、最近元気ないわよ? 大丈夫?結婚してあげようか?逆玉の輿ね、情けない人、ダサダサ。
わたしは元気よ。
ゆーりんちゃんが一日中カッコ二十四時間話し続ける動画を聞きながら、昨日はシンクロして口ずさみながら、ずっと歩いて散歩してたの、山の中をね。
あんたも、好きな声優やキャラくらいいるでしょ? それ聞きながら気分転換すれば?
ディープフォレストの大自然の壮大さと雄大さを痛感して、人間のちっぽけな悩みなんて、どうでもよくなるわよ、これはマジでガチでね。
まあ、わたしはちっぽけな存在じゃ、全然無いのだけれど。
ところで聞いてよ、まずわたしって基本インドア派じゃない? ニートじゃないわよ? あるいは永久自宅警備員みたいな感じだけど、まあ実際莫大な資産があるタイプのネオニートなのだけれど。
でよ、わたしは家の中でも、ゆーりん二十四時間を、三百六十五日垂れ流してるのよ、爆音量で、防音だから問題ないわ。
それで、全台詞をそらんじて、完璧に暗記しているのよ。
ゆーりんちゃんの、独特のアクセントや、愛嬌、その他色々、目に見えない雰囲気とか。
これって、目茶凄くない? 凄いでしょ凄いでしょ。
人間国宝とも言える、それじゃ生温いくらいの、それを完コピできる、わたしが神だ。
ほんと、ゆーりんの声真似してるだけで、己が神になったかのような、万能感が全能感が半端無いのよ。
耳に蛸ができるくらい、聞き倒したあの音色を、自分で再現する恍惚は、もうホント言葉にしつくせないわよ、恐悦至極っていうか?
とにかく、本当に、みんなアレはやるべきよ。
武術みたいなモノで、自力で至れない高みに、導いてくれる感じの、誰もがやればいいのに、勿体ないったらないわ。
ちょっと待って!!? いまわたしの話してる、これ、ゆーりんっぽくない?!なくない?なくなくなくない?
うわあああ、ってね、本当に感動で絶頂できるくらい、これは凄いわ。
自分で思うわ、こんなに幸せで、快楽的な高揚状態をずっと維持してて、いいのかどうか、怖いくらい。
ユーフェリア、多幸感って、こんな感じなのかしらって、自覚があるのよ。
ホントまじまじ、いまのわたしって超絶的に一瞬一瞬どこまで高みに至るのか、驚天動地に驚嘆するくらい幸せすぎるのよね。
信じられないって、感じね、でも、それはしかたないことよ、貴方は、わたしの今いるしあわせの高みに至ってないんだもの。
感情は共感できなければ、完全には伝われない、シンパシーし、シンクロにシティーの状態にならないと駄目駄目。
わたしが凄く幸せなのに、貴方がそれを信じれない、確信できなのは、貴方が凄く幸せじゃないから、ふ、凄く可愛そうな人、貴方。
わたしがこんなに幸せなのに、そんなに惨めな状態なのだもの。
まあ、わたしとしては、幸福と貴方の不幸の落差で、より幸せを実感できるから、別にいいのだけれど。
ねえ? もっと幸せになりたくない? 言うまでも無いわね、ごめんなさい、貴方は幸せになりたい、そうでしょう?
だって人間は、その為だけに生きている、これは間違いが無い。
所詮人間は人間で、この世界はゲームのようなもの、で、ある以上、
およそ自殺しない人間は、どんな時だって、一瞬だって、このゲームを諦めきってない、
このゲーム、人生をやめてないのが、明瞭な証明だわ、幸福に致命的に執着している証拠なの。
そうでなければ、こんなに辛い事に溢れた、面倒臭い人間の生なんて、とっくに捨ててるはずだもの。
捨てなかったから、生きている人間は誰だって不幸、ゆえに、ぜったいに幸福になりたいと、思わざるを得ない。
万が一仮に、一切の不幸を払拭するほどの、幸福になっていたとしても、同様ね。
そんなのは莫大な不幸と等価、幸福を知るがゆえに、幸福に縛られるだけでしょう。
でも、貴方も知っての通り、わたしは例外、それも、例外中の例外、それを果てなく続けた真の果ての、例外。
そうなの、わたしは誰よりも特別で、優越してて、ただ唯一無二の、幸福なシャルロット、そう、貴方の、シャルロットよ?
美人で綺麗で優雅で洗練されて優しくて可愛くて、なによりも強くて、すべてを持ち合わせた、至高の極致に位置する存在なの。
素直に喜んでいいのよ? わたしは、貴方のもの。
でもそのかわり、貴方も貴方を、全部という全部、わたしにあげなくちゃいけないのだけれども。
でも、いい等価交換でしょう? むしろ、貴方にどう考えても有利なくらい。
貴方はわたしを、かけねなしに好きにしていいし、逆に、わたしは掛け値なしに貴方を好きにしてもいい、好きになっていい。
お互い好きになって、相手の思い通りに、完全に意のままに従いあう。
わたしは貴方の言う事を完全に聞く、だから、貴方も、わたしの言う事には、掛け値なしに完全完璧、超人よりも上の神格レベルで従って欲しいの。
それが、約束ってものでしょう? その原理なのだから。
わたしは、貴方の為になんでもする、わたしという絶対の持てる最善を尽くしつくす、
そんな果てなく、わたしは貴方の為に在るよう勤めるのだから、当然、貴方も同様以上で頑張って、在ってもらわなくちゃフェアじゃない、わたしが困るのよ。
こんなにも莫大の莫大の容量で尽くしてるのに、貴方の方が大して尽くしてくれない、なんて、絶対に認められないからね。
許さないし、我慢がならないし、許容してあげないから。
だから、どんなときでも、貴方は、ただ一つ、わたしの為だけに、絶対に不可能な事を体現し続けて。
絶対の強度、無限大のリソースが、あるかのように、振舞って。
この世界で、ただ一人、それが絶対可能な、真に意味や価値がある、誰からも信頼し信用される、信仰希望愛情の絶対対象である、わたしが命じるわ。
わたしを全部あげるから、貴方は貴方のパフォーマンスを、わたしレベルに引き上げて、もっと魅力的になりなさいってね、わたしが望む夢はそれなんだからね、分かった?」




