裸族ですが何か問題でも?
うららかな春の日差しがとても気持ちいい……
眠…い…あぁ幸せ…
「零ぃ!起きなさーい!」
というわけで私の幸せな惰眠タイムはお母さんに打ち砕かれました。
「あと…5分…」
「こらぁ!さっきもそう言って起きなかったじゃない!今日入学式なんでしょ!早く起きなさい!」
お母さんが手を振るうと私にかかっていた掛け布団が空中に浮き、畳まれ、そのまま押入れの中に入っていった。
なん…ですと…今日が…入学式…
まさか…いや、そんなはずは…
まさかね?背中に冷たい汗が流れる。
「お母さん、今日何日?」
「零…ボケたの?今日が入学式なんだから4月1日に決まってるじゃない」
時計を見る。
7時55分。入学式は確か…何時からだっけ。
慌てて机の上にあるファイルを取ってプリントを見る。
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新入生の皆様へ
春の日差しが麗らかで過ごしやすい気候に〜
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保護者の方々につきましては〜
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これからも教職員、スキルトレーナー共々努力して行く所存でございます。
学生には保護者の方々の支援があることを忘れずに学業と自らの力を鍛錬し研ぎ澄まして欲しいと思っております。
日程
4/1(木)入学式
4/2(金)身体検査、能力申請・検査
4/5(月)始業式
4/1(木)入学式
8時15分 体育館へ集合完了
8時20分 入学式開始
※道が混雑することが予想されますのでなるべく早めに登校することをお勧めします。
※車でお越しになるのはお控えください。
※路上駐車をすると地域の住人の方々や通行車の妨げになりますのでお控えください。
※能力を使用した登校は十分に安全に留意して行ってください。
4/2 (金)身体検査、能力申請・検査
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嘘…マジで?エイプリルフールじゃなかった?!
「お母さん!早く言ってよ!」
「もう5回も言ったわよ!ほら!パンとコーヒー!」
お母さんは洗濯物を干しながら手荒に着替えている最中の私にパンとコーヒーを飛ばす。
ちなみにお母さんの能力は『念力』なのでコーヒーとパンはひとりでに飛んできているように見える。
そしてその子供である私は、『念力』も使える。
パンとコーヒーは私の目の前で慣性などないかの如く、ピタっと止まる。
というかマグカップにコーヒー入れて飛ばすのはヒヤヒヤするからやめてほしい。
時計の針は8:00を指している。
着替えは済んだ!朝食も食べた!
「忘れ物ない?」
「うん!ない!」
「パンツとブラは?」
「今からつける!」
あの…私はいわゆる裸族という奴でして…
はい…もちろん自分の部屋の中だけですよ?!
リビングにはちゃんとジャージ着て行きますから!…えぇ問題ありませんね。
月のモノの日はめんどくさいんですよね。その時はパンツ履きますけどナプキンが蒸れる蒸れる。
本当に蒸れて痒くなるので嫌なんですよ…
もちろん痒みを抑える塗り薬……こんなことは話す必要がありませんね。
でノーパンで外に出ようとしてしまった言い訳なんですけど外に行くときいつもはちゃんとパンツは履くんですよ?
でも春休みで長いこと家の中にいたのでつい……やってしまいました。はい、言い訳終了です。
ちなみにブラは『構造編集』の能力を持った人が作った夢の新素材でできているので、サラサラスベスベの触り心地と高い伸縮性っ、そして高い通気性によって汗蒸れの心配がなくっ!その上で!その上でですよ!高い摩耗性と耐久性を持った…まさに神!神が作った下着なのですよ!いやーこれが本当に高くて。お年玉使って買っちゃったんですけど数量限定でなかなか手が届かなくて……はっ!時間を浪費してしまった!
つい身に纏うものと考えると熱くなってしまいますね。
よしっ!準備は万端!
「靴履きなさいよ!」
「今から履く!」
いや、ね?言い訳させてください……
[割愛]
というわけで私はいつも浮いているから靴は必要ないわけですね…あっ靴下も履いてなかった…
あっそうだ!私のこの靴下もですね……
[割愛]
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8:10
私は
「うぉぉぉおおおおおお」
空を飛んでいた。
一応、空気の壁を越える程度の速さは出しました。
悪気はなかったんです。
だからスクランブル発進しないでください。
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8:13
ま、撒いてやった……
勝った!
勝ったぞ!
とりあえず体育館の中に……体育館用の靴…
裸族なら裸足ぐらい大丈夫だろ、とか思ったそこの方…私はヌーディストビーチに行かないタイプの裸族なので…わかります?察してください。
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8:14:10
テイクオフっ!
ワンっ!モアっ!スクランブル!
……ひぇええ!ちょっ待ってっ!
いやぁぁあああ!
『気体術師』か『気体操作』か『気体使い』か知らないけど風の刃は危ないから!
いや風の弾丸でも同じだから!
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8:14:40
はぁ…はぁ…
うん、ギリギリセーフ。
徒歩30分
軽く空を飛べば10分
5割本気ならなら30秒。
いい立地じゃないですか。
ちなみに私はGとか関係なしに飛べるので内臓が潰れたりしません。
私の能力は『念力』だと周りには言ってありますがそれは私の能力の本質とは少し違うんですよね。
ちなみに私のお父さんの能力は『ベクトル操作』です。
もちろん私もその能力を持ってます。
ちなみに中学で習うことなのですが親の能力と自分の能力が一緒であることはあまりないのだとか。
だから能力が違っても悩む必要はないのだと道徳の時間に学びました。
まぁお父さんの能力もお母さんの能力も引き継いだような私なので、だから何?みたいな感想を当時も今も抱いていますが。
学びはした、でも共感はできない。
「静かにしろー。時間だー。点呼始めるぞー」
あ、やばい。点呼が始まる……
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結果から言います。
間に合いましたよ!えぇ!大勝利です!
「天野…ゼロ?レイ?さん」
「はい。天野、零です」
うん、滑り出しは好調だ!
高校生活へのスタートダッシュを無事に切りましたよ!
「後から、職員室に来なさい。」
ふぁっ?!いやーおかしいなぁ?
全く心当たりがありませんな。
ちょっと空軍の方々と楽しい楽しい追いかけっこをしていただけで悪いことは神に誓って何もしてませんとも。
まぁ私は無神教者なんで誓う神なんていないんですけどね。
ん〜…それにしてもおかしい。
ちゃんと飛ぶときは白と青の迷彩マントを身につけてフードも被ってたのに…
む?逆にそれが不用品だとでも言われるのか?
それはまずい…あのマントはサイコーに肌触りがいいし強靭でしかも風も通さないし、汚れにも強く家庭用洗濯機で洗えるし熱遮断性も最高で赤外線センサーやら熱探知にも引っかからないほどの優れものだというのに!……没収されたら私泣くよ?!
お父さんに頼み込んでやっとプレゼントしてもらったものだから。
えぇっと素材はなんだったかな…スカイなんとかなんとかの皮を丁寧になました後になんとかに漬け込んでなんとかのなんとかを……うん覚えてないけど凄く凄いものっていうことはわかる。
「お母さんからお弁当が届いてますよ」
は?……え?弁当?
そういえば…持ってなかったね。
心配して損したじゃないか。
というかお母さんや。
よくよく思い出してみれば、『忘れ物ない?』って聞くときにお弁当をその手に持ってたじゃないか。
そもそも今日は午前で終わるからお弁当いらないって言ったのになぁ……
はぁ、心配して損した。
私の心配を返してくださいな。
「そういえば皆さん!この辺りでとてつもなく早い未確認飛行体が空軍に発見されています!ワイバーンなどの可能性があるので帰るときは十分に気をつけて帰るように!」
ワイバーン。
それはかつて生体創成の能力を持った人が作り上げてしまった化け物…らしい。
その人は他にも色々と作ってしまっていたようでしかも律儀にオスメス2匹ずつ作ってあったために勝手に増殖していった…らしい。
この人のせいで今では能力を管理するという方針を政府は打ち立てるに至ったとテレビで見た。
本当は戦争で使う予定だったらしく陽の目を見る前に戦争が終わった為に野に放ったのだとか。
そんなわけでこの世界にはモンスターがいます。
まぁそのほとんどは別大陸にいるから私には関係ないんだけどね。
「皆さーんそらをものすごい速さで飛ぶ視認しづらい小型モンスターがいるそうなので帰りには保護者の方に迎えに来てもらってください!一人で帰る人は自己責任ですよ!」
おいおい。それって一人で帰ってもいいってことじゃないか。
ちゃんと引き止めろよ。
ん?というかさっきより情報が詳しくなってないか?
空を、ものすごい速さで飛ぶ、視認しづらい、小型、モンスター?
あれ?私ちょっとお腹が痛いなぁ…
たしかに空軍の方々を振り切る為にめちゃくちゃスピード出したし…空用の迷彩柄だから見づらいだろうし熱を遮断する特性も持った素晴らしいマントだから熱探知にも引っかからないし…私の身長は143センチだから確かにちっちゃいけど……
うん多分気のせいだね。
うん、気のせい気のせい。
「天野さん?大丈夫?顔色悪いわよ?」
「いえ、大丈夫です…やっぱりトイレ行っていいですか?」
「えぇ、どうぞ」
私は能力を使うと色々とやらかすことが多いのでやはり使わないようにしないといけないかも、と反省しております。
2ヶ月前もちょっと…いえだいぶ、いやかなりぶっ飛んだ……じゃなくてぶっ飛ばしてしまったので、えぇ思いっきりぶっ飛ばしてしまったので、
錬金術の真似なんてしなければよかった……
幼馴染の子が錬金術の能力で水から金を使ってたから私もって思って水を凄く圧縮してみたんですね…
陽子と中性子を無理やりバラして引っ付けて…数を合わせる…そうしたら金が水からできると思ってたんですよ…
まぁできたのはなんかやばそうな物体Xだったので海の遥か彼方にマッハ20でぶっ飛ばしてやりましたが。
もちろんソニックウェーブはかき消したので問題ナッシングですよ!
周りへの被害ゼロ!
水平線が少し盛り上がったような気もしましたがおそらく疲れていたのでしょう。
まぁそんな感じで私は能力を張り切って使ったらいけないなぁと思いました。
さてと…じゃあ入学式が終わったら空飛んでささっと帰りますか。
そういえば入学してからすぐにテストがあるんですよ。
これは張り切らないわけにはいきませんね。
いきなりトップを狙ってやりますよ!
あ、そういえば私の好きな乙女ゲーのシリーズ最新作が今日発売だったっけ…
王子様のCVがなんと黒田皇帝さんなんだよ!
あの声を聞いてるだけで幸せだわぁ…
予定変更。
一瞬でゲームを買いに行って一瞬で家に帰る。
まぁ勉強はなんとかなるでしょ。
多分平均ぐらいは取れるはずだからへーきへーき
とりあえず黒田皇帝氏の声を聞きたい!
身に纏うものにこだわりすぎた挙句に裸族になるという拗らせよう…
そんな主人公で大丈夫か?
ーーーーーーどうでもいい設定資料ーーーーーー
『黒田皇帝』
もちろん本名ではない。芸名のようなものである。低く深みのあるテノールボイスが女子の耳を唸らせる。
その声は聞くだけで耳が妊娠しそうなどといった表現で表されるほど色っぽい。
ちなみに男子からはカッコいいオッサンの声として広く知られている。
45歳と本人のプロフィールに書いてあるが、所属事務所は彼が35歳だと言ってあり逆サバを読んでいると噂されている。
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