81 各々の戦い方
ノアがロイヤルティーナイトの面々に正面から突っ込んで数分。
ノアはロイヤルティーナイト達との戦いを楽しんでいた。
「私の魂之特性『赤子之粉砕暴走』は、衝撃を与えた物全てを砕く力だ! おりゃー、『粉砕衝撃!』」
リタはそう叫びながらノア目掛けてハンマーを思いっきり振り下ろした。
「おっと、危ない」
ノアはそれを軽く後方に飛んで避けた。
「ふっ、貴方と私ぐらい実力が離れていたら魂之力も効かない。でも、砕かれるかもと考えてしまったら咄嗟に避けちゃうよね!」
リタは、ノアを見上げながら計画通りと言わんばかりにほくそ笑んでいた。
「見えてた通り」
ノアが宙に浮かんで位置が固定された瞬間、メグがスナイパーライフルの引き金を引いた。
ノアはスナイパーライフルの弾を白い剣で弾いた後、体制を立て直した。
「っ! 多対一の戦闘じゃお前みたいなタイプは厄介だな。先にやっとくか」
ノアがメグに近づく為に走ろうとしたその時、ノアの背後からハンナの持っていたムチが伸びてきて腕と体を縛った。
「ククッ、良いねぇその連携。これこそが数が有利な側がする連携だ。もっとボクを楽しませてくれ!」
ノアは高笑いをしながらそう叫んだ。
「楽しそうで何よりだわ。でも、そのムチには成人したサキュバスだけが手に入れられる魂之特性、『魅惑之悪魔』の効果が付いていて、知性があっても無くても、老若男女も一切関係無く、全ての命ある者は私に欲情してしまうのよ」
ハンナがねっとりお姉さんボイスでそう言うと、ノアの頬は次第に赤く染まり、息も荒々しくなってきていた。
「発情期がある貴方達獣人が、サキュバスの誘惑を受けてしまったら一体どんな姿になるんでしょう」
ハンナは興奮気味に舌舐めずりをしながらニヤけていた。
数秒後。
ノアは更に息が荒くなり、顔を伏せて体をモゾモゾと動かしていた。
「大丈夫よノア、貴方だって普通の男の子ですもの。サキュバスの中でも特に美しい私に欲情することはなにも恥ずかしいことじゃないわ。それに、これは魂之特性のせい、あなたのせいじゃないのよ?」
ハンナがそう言って数秒後、ノアは笑いながら顔を上げた。
「プッ、あぁ〜だめだ耐えらんないや。ねぇ演技もこのくらいで良い? てか、特に美しいとかって自分で言うと胡散臭くなるぞ」
「なっ!」
ハンナは、顔の火照りは消え去り不敵な笑みでこちらを見つめるノアの姿に言葉を失った。
何故ならハンナは自分の容姿に絶対の自信があったから、この魂之特性を手に入れた時誰も自分の魅力に敵わないと思っていたからだ。
「それに、ライトニング様と共に過ごした我らは普通など疾うに捨てている」
「そうでもしないと置いていかれるからな」
ノアの顔は何処かさみしげな表情を浮かべていた。
「まぁでも、確かに美しいとは思うよ」
ノアはそう言いながら影の中に入っていった。
それを聞いたハンナは、戸惑いながら口に手を当て頬を赤らめていた。
『抑制電気』
「っ!」
次の瞬間、ノアはハンナの影から背後に現れ、雷魔法をハンナの首に撃って気絶させた。
ハンナはそのままノアに支えられながら地面に倒れ込んだ。
「はい、一人目しゅーりょ〜う」
ノアはニヤニヤしながら楽しそうにそえ言った。
「やはり、進化した獣人は化け物じゃな」
「そりゃあだって、ボク達獣人は魔王の……」
ノアがニヤつきながら自慢げにそこまで話すと、シュランがノアの視界から消え去った。
「っ! 予備動作も魔力の動きも見えなかった!」
「せめて一撃だけでも入れんと、ミア様に顔向けできん」
シュランはノアの後方に姿を現し、居合の構えをしながらそう呟いた。
「神授之権能『光神』流、閃の太刀。『光神之一閃!』」
シュランはそう叫びながらノアの首元目掛けて飛び、斬った。
「捕まえた」
ノアは低く、悪魔のような声でそう言った。
「っ! 刀が抜けん!」
シュランの刀は首を確かに斬ったが、ノアは闇魔法でピンポイントに斬られる場所だけを闇に変え、刀を吸い込んで離さないようにしていた。
「出来るかは賭けだったけど、流石は全魔法を使える魂之力。体そのものを魔法に変えるのも容易いということか」
ノアはそう言いながら体を捻らせてシュランの手から刀を奪った。
「ハハッ、やはり強いですな」
シュランは冷や汗をかきながら、後退りして居た。
「気ぃ抜くなよ、爺さん」
ノアはひねった体を立て直し、雷魔法と魔力で身体強化をして、一瞬で息がかかる程の距離まで近づいた。
シュランに近づいたノアは、左足を前に出し、右腕を後ろに引いて力を込め始めた。
『岩之腕』
ノアがそう呟くと、右腕が徐々に岩で覆われていった。
『雷撃之拳』
そう言うと、右腕の周りを雷が漂い始める。
『深淵之玉!』
そう叫ぶと、拳の少し前に吸い込む玉が出現した。
「吸い込まれる!?」
ボールが出現すると、シュランはノアの右腕に吸い込まれていった。
ノアはそのままシュランのみぞおちに思いっきり重い一撃を食らわせた。
シュランは嘔吐し、意識が消えて行き、みぞおちを押さえながら倒れ込んだ。
「は〜い。強そうな爺さんも終わり〜」
ノアが楽しそうにそう言いながら後ろを振り向くと、マックスとガンマが奇襲を仕掛けて来ていた。
「良いぜお前ら、凄く良い! そのままボクをもっと楽しませてくれ!!」
ノアはそう言いながらマックスの青い鉄鋼鉤を白い剣で受け止めた。
「何だ……、この程度か? その筋肉は自慢用筋肉だったのか!?」
ノアはそう叫びながらマックスを弾き飛ばした。
「ちっ、獣人の筋力が人の何倍もあるって本当だったのかよ……」
マックスは少し欠けた青い鉄鋼鉤を見つめながら呟いた。
「フンッ!」
ガンマがノアの頭上から赤い斧を振りかざした。
くっ! 力任せの戦いはあまり好きじゃないんだけどな
ノアは白い剣を横にして受け止めながらそう話した。
「このまま押しつぶす!! 魂之特性『硬者』、『硬重潰』」
そう言うと、ガンマの体は鋼鉄の様な硬さに固まり、少し痩せた感じに変化した。
「体の変化を見るに、硬くなっただけだろ? なんでこんないきなり重くなったんだ!」
上から押されているノアは、徐々に耐えられなくなり、地面は凹み、ヒビがだんだんと広がっていった。
おいおい、このままだと押しつぶされる前にマグマまで落とされて二人共溶けるぞ。
「後先考えて戦えよな。命が掛かってる戦いじゃないんだし」
ノアはニコっと微笑むと、だんだん体が黒くなり、地面に溶けるように消えて行った。
「なんと!」
ガンマの赤い斧は、ノアが消えたことにより斧が勢いよく地面と衝突して突き刺さった。
「はい、君もおしまい」
ガンマの影から出てきたノアは掌から紫色の煙を出しながら、口元を押さえた。
「っ!」
「大丈夫。これは睡眠作用のある毒だから、死にはしないよ」
ガンマは暴れて抵抗したが、獣人の特性と無限の魔力で身体強化をしているノアを振り払うことはできなかった。
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ガンマが紫色の煙を嗅いで数分後。
眠気に襲われたガンマは、徐々に目を閉じて眠った。
眠ったガンマは固くなっていた体が段々と元に戻っていった。
「ふぅ~、寝てくれて良かった。体がどんだけ硬いか分からなかったから、雷魔法で気絶させようにも、やり過ぎて死んじゃう可能性もあったんだよな」
ノアが服についた汚れを払っていると、銃声が鳴り響いた。
メグはノア達が戦っているのが見える遠くのビルの屋上まで移動して、狙撃してきたのだ。
「おっと、危ない。もうそんな所まで行っちゃったのか。早く行きたいけど、そうはさせてくれないか」
ノアの視線の先にはこちらを睨みつけながら走ってきているマックスとリタ、そしてブラントの姿があった。
「良いね良いねぇ、人数的には第2ラウンドか。もっと楽しんでいこうか!!」
こうして、ロイヤルティーナイトの3人を戦闘不能にしたノアとメグ、マックス、リタ、そしてブラントの第2ラウンドが始まった。




