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青銅のリディアと無敵のネクロ少年

 

 

 奇術師、リディア。

 その名を知らないものは、世界広しといえどもいない。

 彼女の演技はここに極まる。


 彼女は、世界に対して、嘘をついた。

 盛大な嘘だ。

 そのせいで、

 惑星どころか、銀河、超銀河団、幾つも幾つも消えて無くなり、

 最終的に、世界には人が消えた。

 遍く存在していた人は消え、人以外の存在が跋扈するのが、今の世界だ。


「感じる、流れる運命、その一つ」


 彼女は、繊細に過ぎる、極細に一本、運命を見つける。

 指先を、どこまでも滑らかに動かし、

 何かをつかもうと、虚空に伸び行くように、手を伸ばし続けた。


「やっと、捕まえた」


 捕まえられたのは、一人の少女だった。

 柔らかな身体を抱きかかえて、顔を至近に突き合わせて、聖女か天使のような微笑を浮かべる。

 しかし、次の一瞬間には、その少女、繊細にして華奢な矮躯、身体が、遍く端々からぶっ壊れていく。


「おっと」


 言いながら、急速に崩壊する身体を保つように支えて、その唇に己を重ねた。

 少女は、可憐な唇から、なにか不可思議な力を注ぎ、注ぎ、崩壊を強引に力技で食い止めようとした。

 結果から言えば、崩壊は止まったのだろう、

 だが少女は、人形のように、真っ白な瞳をしていて、

 もうウンともスンとも、しない、まるで意識など初めから無いかのように、平然と超然としてしまった。


「ああ、可愛そう、レイル。

 貴方は、どれだけ時間が経ったとしても、かならず、わたしが元に戻してあげるから」


 少女は、あまやかな感情の奔流と共に、抱きしめて、何度も、その唇に口付けた。

 強く強く、その存在を愛おしい者だと、心の底から思いながら。


 天球は、青々と冴え渡っている。


「くうぅ、こんなクソ、ゴミ、クズ、みたいな奴にぃ、

 この、わたしがっ、くぅぅぅ、、、」


 その天球の元に、悔しがっている少女。

 俺は踏みつけにしていた、頭を、むんずと踏みつけて、いる。

 興がのって、ぐりぐりと、ちょっと押してやると、

 少女は屈辱が過ぎるのか、目をうるうると滲ませて、ぽろぽろと涙する、


「たまらないな、コイツは」


 呟くように呟いたが、どうやら聞こえているようだ、歪にビって蠢いたし。


「やっやぃめれぇ!」


 発声不可能っぽい、いや言語化不可能な奇声をあげて、飛び上がる少女だ。

 俺はうしろに一歩下がって、対応する。


「おーおー、じゃじゃ馬だな」


「う、うるさい!!!!!」


 うるさいくらい、というよりストレス発散気味に、馬鹿喚いて、なんか反抗してくるのに、イラッとする。


「なんだ、うるさいとはっ、うるさいな、犯すぞ」


「ああ! やってみろ!!」


「リディアの方な」


「ひぃいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!! 

 ごめんなさいぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!」


 すぐさま平伏、土下座して、

 そのうえ、発狂死するんじゃないかってくらい、号泣されるので、やめてやる。


「クック馬鹿、冗談だぜ、70ぱーせんとくらいな」


「うがぁああああああああああ!!!30%ほんきかぁあああああああああ!!!」


 あーあう、うるさいな、もう。


「はい、100%本気になります」


「いやああああああああ!!!やめてぇえええええええええ!!!」


 あーおもしろ、コイツを弄ってからかうのは、完全癖になってしまった。


 コイツらが此処、矛盾領域に来たのは、何時だったか忘れたが、

 とかく、初見で二人の少女は、リディアとレイルと名乗った、

 レイルの方は、話すことも出来ない少女だったから、リディアの方が紹介を代行した形だがな、

 そして、なんでも、レイルがなんか半ば植物みたいな状態なので、それを治せる魔術師みたいなのを探してる


っと

 それで此処に来たらしい、まあ正解ッちゃ正解、半分くらい、

 正解の半分、

 なぜなら此処は、魔術師協会の本部、みたいな本物紛い物偽物、いろいろあるからだ、

 なんでか? 

 矛盾という領域の特性上、様々な人種が集まりやすく、なおかつ、隠れ蓑にもなるから、

 で、残りの正解以外の半分は、

 あれ、それを出汁に、俺に奴隷みたいな形にされたから、

 これがなきゃな、完璧正解のルートだったのだ。


「さて、今日も思操の時間だ」


 こくり、透明な無表情で、対面の少女は頷く。

 俺は少女の心を、イメージする。

 酷くぐちゃぐちゃに入り組んでしまった、99面ルービックキューブみたいなの、が頭に浮かんだ。

 初めて見たときは、絶望の二文字が、俺を包んだね、

 でも、それでも、やれないことはない、と思い直せる位には、達成が可能だ、

 つまり、どうやら俺は、これを治さないといけないらしい、

 毎日すこしづつ、少女の心の負担にならない程度に、取り組んでいるのだ。


「そんな、大恩ある俺に、リディアのやつぁっ」


 リディアはあのあと、怒って怒ってしょうがないので、捨て置いた、

 時間が経てば、なおるかもしれないので、放置だ。

 ちなみに、踏みつけてたのは、まあトレーニングみたいなアレだ、理由があったのに怒るとは、なんたること


だ。


「で、おまえは、なんで此処にいるんだ?」


 部屋の隅、窓辺に、

 文庫本を、矛盾領域に出版社を抱える半分ラノベみたいな一般書籍、

 いわゆる新書、両開きで眺めつつ、奴がいた。


「貴方が、「ああ?」その子に「ああ?」エッチなことしないか監視「あああ!!!」」


 いちいちトロトロノロノロ話されるので、要所要所で突っ込みたくなる語り口調、毎度ながら、変なくせにな


りそうだ。

 俺の周りには、癖になる系少女に分類される色物が多い、

 アニメか漫画かラノベとかから出てきたような、電波な奴らが至極多くて嬉しはずかし困りそうになる。


「馬鹿、しねーよ、無感情な少女に、エロイことしても、おもしろくねーしな」


「そう?」


 不思議そうに、首傾げられる、

 まじでガチで、何考えているか読めない、このさきも読める気が永遠しない。


「ああ、恥ずかしがってる、涙目とか、だ」


「はあ」


「エロイこと、ってのは、本質は感触や触覚で楽しむんじゃない、

 そういう女の精神模様、その展開を、男の本能で楽しむもんだからな」


 キリっと、うざい感じに、まんま馬鹿、決め顔してやった。

 普通常人なら、白い目で決まりだが。


「うん、そう」


 何も感じてないような、透明な瞳で、あるいみ白い目だ、で頷かれる、だけだ。

 鉄壁のミステリアス、

 神秘的で幻想的な見目に姿に相応しく、秘密主義のカーテンでも引いてんのかね。

 俺お得意の想操が、まったく利く気がしないのだ。


「そして、此処に居てもいいの?」


「勝手にしろ、まちがっても、エロイ事なんかしねーがあっ」


 があぁっと、目の前少女が、ちなみにコイツだ、まちがえんなよ、コイツはコイツだが、ぴと、抱きついてく


る。

 ぷわっふわっと、柔らかく、安心する感触、

 身体全体で、女の子の柔らかさを実感して、不覚にも気持ちよくなりかける。


「なっにゃんだぁ!!」


 不覚にも、噛む、触覚に驚いている間中なのだ。


「接触で、貴方がエロくならないか、テスト、だから」


 むにゅっと、今度はいろいろと、押し付けるに移行。


「馬鹿が馬鹿が、てめぇえ、」


「ちょっと、頬が紅潮してる、、気がする、これは、、エロく、なってるのかもしれない、」


 にゅっと、奴の手が、俺のあれ、下腹部のあれに、伸びようとしたので、とっさに察して、逃げるように腰を


動かす。


「う、なんで逃げるの?」


「ばっか! このばっか!」


 俺は突き放して、女のように身体を抱きしめて、自分を守るように部屋の隅に移動した。


「てめぇえ! いまなにをしようとした!」


「勃起してるか、確かめようとした」


「馬鹿ぁあああ! するかぁ!!!」


「それじゃ、エレクト?」


「うるせえええええええええ黙れぇええええええええ!!」


 すると、言われたとおり、黙り込んだ。


「ごめん」


 しかも、なんか謝られた。


「貴方の、なんか、、、、うざかったから、抑えられませんでした」


 なるほど、そういうことか、行動原理もぶっちゃけられた。


「なるほど、理由があるなら怒れねえよな。

 お前は、心が読めないし、俺的にも、なんにも思ってないもんだと思ったよ」


「そう」


「それで? もう心は晴れたか?」


「うん」


「それじゃ、俺は続きをするから、ちょっかいだすなよ」


「うん」


 二人揃って、元の定位置に戻った。

 その間、カヤの外であったレイル、

 黒髪が綺麗な、黒目の少女は、人形のように一切微動だにしない、

 心が此処にはないかのように、一一切の感情の振動が無かったのだ。

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