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公園で。

 この街に勇者タクマが居る!


 そう思ったらもういてもたっていられなかった。


 タクマがボクの拓真かどうか、まず確かめなきゃ。


 それでもって別人だって事がはっきりしたら、一度王宮に帰ろう。きっと兄さまはあたしを待ってる。



 そう考えてはみたものの。


 探すって言ってもどうすれば……。


「そりゃあまあ、ギルドの掲示板を借りるのはどうだろう? たずね人、ってさ」


「うん。ありがとうシルヴァ。それいいかも」


 文面は、


 タクマへ。


 あなたを探しています。


 次の休息日の朝、公園で待ってます。


 ユウキ。


 こんな感じで。



 あまり細かく書いてもね。それに、本当に拓真だったら、これだけで何かを感じてくれるはず。そうも思うのだ。


 スルーされたらそれでもいい。


 それならそれでこの街にいるタクマはボクのタクマじゃないって事。


 それならそれで……。諦めもつく、よね。




 流石にボクが家出をした事になったあの日から、もう一ヶ月以上が経ってる。ほんと、兄さんどうしてるかな。それも気になるし。


 もう死んじゃったって諦められてるかな。それはそれで悲しい。




 約束の日。


 ボクは一人で公園に向かう事にした。


 シルヴァはボクの中に入ってる、けどね?


 やっぱりさ、もし本当に拓真だったら、二人っきりで会いたいもの。


 隣にシルヴァが居たら興醒めでしょ?


 一人で行きたいのってボクが主張したらちょっとシルヴァ怒ってたけど、それはそれ、しょうがないの。


 危険な目あいそうなら飛び出してくるからな! って言って、ボクの中に入って行ったシルヴァ。


 心配してくれてるっていうのは充分わかってるんだよ。ありがとうね。



 公園についてみると。



 がらんとして、まだ誰も居ないのかな。


 タクマは、やっぱり違ったのかな。


 キョロキョロと辺りを見回してみたけどそれらしい人が見えなくて。


 諦めかけたその時だった。



「よう、お嬢ちゃん」



 そう、見知らぬ男の人に声をかけられた。




 一瞬びくっとして。


「ごめんなさい。あなた、勇者タクマさん? ですか?」


 気を取り直してそう聞いてみる。


「はは。勇者、か。なんだか懐かしい呼び名だよな。ゲームの時は確かにジョブが勇者だったんだぜ? これでも。まあ、そんな自信もこの世界に来て消えちまったけどな」


 その彼は頭をかき、そう言って。


「そうさ。俺、勇者タクマって名乗ってた。昔の話だけどね?」


 と、続けた。


 ああ、違うかな。人違いだったかな。少し残念に思いながらも一応。


「ボク、佐藤悠希、です。タクマさん、一ノ瀬拓真って名前、心当たりありますか?」


 と、聞いてみる。まあ、諦めるのは最後でいいから。


「あー。そういうことか。君も巻き込まれ組って事だよね? 残念ながら俺は一ノ瀬じゃない。坂本拓真っていう名前だったんだよね。元世界では」


 と。


 やっぱり。違った。この街には拓真はやっぱり居なかった。


「まあ人違いなのは残念だけど、よかったら飯でも食いに行かないか? そこに連れも待ってるんだけど、俺たち二人ともあんたとおんなじ境遇だからさ。もしかしたら力になってあげられるかもしれないし」


 はう? この人……、ナンパ?


「あーあー。連れっていうのは女性だからさ、心配しなくてもいいから」


 怪訝な顔をしたのがばれたのか、そんな事をいう彼に。


 ボクはちょっと気を許して。少し笑顔になれた。

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