善は急げ
「ところでさっきの話なんだけどさ」
食事を終えたころ、シェリアが真っ先に口を開いた。
「クロガネ君はいつ記憶を取り戻したいと思ってるの?」
「いつ……って?」
「さっきエシュロウが提案したわよね。貴方は強くなるべきだって。そして一緒に戦う仲間のことを知るべきだって」
レイジは首を縦に振る。確かにそういった。
ヒノキとエシュロウも黙ってシェリアの次の台詞を待つ。
「私はね、あなたの記憶が戻るなら今すぐにでも行動を起こすべきだと思ってるわ。幸いにも、ここには貴方の味方しかいない。
私達三人は全員ある程度の戦闘能力がある。貴方が今戦う力がなくとも、私達三人が力を合わせて貴方を守れればそれでもいいんじゃないかと思うの」
「それは、護衛として行動を共にしてくれるということですか?」
「そういうことね。貴方達はどうする?」
シェリアはヒノキとエシュロウの二人に目を配る。
「私は、それでも構わないです。レイジさんの記憶、取り戻すことが出来るなら早いほうがいいと思うし」
「時間を優先するのならそれもいいとは思います。ただ決めるのは俺達ではなく、クロガネ自身かと」
言われて考える。
――俺の一存で、こんなことを決断してしまってもいいのか?
「クロガネ君、貴方が決めなさい」
シェリアはレイジに決断を促す。
「いいんですか? 俺が決めてしまって……」
「他の誰かの決断や考えに流されてばかりって言うのも嫌でしょ?」
今まで自分には選択肢なんてない。そう思っていた。
シェリアはそのことを汲んで、提案しているのかもしれなかった。
エシュロウの言うように、周りの人間と絆を深め、信頼できる仲間を作ってから行くか、それとも今ここにいる人間だけで行動を起こすか。
今自分には二つの選択肢が与えられている。今までなかった大きな選択肢が。
「俺は……すぐにでも記憶を取り戻したいです」
「どうして?」
シェリアはその答えに質問で返した。
「自分のことがわからない……っていうのは……なんていうか不安っていうか、そんな気がする」
「私も貴方の立場だったらそう思うかもしれないわ。それはきっと、記憶のない貴方にしかわからない。記憶喪失なんてそう起こることでもないし、起こってしまった人間にしかその不安はわからない。
だから協力しようと思うわ。二人とも異存はなさそうだし。
それでいいかしら? 二人とも」
「構いません」
「……同じく」
二人とも了解の意を示す。
エシュロウだけが、少し硬い表情をしているが。
「それじゃあ、善は急げ! 早速行動に移しましょう」
ちょろちょろ休んでしまい申し訳ないです。
ちょっと時間が取れなくて、今日はこれだけで。
来週またたくさん更新します(できれば)




