65 勇気と反射と影VS魔力の暴力
時は戻り、ライトニングの『稲妻之爆発』の爆風が収まった少し後。貴族エリアのとある路地で戦っていたゼーレ達3人は、皆建物に衝突していた。
「うっ! 吹き飛ばされるのはさっき経験してたのに頭打っちゃった。痛ぇ。てか、レイラは大丈夫か?」
「うん、ぶつかる直前で魔法を発動できたから怪我はしてない。それより、悪魔はどこ?」
「さぁ? 分からないが、今の内に少し作戦を立てよう」
「うん、その方が良いと思う」
そして、ゼーレ達は数十秒の間話し合ってゴウエンに勝つための作戦を立てた。
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「あぁーもう何なんだよ! これだから魔法使える奴らは嫌いなんだよ! ポンポンポンポン理不尽な技を使いやがって!!」
ゴウエンは、イライラして瓦礫を殴りながら建物から出てきた。
「行け、『炎之機関銃』」
ゴウエンが建物から出ると、ゼーレが出した数十個の火の玉が正面から飛んできた。
「ふっ、その程度の魔法は攻略済みだ」
ゴウエンはそう言うと、思いっきり地面を蹴って上空へと飛び、火の玉を躱した。
「確かに、その躱し方は定番だ……。だが、無警戒過ぎたな」
ゼーレがそう言うと、後ろで魔法の準備をしていたレイラが、空に幾つもの水滴を出現させていた。
「ゼーレ、さっきの作戦通り行くよ。『反射水之空支配』」
レイラが杖に魔力を込めると、水滴は六角形へと変化した。
「邪を払う光の矢よ。進み続けろ! 『光之矢乱』」
ゼーレは、数十個の光の矢をレイラの魔法目掛けて撃った。
すると、レイラの魔法に当たった光の矢は、レイラの計算により、ゴウエンのいる場所へと跳ね返った。
「くっ! ウザいな。だが、俺が空で動けないとでも?」
ゴウエンはそう言うと、右腕を左胸の前にし、魔力を込めて空を殴った。すると、ゴウエンの体は左の方へと吹っ飛んでいった。
「ふっ、その程度で逃げれると思わないで。ゼーレ、まだ魔力はある?」
「おぉ、あるぜ」
その言葉を聞いたレイラは、空を覆い尽くすほどの六角形の水を出現させた。
それにゼーレは、無数の光の矢を当てて、空中で逃げるゴウエンを追っていった。
「ハッ、数撃ちゃ当たる戦法か? 見栄えだけは派手でいいかもな」
だが、ゴウエンは徐々に慣れていき、最小限の動きだけで、自身を追う無数の光の矢を空を殴って起こす風で躱していた。
「チッ、流石にまだ魔力切れにはならないか。だが、戦闘経験の差か? 隙だらけだ!」
ゴウエンはそう言うと、自身を追う無数の光の矢の隙間を掻い潜り、一気にレイラの懐まで移動した。
「ハッ、貰った!!」
ゴウエンは、レイラ目掛けて渾身の一撃を振った。
『反射之水盾!!』
だが、レイラは間一髪で魔法を発動して自身を守ったのだった。
「クッソガァ〜、おもんねぇんだよ、その魔法〜!!」
ゴウエンは自身の拳の威力によって、向かいの建物まで吹き飛ばされて行った。
「ちょっと、もう一回作戦会議しようぜ」
「分かった」
ゴウエンが吹き飛ばされた後、再びゼーレとレイラは集まり作戦を立てた。
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「あーもう、その魔法マジでウゼェなぁ〜」
ゴウエンは、そう言いながら瓦礫などをどけて出てきた。
「あ? アイツラはどこ行った?」
ゴウエンが建物から出てくると、辺りからゼーレ達の姿が消えていた。
「行け! 『崩壊之白太陽!!』」
「っ!」
ゴウエンが辺りを探っていると、突然後方からゼーレの魔法が飛んできた。
ゴウエンは、魔法を見て直ぐに耐えれないと悟り、上空へとジャンプした。
「掛かった! やっぱり学習してなかったのね。『反射之水檻!』」
建物の影に隠れていたレイラが杖を掲げると、空中にいるゴウエンを囲むように大きな水の膜で出来たボールが出現した。
「ん? 何だこれは? 薄い水の膜か?」
ゴウエンは、水の膜を壊す為に勢い良く地面に向かって降りた。
すると、水の膜に触れた瞬間ゴウエンの体は上に弾き飛ばされた。
「っ!」
「その水の膜には、私の魂の特性である『全てのエネルギーを反射する』効果が付いている。つまり、その膜に貴方が触れた瞬間から、その中で永遠に跳ね回わる事が確定した」
レイラは、水に衝突する度に跳ね回っているゴウエンを見上げながら、悪魔のような笑みを浮かべていた。
そう、ゴウエンの体は水の膜に衝突する度にスピードが上がっていき、まるで風船の中で子供が跳ね回っているような光景になっていたのだ。
「っ! どんどんスピードが上がっていてうまく体を動かせない!」
「今よ! ゼーレ!!」
レイラは、500m程離れた場所で魔法を用意していたゼーレの方を見てそう叫んだ。
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「あぁ分かってる!」
ゼーレはそう言うと、空高くジャンプした。ゼーレの右手は白く発光していた。
空高くジャンプしたゼーレは、右手を上に上げ、巨大な白い槍を構えた。
その槍は先端が特に大きく、下にある水のボール全体が的になっていた。
「……喰らえ、悪を滅する正義の矢。『崩壊之白太陽神槍!!』」
ゼーレはそう言いながら、下の水の膜で跳ね回って居るゴウエン目掛けて勢い良く槍を投げた。
「クソがっ! 鬱陶しいんだよ!!」
ゴウエンはそう言って、魔力を拳に集めて、下へ向けて渾身の一撃を放った。
すると、水のボールは風船のように弾け散り、ゴウエンは、地面へと落下していった。
「ハッ! 流石に俺様の全力には耐えれなかったなぁ」
そう言うゴウエンは、嬉しそうに笑いながらレイラを見つめてそう言った。
「っ! 私の魔法が突破された!」
「クソっ! これじゃあ射程外に行かれる!」
ゼーレは落下しながら、ゴウエンの方を見て、焦りながらそう言った。
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「……、『シャドウルーラー』発動」
その瞬間。その場には、今まで感じれなかった新たな膨大な魔力が現れた。
少し離れた建物の陰で隠れていたディストラは、影の中へと入り、そこで一つの大きな棒を作り出した。
「影達よ、彼の者を拘束せよ。『影之手達』」
ゴウエンが、『崩壊之白太陽神槍』の射程外まで落ちようとしていた時。突如として、少し離れた建物から影が伸び、地面から飛び出して、ゴウエン目掛けて伸びていった。
「っ! この魔力、覚えがあるぞ」
ゴウエンは、その魔法を見て驚いた顔をした。そして、ゴウエンはその影魔法から逃れる為に、腕を思いっきり振った風を使って空中移動をしようと腕を構えた。
「なっ!」
だが、その影魔法は、ゴウエンの予想を大きく上回りゴウエンが腕を振る前に、ゴウエンの四肢を四本の影に分かれて拘束した。
ゴウエンを拘束した後、その影達はゴウエンを大の字にし、『崩壊之白太陽神槍』の正面で留まった。
「クソッ! 離せ!」
ゴウエンは、全魔力を四肢に集中させて抵抗したが、影を振りほどくことはできなかった。
「フッ、私はライトニング様から魔力を分けて頂いているのです。貴方では寿命がいくらあっても永遠に解けはしないですよ」
ディストラは、建物の陰からそっとゴウエンの方を見てそう言った。
「くそっ! 確かライムとか言う奴にディストラって名付けられてたか? 何故生きている!? てか、ライムとライトニングは繋がっているのか!」
「……、貴方が知る必要はありません」
ディストラは、冷たく殺気立った表情でゴウエンを静かに睨む。
「貴方の敗因は、ライトニング様の邪魔をした事。それと、まぁ私が言えたことではありませんが、魔将軍たるもの魔王様の意に反することは死に値しますからね。貴方とは此処でさよならです」
ディストラはそう言うと、影の中に入って何処か別の場所へと移動した。
「クソッ! 居るんだろ? 姿ぐらい見せやがれ!! クソがぁ〜!!!」
ゴウエンはそう叫びながら暴れたが、拘束は解ける事無く、ゴウエンは白い光の槍に貫かれたのだった。
貫かれたゴウエンは、貫かれた箇所から塵のように消え去っていった。
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「ふぅ~、何とか倒せたな」
ゼーレは、少し離れた場所からレイラの所まで走ってきた。
「でも、最後の影魔法は誰だったのか分からない」
「あっ、やっぱりなんかあったのか。まあでも、普通に考えてこの国の誰かでしょ」
ゼーレは、軽くそう答えた。
「それはそうなんでしょうけど……」
こうして、ゼーレとレイラと『陰の実力者』ディストラ対魔将軍ゴウエンの戦いは幕を閉じたのだった。




