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事後処理と平穏

「で、そろそろまとまった話を聞かせてくれるのか」


 タマキとカレンにライト、それから要一とまもるの五人は、次元の管理人のところにいた。


「ふむ、色々と調べがついたのだ。まずあのアレインツと名乗っていた者だが、元々私以外の管理人の弟子だったらしいのだ。いつの間にか姿をくらましていたようだったが」

「それで色々やらかしてたのか。今までのことも」

「その通りだ。様々な異変の原因も作り出していたのだ」


 そこでまもるが手を上げた。


「じゃあ、あいつはどうなるんですか」

「これからその管理人のところに送り、判断もそちらに任せることになる。私からも言っておくから、おそらく厳しく処罰されるだろう」

「まあ、そういうことなら任せておけばいいか。それより、あいつが色々やらかした後のことはどうするんだ? ライトの世界とか」

「それについては少し話があるのだ。ライト君、君はアレインツに能力を見込まれて、その手伝いをさせられていたようだが、私を手伝う気はないかね」

「僕がですか」

「いいんじゃないか。お前ならあの世界のことはよくわかってるわけだし、俺も手を貸すからな」

「ありがとうございます」


 ライトがそう言うと、カレンもうなずいた。


「私も協力しますよ」

「もちろん私達も」


 まもるも要一の背中を叩きながら力強く宣言した。要一も少しむせながらうなずいてみせる。ライトはそれらにたいして頭を下げた。


「本当にありがとうございます。でも、僕には何もお返しはできないと思います」

「そんなことはない。俺ならもうたっぷり前払いで貰ったし、これからも手伝ってくれるんならそれで十分だろ」


 タマキにそう言われると、ライトは少しの間考え込むように顔を下に向けてから、おもむろにその顔を上げた。


「精一杯やります」

「よし、話は決まったな。じゃあとりあえずは、ちょっと俺の実家に行くか。三日くらいは骨休めしてもいいだろ」


 タマキが次元の管理人にそう言うと、管理人はうなずいた。


「うむ、その間に調整は済ませておくとしよう。しばらくは休んでくるといい」


 それから数時間後、タマキとカレン、そしてライトは高崎家の前に立っていた。時間は夕方で、家の窓からは光が漏れている。


 タマキがチャイムを鳴らすと、ドアを開けて佐織が顔を出した。


「お帰り」


 それからライトを見て肩眉を上げた。


「あんた関連のお客さんね。遠慮なく入りなさい、少年」


 佐織はそれから顔を引っ込め、タマキは遠慮なくさっさとドアを開けて後ろの二人と一緒に中に入った。


「たくっ、帰ってくるなら先に言っておけって」


 そう言いながら沙織は冷蔵庫を漁っていた。タマキはカレンとライトをテーブルにつかせると、一緒に冷蔵庫を覗き込んだ。


「何もないな。買物行ってくるか」

「それじゃよろしく」


 佐織はそう言うと冷蔵庫を閉じ、テーブルの財布を手に取るとそれをタマキに手渡した。


「じゃあ適当に買ってくる。鍋でいいか」

「まかせる。いってらっしゃい」


 それからタマキ達三人は近くのスーパーに向かった。ライトはずっと興味深そうに街や店内を見回していた。


「すごいですね。これだけの賑わいだなんて」

「そのうちお前の世界もこうなっていくさ」

「はい。できるだけのことはするつもりです」


 三人は鍋の材料を買うと、スーパーを出て佐織の待つ家に真っ直ぐ戻った。すでに佐織はテーブルの上にコンロと鍋を用意していた。


「じゃあ、始める前にそっちの少年の自己紹介でも聞こうじゃないの」


 佐織がそう言うとライトは背筋を伸ばした。


「ライトと言います。タマキさんには大変お世話になりました」

「あたしは佐織、そこの環の姉ね。無茶な奴だから、何も迷惑かけなかった?」

「いいえ、そんなことはありません。タマキさんがいなかったら、僕も今ここにいることはできませんでした。沢山迷惑もかけましたし、本当に感謝しています」


 佐織はそれを聞いて感動したような様子だった。そしておもむろにライトの頭を撫でる。


「弟がこれだけ礼儀正してくいい子だったら良かったのになあ」

「でも、残念だけど、弟はここにいる一人なんだけどな」

「わかってるわかってる」


 それから四人は一緒に夕食の準備を始めた。


 そして夜、布団が足りないので遠慮するライトを説き伏せたタマキは、カレンと一緒の布団に入っていた。


「まあ、こうやってまたのんびりできて良かったな」

「そうですね、あの時、タマキさんが消えた時は私も不安でした」

「俺はあの直後は眠ってたからよくわからなかったな。それに色々あってけっこう必死になってたから、不安になる間もなかった」

「もう、こんなことは起こらないようにしたいですね」

「もちろんそうだ。やっぱり一人じゃな」


 タマキはカレンの肩にまわしていた手に力を込めた。同じようにタマキの背中に手をまわしていたカレンも手に力を込めた。


「これからも色々なことがあるんでしょうね」

「あるんだろうな。でも、できないってことはないさ。二人でなら」

「はい、二人でなら」


 二人は顔を見合わせると、どちらからともなく軽く唇を重ねた。


「おやすみ」

「おやすみなさい」

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