2002年4月 SIDE TOOKO
最悪だ。
下腹部痛が続いていたから、嫌々仕事帰りにでもやっている婦人科に行ったら、案の定診察台に乗せられて、医者には曖昧な説明をされた。
女の身体って面倒くさい。病院の帰り道、知らず知らずに涙がこぼれた。
本当はこんな時にさくやに傍にいてもらいたい。思って携帯を取り出してメールを打とうとして止めた。
これじゃあ「ウザいオンナ」になってしまう。自分の気持ちを押し付けるだけの「嫌なオンナ」になってしまう。
どうせ、先がないさくやとの関係。どうせだったら少しでも嫌なところがない自分でいたかったから。
『悪い。今日残業だった。』
ちょうど、気持ちを割り切った時に、さくやからメールが入った。
ここで、海のことを持ち出すのは違ってる。あたしは一つ息をついた。
『疲れているのに、大変だね。さくやは頑張り屋さんだから無理しないでね。』
送信して思った。
このメールは自分をキレイに見せるためじゃない。本心だ。だって、さくやのメールの最初の「悪い」はきっと約束を覚えていてくれたということだもん。それに……メールをくれたってことは少なくともあたしを覚えていてくれたということだもん。
だからもし「残業」が他の女性と逢うためについた嘘だったとしても、そんなことどうでも良かった。そして、心のどこかでさくやはそんなことする人じゃないとも思っていた。
あたし、もう「好き」の気持ちに引きずられるのは止めよう。さくやを「好き」な自分を誇れるくらい、ただ、ただ、純粋に「好き」でいよう。
対価を求めるのは止めよう。さくやを「好き」なのは自分の勝手なんだから。「好き」だったら当然出来ることは何でもしよう。
笑顔でいること。優しくいること。大切に守ること。他にもいっぱい、「好き」だから出来ることを全部しよう。
そして、さくやの幸せだけを祈ろう。
自己満足だけど、自分勝手だけど、それがあたしの「好き」なのだから。




