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軟禁ですか?

芋虫にされて、どうやら馬車か何かに乗せられたようです。

乗せられたというよりも転がされたという方が正しいかもしれませんが。


ガタゴトガタゴト……


急いでいるのか、かなり悪路です。結構揺れてます。ちょいちょいあちこちをぶつけます。

痣になっちゃうじゃないですか。

転がされてる身としては、もっとゆっくり進んでほしいところなんですが、いかんせん口も塞がれているので、

「むぐぐぐ~!!」

としか発言できません。

しかし、むぐむぐ言う私に、誰も反応してくれません。てゆーか、誰も乗ってないのかしら?

そういや、ジュリさんはどうしたのでしょう。

私みたいにむぐむぐ言っててもおかしくないんですけどねぇ?

気を失っているのでしょうか? 気になりますが、見えません。

そうこうしているうちに、私も意識を失ったようです。

こんな悪路ですから、寝ている方が楽に決まってますよね☆




「ん~」


ぼんやりと視界が戻ってきました。

お約束のように、見たことのない天井です。天井というか、天蓋?

もさもさと手を動かしてみれば、ふかふかのお布団の上です。

寝心地よす~!! ごろりん。と寝返りを打っている場合じゃないですね。

起き上がってみると、ここはどうやら乙女の夢・天蓋付きのベッドの上のようです。

シフォンのような薄いふわふわのカーテンが、天井から垂れ下がり、ベッドを覆っています。


「ふわー! どこのお姫様よ」


ふかふかの布団をバフバフと堪能しつつ、顔を巡らせて部屋の様子も伺います。


何畳くらいでしょう、見当もつかないのですが、広い部屋です。華美ではありません、むしろ、清潔で簡素な感じです。家具調度としては、このベッドとソファとテーブルのみ。

腰高の窓からは、明るい光が燦々と降り注いでいます。

そこから外の景色を覗くと、ここがかなり高い場所にあることがわかりました。塔の上ということはなさそうですが、マンションの四階分くらいの高さはあるでしょうか。

現代日本にいた頃、私が住んでたマンションンが四階だったので、そんな感じの高さかなぁって感覚ですがね。

壁は淡い桃色。床には、これまたふかふかの高級品ぽい絨毯が敷き詰められています。


芋虫状態にされ、有無を言わさず拉致られて来たにしては厚遇です。


どこかに続く扉が二つ。

もそもそと眠り心地の良いベッドを這い出てきて、とりあえず一つ目を開けてみます。

「ふむ。ここはバスルームなのね」

首を突っ込んで、中の様子を伺います。

清潔そうな白で統一されたお風呂に洗面台。おトイレもありますー。


ぱたむ。


終了。


そして、二つ目の扉を開けようとそちらに近づいた時、


「お目覚めでございますか」


と、おのずから扉が開きました。

「うおっ!!」

驚きのあまり、私ってばおかしな声を上げてしまったじゃないですか。

一歩下がって扉を見守ると、入ってきたのは落ち着いた感じの30代後半くらいの女の人でした。いや、正確に年齢とか判らないですけどねー。メグちゃんの例もありますし。

髪を後ろで一つにまとめ、真面目そうな人です。

「お腹は減りませんか? わたくし、お嬢様のお世話を申し付かりましたメイドのアゲナと申します」

そう言いながら、お菓子やお茶のポットでしょうか、そういった茶器を載せたワゴンを押しながら部屋に入ってきました。

「お嬢様?」

はて、誰の事でしょう? きょろきょろと周りを見渡しますが、やっぱり私とこのアゲナさんしかいませんよねー? あ、ジュリさんの事かしら?

「はい、お嬢様でございますよ」

アゲナさんはおかしそうに目を細められてますけど、まさか、

「お嬢様って、私の事ですか?」

「はい、そうでございますよ」

ふふふ、と笑われてもですねぇ。もうリサは二十歳でして、お嬢様って歳ではないと思うのですけど……。

ビミョーな顔をしている私を、微笑みながら見守っていたアゲナさんは、

「お腹の具合はいかがですか?」

再度聞いてきました。ああ、お嬢様とか何でもどうでもいいです!!

「減りました減りました! ぺこぺこです!」

目がキラキラ輝いていることでしょう。だってお腹空いてるんですもの。

家を出て一体どれくらい経っているのかわかりませんが、とりあえずお腹はぺっこぺこです。

「ふふ。ではお掛けになってお待ちくださいませね。今すぐお支度いたしますから」

ふわりと笑って、ソファを勧められました。




美味しいクッキーにケーキ。サンドイッチもあります。なにこれ、どこのホテルのアフタヌーンティー? みたいになってます。


むぐむぐ、もぐもぐ。


むむ~。どれもこれも美味しいです。

あれ? なんか大事なこと忘れてるよね? 私。

そうそう。ジュリさんのことを聞くんだったわ。食欲に釣られて忘却の彼方にやってしまうとこでした。


「あの~。一緒にジュリさんという女の子が連れてこられたと思うのですが、彼女はどこにいるんでしょうか?」


傍でお茶を淹れたりお皿を下げたりと世話をしてくれているアゲナさんに聞きました。

「ああ、ジュリ様ですか? ジュリ様なら、もう少しすればこちらにいらっしゃると思いますよ」

ふんわりと微笑みながら答えてくれます。

アゲナさん、最初は真面目さんで、堅苦しい人なのかなぁって思ったけど、意外とにこやかな、優しいお母さんのような雰囲気の人です。

「ジュリさん、無事なんですね?」

「ええ、もちろんでございますわ」

「本当?! ああ、でも直接会うまではわからない……」

私が言葉を続けようとした時、


コンコンコンコン!!!


慌ただしく扉がノックされました。

「はい」

アゲナさんが応えると、


「私です、ジュリです。リサさん、いらっしゃる?」


扉の向こうから、かわいらしいジュリさんの声が聞こえてきました。

「ジュリさん!!」

私は急いでソファから立ち上がると、扉を勢いよくあけました。


そこにはかわいらしく微笑む、ジュリさんの姿がありました。


ありがとうございました~!

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