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足を踏み入れた先

 カレンは一人で二つ目の世界に来ていた。そこは荒野が広がる場所で、見たところ人影も動物の姿も見えない。カレンはその荒野を一人で歩き出した。


 そして数時間後、荒野は途切れず、カレンはその場に座って休んでいた。そこで突然首からさげているアミュレット、サモンが口を開いた。


「あのヨウイチとかいう奴から連絡が来たぞ。我が力の宿る剣を抜いてみろ」

「わかりました」


 カレンは言われた通りに、その剣を抜いた。すると、そこから霧のようなものが溢れ、それがスクリーンとなって要一の顔を映し出した。


「あ、つながりましたか」

「なにかわかったのでしょうか」

「カレンさんが今いる世界なんですけど、そこは人間はあまりいないみたいです」

「そうですか、それは戦うには都合がいいですね。こちらは今のところ何にも遭遇していませんが、そちらで次の世界への手がかりは見つかりましたか?」

「いいえ、それはまだですけど、特に罠もないなら俺たちもそっちに行こうと思ってるんですけど」

「そうですね、まだ何かあるかもしれませんから、私のすぐ側に来ることができるならば、問題ないと思います」

「それは大丈夫です。それじゃあすぐに行きますから」


 そしてスクリーンが消え、カレンが剣を鞘に収めるとほぼ同時に、空間が歪むと、要一とまもるがカレンの目の前に現れていた。


「早いですね」


 カレンは特に驚いた様子もなかった。まもるはそれからすぐに四角いバックルを取り出した。


「じゃあ、ちょっとその辺りを見てきますよ。変身!」


 まもるは真紅のスーツに身を包むと、脚部と背中のブースターを噴射して空に舞い上がった。


「マモルさんのあれは便利ですね」

「はい。その上、あと三つのフォームがあるらしいですよ。詳しくはお楽しみとか言って教えてくれないんですけど」

「これ以上の戦力があるのなら助かりますね。しかし、ああして飛んでいてはいい的になるのが心配ですが」


 その言葉のそばから、まもるに対して雷の矢が放たれていた。さらに続けて炎の矢も迫る。だが、まもるはそれを回避してすぐにカレンと要一のそばに着地した。


「あの二人です!」


 まもるの言葉にカレンは自分のショートソードを抜いた。


「位置はわかりますか」

「大体わかりました。でもけっこう遠いですよ」

「そうですか、それなら」

「ちょっと待ってください」


 カレンが言おうとしたことをまもるは遮る。


「要一君を一人にするのはまずいですよ。ここは私が先に行って時間稼ぎをしてみますから」

「確かに、ヨウイチさんが狙われるのはまずいですね。大丈夫ですか、マモルさん?」

「まっかせてくださいよ!」


 それだけ言ってまもるは飛び立っていった。カレンはそれを見送らずに、すぐにまもるが飛び立った方向に顔を向けた。


「急ぎましょう、ヨウイチさん。あの十二使徒というのは油断できない相手ですから」

「はい」


 そして、まもるは撃たれる雷と炎をかわしながら、ジャルリとカロミーアに接近していっていた。


「まったく、派手に撃ってきてくれちゃって」


 まもるはそうつぶやいてから、銃を抜き、適当に乱射した。それからある程度の距離を稼ぐと急降下しながら銃を収め、ベルトの左のボタンを押してから、ベルトの右側面にある四角いものを外した。


「アームドフォーム!」


 それをバックルに装着すると同時に、そこから光が溢れ、それがまもるの全身を包んだ。その光が収まると、まもるの左肩にはロケットポッド、右手にはミニガンが握られ、装甲がひとまわり強化されていた。


 そのまま、まもるは勢いよく地面に着地しながら、肩のロケットポッドからジャルリとカロミーアに一斉にロケット弾を放った。狙われた二人はその攻撃に後退していく。


「まだまだあ!」


 まもるは停止してから、さらにミニガンを構え、その二人に向かって銃弾の雨を降らせた。だが、反撃の雷と炎が撃たれる。


「この程度!」


 それもまもるの強化された装甲に当たってもあっさりと弾かれる。そしてまもるは続けてミニガンで銃弾をばら撒くが、それを飛び越えるようにして、カロミーアが横にまわりこんだ。


 まもるはロケット弾を正面に放ってからカロミーアを正面にとらえ、ミニガンを撃つ。だが、カロミーアの作り出した炎の壁でそれは遮られ、さらに側面からの雷でミニガンの銃口がそらされた。


「ちっ!」


 まもるはそのままミニガンを放すと、ベルトのバックルに装着していたものを外した。そうするとまもるのスーツは元の姿に戻り、その場から飛び退く。


 次の瞬間、そこにはカロミーアの炎が襲っていた。さらにジャルリが凄まじい速度で大槌を構えてまもるを追う。その距離はあっという間に詰まり、大槌が振り下ろされようとした。


「フルドライブモード!」


 まもるの声が響くと同時に、脚部、背面ブースター、そして上腕部からもブースターが展開されて全開になり、急激にその身体を上昇させた。ジャルリの攻撃は空振りになり、まもるは大きな軌道を空に描く。


「思ったよりも、加速が強いか。まあこれなら」


 そこからまもるは方向転換をして、銃とブレードを抜く。


 それを下から見上げるカロミーアの肩に刻印が光を放って浮かび上がり、その手からは炎が立ち上って剣のような形になった。それからカロミーアはジャルリに話しかける。


「厄介な相手じゃないか」

「そうだな、あの速度では攻撃を当てるのは難しい」

「なにか考えてるんなら、今がその時だけど」

「我が力をもってすれば、不可能ではない」


 ジャルリの手の甲の刻印が光り、大槌が雷光をまとった。そこにまもるが放った銃弾が降り注いだが、それはカロミーアの炎で落とされる。


 そして、ジャルリが大槌を振ると、そこから巨大な雷が放たれた。まもるはそれをなんとかかわしたが、左腕にかすって銃を取り落とす。


 まもるはそこから急転回するが、ジャルリは再び大槌を振るって雷を放つ。それも直撃はしなかったが、肩にかすってまもるの体勢を少し崩した。


 さらにジャルリは三発目の雷を放つべく、大槌を構えた。だが、そこに一条の光が飛来し、振るわれた大槌を弾き飛ばした。その隙にまもるは体勢を立て直して着地した。


「まもるさん!」


 さらに遅れて要一が到着し、まもるに駆け寄った。


「あの程度の攻撃なら大丈夫。それより、やっぱりカレンさんはすごいな」


 まもるの視線の先には、一人でジャルリとカロミーアに対峙するカレンの姿があった。カレンは軽く白銀のショートソードを振ると、口を開いた。


「さて、今度は逃がしませんよ」

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