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まだ恋に至る前の物語  作者: まみや ろも
10/11

明日、行きます

「どしたの急にー?」


 思いっきりラフな格好で、カンナは玄関から出てきた。


「あのね、あの。鹿鳴くんが新しい曲アップしてたの!! すごいいい曲なの!! カンナも聴いて!!」


「ほー、そういう事でしたか」


 そして、イヤホンを2人で分け合って、彼の曲を一緒に聴いた。


「んー、そう言えばなんだかんだで初めて聴くけどいい声ねー」


 聞き終わったカンナの第一声がそれだった。


「それで、興奮してメッセージ送ったわけ?」


「え?うん。どうしてわかるの?」


「あんたが送ったのは、グループチャットの方だからよ!!」


「うそぉ!!間違えちゃった?」


「しかも、何あれ、告ってるわけ?」


 慌ててさっきのメッセージを見直す。


「最後にちゃっかり、好きだよ!!とか書いてんじゃないわよっ」


 そう言って、真っ赤になっている私の首を掴んでガクガク揺さぶってくる。


「ちがっ、そうじゃなくて。好きって、歌とか声とか、その事なんだからっ!!」


「前から気にしてたクセになにを言ってるのかしら、このムスメは」


「だから、そうじゃなくてー」


 と、


 ピコン、と2人のスマホが同時に鳴った。

と言うことは。


「グルチャよね!!返事来たんじゃない?」


「ええええ、どうしよう。なんか恥ずかしくなってきた」


 2人同時にスマホをのぞき込む。


 そこには


鹿鳴『先日はすみませんでした。明日、またスタジオ行ってもいいですか?』



「瑞希!!急いで返事!!そして確保!!」


「ななななななんて書けばいいの?」


「普通でいいのよ普通で」


「普通ってなに?こちらこそよろしくお願い致しますとかでいいの?」


「固いわー、それカチカチだわー」


 そんな事を言い合ってると。


 ピコン


 また2人のスマホが鳴った。


「ちょ、早く返事しないから鹿鳴くん落ち込んだんじゃないの?」


「ヤダ、ちょっと待ってよー」


 半泣きでスマホを開くと。


京『気にすることは無い。俺達はいつでもお前を待っている』






「なんでここで京が返事しちゃうかなー」

「京くん、普段喋らないのにー」



 私たちは抱き合いながら、ズルズルと地面にへたりこんでしまった。

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