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領軍が2の村に駐屯したことを確認すると、エルマーに相談して兵士を労うことにした。
村人たちは前日と同じように、忙しなく行き交って準備を始め、村がざわめき活気を帯びてゆく。
「凄く助かるんだけど、この村ばっかりに負担をかけるのは申し訳ないなあ」
「そのことでございますが、私も小粒金を使い切りまして、新たに頂いてもよろしいでしょうか?」
渋面だった豊が、直家の問いに泣きっ面になっていく。
「そっかあ、困ったな。あれは屋敷で見つけたんだけど、他には見つからなかったんだ」
「はあ、七番土倉にございますが」
壮大に疑問符を掲げた豊に、直家がひとつずつ説明してゆく。一番には刀槍類、二、三番が鎧兜、四番が馬鎧や鞍などの馬具、五番が掛軸、茶器、漆器等。
「それで六番土倉は空っぽじゃろう。わしも覗いたから間違いないわい。七番とはどこじゃ?」
「弾正殿がよく居られる茶室の奥です」
豊も、弾正も頭に浮かべたのだろう、合点がいったように頷いた。
「あの納屋くらいの蔵だね。六つ目が空だったから開けなかったよ」
「左様にございましたか。中には金や銀、螺鈿や蒔絵の細工物などがございました。大判などはありませんが、小粒金や砂金の類いがかなりの量あります。海老錠もありますので、念のため掛けておいた方がよろしいかと」
直家がエルマーと相談して、食料等は金品で賄うことになった。豊は予想外のことに目を瞬いていたが、顔にはひとつ荷が下りた安堵が浮かんでいる。
その豊のふやけた顔を見て、弾正が口を開いた。
「そうじゃ、前から不便じゃった。あの爺さまのとこの若衆を小姓にせよ。何なら六人とも屋敷に住まわせたらどうだ?」
「うーん、まあそうだね。部屋はいっぱいあるし。長屋も二棟あるから、兵の人も希望を聞いて自由にしてもらおう」
(彼らは百姓兵だ。領軍との戦いが終われば大半は去っていくのだろう。それまでは出来るだけのことをして応えよう)
その後もいくつか取決めを話し合って、賑やかな村人たちの輪に入った。豊はロルフたちとチーズやシチューを楽しみ、弾正は独自の麦雑炊を振舞っている。そして、直家は隊の者たちと果実酒で祝杯をあげ、大声で盛り上がっていた。
村をあげての祝勝会から、体力のない豊は早々に脱落して屋敷へと向かった。
場所を移して、二階で寝起きすることにした。
布団を抱えて階段を上がり、相変わらず殺風景な部屋を眺めるが不満はない。プライバシーという点では最も適した部屋だからだ。
布団で肘枕をしていると、ふと真っ暗なモニターに点のような物が見える。
豊が目を細めて近寄ると、右上に三角形の小さな白いカーソルが見える。
と、階段の下から小姓となったティモが呼ぶ声が聞こえた。
「トノさまー、トノさまー」
「ああ、おりるよ、ちょっと待って」
急な階段を慎重におりると、ティモが人懐こい笑顔を向けている。
「トノさま、こちらへ」
「ああ、わかったけど、その殿さまって誰に聞いたの? 宇喜多さん?」
「えっ? みんなそう呼ぶようにって」
あどけない顔で目を丸くしている。
曖昧に頷きつつ、領主さまは何処へいったのか考えてると湯殿へと案内された。
「みんなで用意しました。どうぞ」
五右衛門のような様式だが、浴槽が大きく、以前に覗いた時はお湯を張るのを諦めたものだ。更に植物油で作られた石鹸まで渡された。石鹸も嬉しかったが、井戸を何往復したのだろうと染み染み感謝した。
お湯に浸かりながら、まだ歩哨に立つ者や、斥候で夜も馬を走らせている者を想像していると、目頭が熱くなった。
(突然、この世界に来て恨んでいたけど、おれはまだ恵まれた立場だ。あの悪魔の思惑など関係なく、自分のために、ここの人たちのために足掻いてみよう)
さっぱりするとティモたちにお礼をいって、早速モニターの前に座った。知らず顔を顰めて、白い三角カーソルを押す。
パッと九つの領地が表示され、カーソルはそのままに明滅している。続けて押す。
達成報酬が受け取れます
宝玉1 初砦攻略
宝玉1 初敵将討伐
宝玉1 初挙兵
宝玉1 初戦闘勝利
確かめるように砦攻略を押すと、右下に宝玉のような丸いアイコンが現れて横には1の表示。全て押してゆくと煌めいて回るその横の数字は4となった。




