深海基地
深海にできた縦穴をゆっくりと進む。
私たちは息を殺して海の底を探索した。
縦穴は50メートルほど行き止まりになった。
先へ進めないと知るや、水平移動に切り替えてドームのあった方向へ掘り始める。
氷を削るためのドリルだが、壊れないよう硬度の高い材質を選んでいる。通常の岩盤なら問題なく割れるだろう。でも壊れたら一巻の終わりだ。無人惑星で酸の海の底。誰も助けてくれるわけじゃない。
ミュートさんは慎重すぎるほどゆっくりと動かす。
ドリルの先端が硬い部分に触れて高い金属音が鳴る。いかにも怪しい音だ。
ミュートさんはすぐさま前進をやめて引き返した。
2度目は穴から40メートル付近で掘削した。同じような金属音がして、また戻る。
3度目のトライ。30メートル付近か。順調に進むとミュートさんが瞼を開いた。
「土とは違う感触だ。そこそこ硬いが壊れないわけじゃない。少し角度をあげてもう一度進むぞ」
スクリューを逆噴射してトライズの向きを変える。キュルキュルと回転するドリルは鉱物のような硬い何かに触れた後、その奥ですぐさま水をかき回した。ライトを点けると長方形の横穴ができていて、人工的な壁が奥まで続いていた。
「ビンゴだ」
ミュートさんの声に息をのむ。
中央政府の歴史にない、星の文明……。
考えただけで身震いする。世紀の発見の一つになるかもしれない。
トライズが水中トンネルを進み、途中で行き止まりになる。停止した直後、トンネルの天井部が開き、水のない空間が広がった。
慎重にモニターを眺めていると、今度は背後の下から壁が現れて退路を閉じた。
しまった。
反転してドリルを回せば帰れるだろうか。
そうおもった矢先、床面が上がり、トライズが水の中から出た。
周囲にライトを照らすと、トライズを3台置けるような広い空間になっていて、両隣に水が浸した車庫のようなものが現れる。ここは巨大な格納庫だろうか。
「俺たちは侵入者のはずなのに、警告も反撃もない。どこかで監視しているのか?」
ミュートさんはスピーカーのボタンを押すと、マイクに向かって話しかける。
「こちら独立探査艇。抵抗の意思はない。繰り返す、抵抗の意思はない」
船外についた拡声器から、ミュートさんの声が反芻する。
いくらか待ったが返事がない。
ミュートさんと目が合うと、私はおもわず頷いた。
外に出よう。
潜水モードだった外部装甲を解除して、宇宙航空機にモードにする。スロープを出して船のハッチを開けると、ぬるい空気がトライズの中に入り込んだ。
「寒くない。空調設備が生きているのか」
ミュートさんは倉庫から懐中電灯をもってくると、私はその背中を追うように船の外に降りた。
予約投稿したつもりでしたが、うまくいかずすみません。
次話は26日のいつもの時間に投稿予約しております。




