80 戦前の対話
タルタロスがライトニングに突っ込み、戦闘が始まっていた頃。ライトニング達が居るビルの下では、ミズキとナイトサンダーズが市民の誘導や作戦会議をしていた。
「皆さん、落ち着いてビルから離れてください。私達が海岸の方まで誘導いたしますので走らずに移動してください」
ミズキは、水魔法で瓦礫などを受け止めながらそう叫んでいる。
「ミズキ様。海岸までの道の整備、ナイトサンダーズの配置、完了いたしました」
そこに、雷鳴スーツのフードを深く被り、顔を隠しているシエル、アイ、カルラが姿を現した。
「ご苦労さま。じゃあここも貴方達に任せるわね。瓦礫が落ちてくる可能性があるから気を付けて」
ミズキはそう言うと、足から勢い良く水を噴射し、水圧でビルの最上階へと向かっていった。
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一方その頃。ビルにある病院の一室ではロイヤルティーナイトとノアと勇者パーティーが戦闘を続けており、ミアはそれを少し離れた場所から見ていた。
「そろそろかな?」
ノアは、シュランの剣をいなしながら、ビルの下を覗いてそう呟いた。
「勇者パーティー。ロイヤルティーナイトはボクが全員相手するから、ミアの相手を頼めるか?」
「っ! いや、全員で戦ったほうが良いだろ?」
ノアは、ガンマの馬鹿力から繰り出される斧の連撃に押され気味になりながらそう言った。
「バカか? こんな狭い部屋で11人が魔法をフルで使って戦ったらビルが崩壊するかもしれない」
「確かにそうもね。でも、貴方が強いのは大体わかったけど、2人を相手にして勝てるの?」
そう言うレイラはハンナの白いムチによって、服が破けて少しはだけていた。
「勝てるのかって? ふっ、笑わせる。ボクは一応ライトニング様直々にこの大陸で2番目に強いと言われている。そんなボクに不可能はない」
「そうか、あのライトニングが言ってるなら信用できるかもな。分かった、魔将軍ミアは僕達に任せろ」
「貴方達のことはよく知りませんが、ゼーレが言うのであれば、ミアは私達が倒します」
「あぁ任せたぞ」
ノアはそう言いながらゼーレの肩を軽く叩いた。
「っ! 良いもん持ってんな。やはりお前が真の勇者だ」
ノアはゼーレに優しく微笑みながらそう呟いた。
「ん? どうかしたか?」
「いや、何でもない」
ノアはそう言って、自分とブラント達の足元に魔法を展開した。
「じゃあそろそろ行くか」
「アンタ達。あの獣人を止めなさい」
ミアがそう命令すると、ロイヤルティーナイト全員がノアに向かって走り出した。
「おっと、転移させるんだから動かないでね『別世界之檻』」
ノアがそう言うと、ロイヤルティーナイト一人一人を囲うように透明の壁が現れて、ブラント達の動きを封じた。
「アンタ達何してんのよ!」
ミアは鬼の形相でロイヤルティーナイトに怒鳴りつけた。
「そう怒ってやるなよミア。これは次元の壁なんだ、そんじゃそこらのやつじゃ壊せないよ。それじゃあ勇者達、頑張ってね」
ノアがゼーレ達に手を振りながらそう言うと、ノアとロイヤルティーナイトの面々は一瞬にして姿を消した。
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数秒後。ビル一階にあるエントランスにノアとロイヤルティーナイトの面々は姿を現した。
「うん。ナイトサンダーズのお陰で、ちゃんと皆んな避難は済んでるみたいだ。ミズキはもうライトニング様のところに行ったかな?」
ノアは辺りを見渡しながら独り言を喋っていた。
「で? お前達はこれからどうしたい?」
ノアがロイヤルティーナイトの面々に目を向けながらそう言うと、ロイヤルティーナイトの目にあったピンクがかった光は徐々に消えていった。
「成る程、気づいておりましたか」
シュランはそう言いながら刀を鞘に収めた。
「まぁね。だって明らかに君たち魂之力持ってるでしょ? そこの黒髪君がそれっぽい名前言ってたし」
「なのに病室が壊れるぐらいの戦いにはならなかった。もしかして、ミアってほんとは誰も殺したくないんじゃないか? だから君達を殺しかねない僕と君達を自分の手の届くところに居させたくて転移を止めようとした。違うか?」
ノアがそう言うと、ロイヤルティーナイトは皆黙り込んだ。
「お主の言う通りじゃ」
「シュラン! それ以上は!」
ブラントは顔を俯けながらそう叫んだ。
「ブラント、もう良かろう。ミア様は今勇者と戦っておる。勝っても負けてもミア様にとっては辛い結末が待っている。なら、最強名高い猛者が集まると言うサンダーパラダイスに賭けてみようではないか」
「それもありかもしれませんね」
ハンナはムチを束ねながら、シュランを見ながらそう言った。
「ハンナまで!」
「シュランさんの言う通りです。このままだと本当に後戻りが出来なくなってしまいます。賭けてみる価値はあるかもしれません」
メグは構えていたスナイパーライフルの銃口を下に向けてそう話した。
「そうだよブラント。私、もう魔神達に怯えるのは嫌だよ」
ハンマーを地面に置いたリタはブラントの服を掴みながら上目遣いでブラントにそう話した。
「……。分かった、話してくれシュラン」
ブラントはノアとは別の方向を向きながらそう話した。
「かしこまりました。では、ミア様と儂達の過去についてお話しましょう」
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数分後。
「そうか、お前達も魔王の犠牲者という訳か」
シュランの話を聞いたノアは、少しの間考え事をしていた。
「分かった。ボク達の敵は魔王とそれに与する者達だ、何とかしてみよう。だが、ミアを助けられなくても文句は言うなよ」
「それは、皆んな覚悟してるから大丈夫だよ」
リタは何処か悲しい顔をしながらそう話した。
「そうか。それで話は戻るが、これからお前達はどうするんだ?」
「それは……」
シュランは途中まで言うと、言葉を詰まらせていた。
「オレ達と戦ってくれ!」
すると、マックスが元気良く大きな声でそう叫んだ。
「おいマックス。もっと言い方ってもんがあるだろ!」
「申し訳ありません、ノア様」
ハンナは頭を何度も下げながらノアに謝罪をした。
「ハハッ、ボクは全然良いよ。それに、魔神タルタロスに監視されてるから仕方が無いんでしょ?」
「はい……」
ハンナは顔を曇らせながらそう言った。
「まぁ今は深いことは考えずに、全力でかかってきなよ。じゃないとタルタロスに怪しまれるかもしれないし」
「わかっておりますが、ノア様の魔力が制限されている状態でも儂ら全員の魔力量の何倍、いや推し量ることのできない量なのは分かります。どうか、手加減していただけるとありがたいのですが……」
シュランは刀を鞘から抜きながらそう話した。
「う〜ん。そう言うのは強い奴の気分で決まることだってライトニング様も言ってたから、出来るかわかんないや」
ノアは白い剣を腰から抜きながら満面の笑みでそう言った。
「まぁでも、殺しはしないから安心してよ」
ノアは、白い刀身に水、炎、雷、風、闇、光魔法を纏わせ、ブラント達に剣を向けながら素敵な笑みを浮かべてそう言った。
それを受けたロイヤルティーナイトも各々戦闘準備をして、ノアとロイヤルティーナイトは数秒間睨み合った。
「それでは行くぞ、皆んな!」
ブラントは皆んなを鼓舞するようにそう叫んだ。
「うん!」
リタはハンマーを両手で構えた。
「行きましょう」
ハンナは鞭をしならせて舌なめずりをして微笑んだ。
「おうっ!」
マックスは鉄鋼鉤を合わせて鉄の音を鳴らして不敵な笑みを浮かべている。
「承知!」
シュランは鞘に手を置いて、鋭い眼光を放っていた。
「了解!」
ガンマは斧を振り回して準備運動をしている。
「頑張ります!!」
メグはスナイパーライフルを両手で抱え、不安そうにしていた。
「元気があって良いねぇ。こっちのほうが潰しがいがあるってもんだ!」
ノアはそう叫びながらロイヤルティーナイトの面々に正面から突っ込んで行った。




