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WANTED GIRL ~惑星をなおす少女~  作者: 野乃々
3章 惑星ピアート
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未知との遭遇

 少し歩くと、尾が胴体の三倍ぐらいある魚の形をした潜水艇を発見した。頭部には掘削作業ができるドリルと、頬の部分に砲身がついている。これで氷を割ったのか。

 たしかに全長は龍みたいな形だ。装甲に触れると材質は硬く、トライズの潜水モードに似ている。これなら酸の海も泳げるだろう。


 うぅ、龍だとおもっていたのに……。この星に生命がいなかったことが悔しい。


 潜水艇の隣には、二翼がついた一人乗りの航空機が着陸している。

 なんだろう、トライズみたいに空と海を移動できるタイプなのだろうか。


 暗がりを進むと大きな両扉が現れる。ミュートさんが境目にあるボタンを押すと、扉は重い音をたてて開き、中央に線がある車両用の通路が奥まで伸びていた。

「電気が生きているからまだ大丈夫だが、浸水していたらすぐに引き返すぞ」

「わかりました」

 この地下都市が、中央政府の生まれる前にあったものか、歴史の闇に葬られたかわからない。ただ、科学技術は確かなものだ。

 脇の歩行路を歩いていると小道と大通りに分岐する。

 どちらに向かおう。

 そのときだ。左脇の細い通路から眩い光が灯った。咄嗟にミュートさんも懐中電灯を照らす。互いの光が交差して、目の前の空間だけが輝いた。


 何かが近づいてくる!

 生き残りか。あるいは警備AIのライトか。


 まいった、何も武器を持ってない。レグダで購入すればよかったかも。

 ミュートさんはライトを消すと両手を上げた。接触を試みるつもりだった。

 緊張で身体が熱くなり、ツナギの奥から汗が浮かんでいるのがわかる。


 発光する視界の中、足音が近づいてくる。

 光が消え、非常灯の明かりから短髪で額が見えた。身長はミュートさんと同じくらいでやや筋肉質。目は大きく私たちを見て驚いている。頬にしわがあり、ミュートさんより一回りほど年がいってそうだ。

「tgbほk、vswg」

 すぐに言葉が理解できなかった。宇宙政府の管轄にない言語。独自で生まれた文明か。


 チャンネルが合うまでしばらく音声のやりとりが必要だ。私たちフェアリーズは培養液の中で教育され、多数の惑星言語を耳や脳に馴染ませている。ことばは文法と抑揚と固有名詞で構成されるため、類似パターンを計測しチャンネルが合えば大体使えた。さすが、優秀な遺伝子でうまれたというべきか(まぁ、政府公認の翻訳機を使えば同じことができるけど)。


「んhjきゅp、運命ということか……」

 不意に言語チャンネルが合う。テラ語? この惑星も陰の転換点の影響を受けたのか。だとしたら話は早い。

「すみません。私たちはこの星の海に生物がいるとおもって宇宙から来たんです。いろいろあって水中都市を見つけてたどり着きました」

 男性は私がテラ語を使ったことに驚きつつ、ふむ、とひとりごちた。

「ありがとう。私はこの星の住人ケイン。誰か来たらコールドスリープから目覚めるようプログラムしたんだ」

 ケインさんはにこやかに笑みを浮かべた。

「私が眠ったのは2000年前のことだ。この間、宇宙で何があったか教えてくれるかな?」

 私とミュートさんは互いに顔を見合わせて頷いた。


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