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私の幼馴染は貴金属依存症と宝石依存症の合併症らしい。

「皆さん。この度はご入学おめでとうございます。昨今では今日では超能力を使った事件が多発しており超能力を管理すべきという声も上がっています。しかし、そもそも超能力とは何か…皆さんはそのことについて考えたことはありますか?そもそも……」


私は今座っている椅子の座り心地を確認する。

お尻が痛くない。

……この椅子なかなかいい仕事をする。

まさか体育館にあるのがパイプ椅子ではなくなかなかにいい椅子だとは…

まぁ私の部屋の椅子には負けるけどね。

及第点といったところです。


さすが金持ち学校なだけのことはある。

有名な私立高校だということもあり学費もとんでもなかったけど、まぁ自分で言うのもなんですが私は優等生ですから?特待生制度あって良かったです。


「……我が学園では超能力の正しい使い方を知っていただきたいと思っています。また超能力で他人に怪我をさせてはいけません。

そのため我が学園はこの辺り一帯全ての土地を買い占めることによってこの都市を丸ごと学園とする『学園都市計画』を進めようやく今年完成することができました。

これはあなた達の先輩方のご支援の賜物です。誠にありがとうございます。

これによって遠いところからやってきた方々にも無料で宿舎を提供することが出来ます。学生となるあなた達はパンフレットにもあった通りこれから3年間宿舎で暮らして……」


白ヒゲを蓄えた魔法使いみたいな校長が話を続ける。

へ?まじで?…あ〜そういえば私の家ギリギリ学園都市の範囲外か。

道路を挟んで学園都市だもん。

そういえば工事の音がうるさかったよ。


というか宿舎で暮らすとか聞いてない。

え?パンフレット?

いや日程のところしか見てないし。

今日はちょっと黒田氏の声を聞かなきゃいけないからゲームを買いに行かないと。


確か題名は…『あなたはキューピット』だったかな。

この『あなたは〜』シリーズ最新作。

毎回中々の売れ行きを見せ、評価はいつも☆4.1程度の良ゲーだ。


「……勉学と超能力の扱い方とその精神それらをこの3年間で学んで欲しいと思っています。以上教頭でした。……やめてっ、危ないっ氷の弾丸とか死ねるって!申し訳ないっ!うぉっ!…私は悪くないっ!危なっ!校長に脅されたんだっ!」


おっようやく話が終わったな?

終わったよね?というか教頭先生がスライムみたいにグニャグニャ動きながら全部攻撃を何気に回避してるのがすごい。

というかもはやあれはスライムだわ。きも。


「教頭先生ありがとうございました。」

「「「「「教頭かよ!」」」」」

「おい!教頭っ!何やってるんだ!」

「校長に化けてるんじゃねえぞ!」

「お前が超能力の使い方間違えてどうするんだ!」

「校長をどこへやったの?!」

「校長を探せ!」


どうやら壇上に立っていたのは教頭先生らしい。

周りの先生が騒ぎ始めてるし。

というか『教頭先生ありがとうございました』っていった人のスルースキルやばすぎだろ。


「えーではこの後、新入生の皆さんは10号間一階にある学年掲示板を見て自分のクラスに移動してください。ではこれにて入学式を終了します。」


えーまじか。まぁそりゃそうだよね。

入学式終わったら帰れると思ってたけどまだ9:45分。11:30帰宅開始ってなってた…ん?引っ越しとかどうするの?


わらわらと人が体育館の出口に群がっていく。

おぉ気持ち悪い…とりあえず私はあの人の群れに揉まれる気はないので人がいなくなるまで椅子に座っていることにする。


そんな私に話しかけてくる存在があった。

うん眩しい。何が眩しいって物理的に眩しい。

そうか、この学園服装についての規定がないからこいつの服装もオッケーなのか…

悪趣味ではないが、いやむしろセンスはとてもいいのだが…色々と飾り付けが激しい。

主に金。


「またそんな悪趣味な格好を…いや似合ってるけどね…(シズク)はなんでそんなにキンキラな服なんだか…」

「いや、錬金術の材料になるから…未だに賢者の石は作れないですけど…本当にあれあるのかなぁ?零ちゃんはどう思うですか?」


水田 雫。私の幼馴染で私の三軒隣に住んでいる。

敬語を拗らせちょっと言葉づかいが変なのを抜けばまともな幼馴染だ。

最近はどうか知らないけど。


「雫も特待生で入ったんだ!一緒だね!」

「え?…あっうん。そうですネ」

「……」

「……」


錬金術の能力を持つ人は未だに世界を探しても一人もいない。

雫はその一人目である。

周りには『物質(マテリアル)操作(コントロール)』という物質を合成したり操る能力ということにしているらしい。

まぁその能力もかなり希少ではあるがないこともないといった程度だ。

錬金術とかいうものの本質を弄り世界の法則を捻じ曲げるインチキ能力ほどすごいわけではない。

まぁ私も人のことを言えた義理じゃないけど。


さてではここで問題だ。

鉄とクロムを合成すると合金になる。

合成っていうのはつまり綺麗に混ぜ合わせることだ。

じゃあ錬金術で大量の水と水を混ぜるとどうなると思う?


うん、そうだね。少量の純金ができる。


わけわからない?私もわけわからないよ。


「ねぇ?もしかして(きん)にものを言わせて…」


雫の場合『かね』にものは言わせない『きん』にものを言わせる。


ただで金を産出し延べ棒に加工して売る。

そんなことを何回も繰り返せばもちろん目立つし狙われる。バレたわけではないが身代金目的で雫が攫われそうにになったので私が色々やって止めたのはいい思い出だ。

そしてその後からもう水から金は作らないと約束したのだけど


「約束破ったの?」

「う、ううん。破ってない。グレーだからセーフですよ!」

「グレーって?」

「ハッ?!」


語るに落ちるとは……いやチョロすぎる。

大丈夫なのか?!私の幼馴染!

雫っ!もっとしっかりしろ!


「え、えっと……(ゴールド)はダメだから白金(プラチナ)を作ったですよ……」

「うん、アウト!」

「えっでも約束破ってないですよ?」

「でもグレーって思ったってことはダメだってわかってたんだよね?」

「う、うん…」


ちなみに私と雫以外知らないことであるが純金と純金を混ぜると色々できる。

爆発したり…光を放ったり…重力場を作ったり…


キラキラした飾りはそういったものを作るための道具でもあるのだ。

だから悪趣味と思われがちな金のネックレスや金の指輪なども護身用の道具である…多分。


前に宝石店の前を通った時めちゃくちゃ目を輝かせていたり家に遊びにいった時、宝石まみれの格好をしていたのは趣味ではなく何か実験をしていただけだと私は信じてるよ。


「まぁやっちゃったことは仕方ないし行こっか」


もう人はだいぶ減って出やすくなった。

私はカバンを持って立ちあがる。


「次は気をつけるです。……んんっ…」


それにしても重そうなカバンだ。

雫…何をそんなに入れてきたんだい?

そして…次は、ないよ?


「……うう……やっぱり金のラージ棒は思いですね…」

「……あっ、うん手伝うよ」


というかラージ棒を持ってくるって何考えてるんだ?

幼馴染ではあるけど全くわからない。


「ラージ棒をなんで持ってきてるの?」

「3年前からか時折ラージ棒か大きな宝石に触らないと手の震えが止まらなくなったのです…零ちゃんはどうしたら治ると思いますか?しかもキラキラ光るものを見るとどうしてもそれが欲しくなっちゃうのです…」


カ ラ ス か。

光モノを集めるとかどんな習性…

というかその症状ってアル中…


「最初は金の指輪で治っていたのです……でも最近じゃ大きくて重たいモノじゃないと…ラージ棒は精神安定剤なのです…今ではラージ棒なしでの生活など考えられないのです…」

「うん、金とか宝石類を一回断とうか」

「そんな殺生な!ラージ棒だけは!家の秘蔵宝石コレクションだけは!」

「何?秘蔵の宝石コレクションって?」

「ハっ?!」


私の幼馴染は貴金属依存症と宝石依存症の合併症らしい。


とりあえずラージ棒入りのカバンを浮かせ掲示板を見に行くことにする。


「ブラックダイヤモンドだけは!どうか!キャッツアイとか琥珀も捨てがたいけど!オパールも捨てがたい!零ちゃん!私の生きがいを奪わないでぇ!」


こいつ…自作の金で宝石を買ってやがった…

しかもへんな敬語が抜けてるほど熱中してる。

早くどうにかしないと……

でもどうにかするのは『あなたはキューピット』を買ってからでいいか。


とりあえずクラス分け見ないと…

時間に余裕はあるけど他の人を待たせたらいけないし



水田 雫

いつのまにか宝石と貴金属の持つ魅力に取り込まれてしまった残念な子。

普通ならば破産するところであるが純金と純白金程度ならば余裕で生み出せる上にダイヤモンドなどの原石も普通に生み出せる。

しかし原石を加工する為の知識が足りないため宝石は貴金属を売ったお金で買っている。

依存症が加速したのは身体中に宝石を纏ったのを零に見られたあの日からである。

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