猫の家亭。
誘われるままにやって来たのは街のちょっと中程にある猫の家亭っていう小料理屋さん?
お客に昼間っからお酒飲んでる人もいたからちょっと眉を潜めたけどそれはそれ。お酒でも飲まなくちゃやってられないって人もいるのかもと思い直して我慢した。
タクマさんが連れてきた彼女さん? は、浅黒な肌にすらっと背が高いスレンダーな美女だ。
顔立ちはボクにちょっと似てるかな? って思ったけど、そもそもボクの顔立ちはこの世界の王女、セリーヌの顔って事だから。
王女によく似た顔立ちって言ったほうがいいのかも? まあ、よくある顔なのかもしれないなって思いするーした。
なんだかずっとむすってしてるのは気になるけど。ほんと笑顔になったらすごく美人さんだと思うのに。
ああ、むすっとしてても美人さんはかわらないか。ほんと綺麗な人。
ボクが一緒にいるのが気に入らないのかな? って思うけどまあそれはそれでごめんなさいだ。
お店に入るとそこにはちょっとロココ調の豪奢なシャンデリアが見える。
テーブルも椅子も、そして壁や窓枠までもが、優美で繊細な飾りで縁取られて。
もうね。今まで見た中でもいちばんの豪華な感じ。
王宮のボクの部屋はもっと質素だったしお父様もお兄様もとにかく豪華さとは無縁の人だったから。
こんな豪華で綺麗な家具がこの世界にあるなんて。びっくりで。
って、ここって普通のお店だよね?
どうして……。
「どうしたの? ユウキちゃん。奥の席だよ?」
そう言いスタスタと歩いていくタクマさん。
店員さんが指し示すその席に座って手招きくれて。
彼女さんもスタスタと歩いていってしまった。
って、ここ、もしかしてすっごくお高いお店?
そんな事思って躊躇してたら壁際に設えられた棚の上をひょこんと猫が歩いて行った。
え? ってびっくりしながら席までゆくと。
「驚いた? このお店、猫がそこら中にいるんだよ。まあ衛生面がなんてお堅い事いう人種はこんな所こないからさ」
って、タクマさん。
「えー。ここってお値段お高いお店じゃないんです? なんだか調度品がみな凄くって」
「はは。こんなのみんなここの店主の趣味さ。手作りらしいよ?」
「え?」
「迷い込んだ俺らみたいなのの中に、リアルでは家具職人してた人がいてさ。この街の殺風景な街並みが気に入らないからって、こんな飾りをいっぱいこしらえたらしいんだよね?」
「食事もうまいから、期待していいよ」
はう。彼女さん、ちょっと口調が男性っぽい?
「はは。この姉さん怖くないからね? マハリさんっていう頼りになる姉さんさ。きっとユウキちゃんの力にもなってくれるから」
「ああ。ってお前タクマいきなりちゃん付けなんて馴れ馴れしすぎだバカやろう!」
そういってタクマさんの頭をはたくマハリさん。
あは。なんだかいろいろ考えすぎてたのかなボク。




