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与えられた家臣は梟雄でした  作者: 梅を愛でる人
領内平定
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 役職や官位をぶつぶつと考えながら、豊はモニター前に座った。

 想像した通り、黒いモニターに白い三角マーカーが点滅している。


 宝玉1 初宝玉武器鉄砲による討伐


 宝玉1 初9領将討伐


 宝玉1 初9領軍に戦闘勝利


 宝玉1100人討伐


 宝玉3 初敵本拠地占拠


 宝玉3 初大将討伐


(うお、宝玉10個!)


 モニターを鼻息荒く見つめていたが、ふとマーカーが消えてないのに気付いた。

 続けて押してみると、パッと文章が表示された。


 各領天上神より各領共通のお知らせ


 68日後、新生領主による会合に参加できます。

 新生領主と従者の身命は、天上神により保証されております。

 ご参加の方は当日に送迎いたします。


 会合に参加しますか?


 はい/いいえ


 お知らせを閉じると、頬杖ついて唸った。


(次々とふざけたことを。ま、要相談だな、先に授与する物を選んでしまおう)


 バタバタと屋敷内や蔵を物色して、納得できる物を揃え終わると弾正と直家を呼んでもらった。

 表座敷に二人が現れると、だらしなく座椅子にもたれる豊が口を開いた。


「役職なんだけど、全9領の中で、この8領は南の真ん中だから鎮南探題にしたよ。官職は何となく響きが格好いいから蔵人別当(くらうどのべっとう)でどうかな?」


 俯き加減で恥ずかしそうな豊に、直家は微妙で応え、弾正は皮肉な薄笑いで答えた。


「何とも中途半端じゃが、あるじらしいわい。どうせ領主さまや、殿さまと呼ばれるじゃろうがな」


「それで軍というか、領のことなんだけど…」


 押し黙ってしまった豊は、二人の顔を窺うように覗き見る。弾正は眉をひそめ、直家は怪訝な顔で続きを促すように頷いた。


「この領を守って、何処も攻めないというのは駄目だろうか?」


 弾正は即座に首を横に振り、直家も目を閉じて顔を顰めている。


「あるじ、それは無理じゃ。他が二つばかり併呑すれば防ぎきれん。倍々の兵力で攻めて来るんじゃからのう」


「そうだよね…。実はお知らせ、ってのが来ていて争わずに済めばいいかと思って」


 領主の会合のことや、宝玉が10個になったことなどを話した。


「それは行った方がよかろう。どのような者か知っておる方がよい。あるじの知識であれば、其奴らの兵装が分かるやも知れぬ」


 弾正、直家と共に行くことを決め、軍の編成について相談を進める。

 弾正はこの村を拠点に西の7領に備え、直家は3の村を拠点に東の9領へ対応するのを決めた。

 二人を軍団長として、百人長から十人長の官職を与え、不足があれば考えることにする。

 豊としては、先手大将、足軽大将、旗大将といった具合に、戦国時代の物にしたかったのだが、混乱すると難色を示す二人に却下された。

 そして、領内の物資は3の村に集積し、役所を設けて各村に役人を派遣することにした。


「だいたい決まったね。犯罪は自警団を専門職にして対応しよう。大きな犯罪だけ、報告してもらう事でどうかな?」


「それで上手くいくじゃろう。徒党を組む賊や、人を殺める者だけ厳しくすればよい」


 髭をしごいて直家と頷き合う弾正に、豊はハッと青ざめ、蓑虫踊りを思い出した。

 罪人に蓑を巻いて縛り、火を放つ刑罰である。

 もがき暴れる様子から蓑虫踊りと称された。


「弾正さん、死罪でも酷い刑は駄目だ」


「んん? ふうむ。打ち首ならよかろう」


 頷いた豊はホッと胸を撫で下ろした。

 松永久秀が行ったとされた蓑虫踊りだが、実際にはキリシタン弾圧で行われた。

 豊は後世の悪評によって創作されたと思っている。戦国時代は治安を優先して厳罰主義だが、優れた大名は国力を落とさぬよう善政を敷いた。

 松永久秀もこの例に漏れないと思っている。




 戦いに参加した全兵士を集めた。

 表座敷前の狭い場所に集めたので、押し合うような混雑だった。

 豊のお礼から授与式は始まり、全兵士に金銭を支給すると告げると歓喜の波にうごめいた。

 更に死んだ者には遺族に倍額を支給するとした。

 手柄を立てた者に、刀剣類や装飾品を褒賞として与えてゆく。


「皆さん本当にありがとう。この後も軍に残りたい人は志願して下さい。ただし、常備軍となりますので、農閑期だけの参加を考えている方はお断りします。今後も他領との戦いがありますので、ご家族のことを考えて志願してください」


 弾正が解散を告げると、黒山が崩れるように人が流れてゆく。そこら中で、抱き合ったり、握手して肩を叩き合う光景がいくつも見られた。

 そんな人々が疎らになるまで、豊はその様子を感慨深く見つめていた。

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