【幕間】そのころ
リサとジュリが連れ去られて少し後。
今日も転生者を定住地に送っていったオレ。
ショウ、23歳。日本名は立花翔。トリップ前は大学生だったけど、そーいやオレの籍はどうなったんだろ?
まあ、そんなことはどうでもいい。
こっちにトリップしてきて3年。オレは、魔女マルグリット・通称メグの手伝いをしている。
定住地に無事送り届け、その足でメグの家に直帰。
今日はメグさんも外出しているから、家は受付のリサと、転生者待ちをしているジュリさんの二人だけで留守番をしている。
実はこの二人、魔法が全く使えない。
転生してきたりトリップしてきたら特殊な能力がついてきたりするんだけど、リサもジュリさんも『能力なし』のトリップをしてきたみたいだった。
守る者がいない間に何かあったら大変だ。
リサになんかあったら、オレ、発狂する自信がある。多分メグさんもだ。
早く帰ろう。
そう思い、移動の魔法陣を展開する。
明るい光に包まれる。消える時にも包まれるが、出現するときにも包まれる。いつもリサに「まぶしい」と怒られるけど、これはこれでしょうがない。リサの前からいなくなるけれど『必ずリサの元に帰ってくる』ということをしっかりと実感してほしいということもある。
「ただいま~!! リサ~!」
いつものように、入り口の中に現れたオレ。
しかし、いつもならすぐさま「おかえり~! ショウくん! 眩しいから外に帰ってきてっていつも言ってるでしょ?」と文句を言いつつも可愛い笑顔で出迎えてくれるリサの声がしない。
それだけではない。どこかおかしい。
いつもは閉じられている入り口扉が開きっぱなしだ。
おまけに、一階には誰もいない。
とりあえず開きっぱなしだった扉を閉めて、中の様子を伺う。
「リサぁ?」
階段下から二階に呼びかけるが反応なし。
昼寝しているのかと思い、リサの部屋をノックするがこれまた反応なし。
「失礼しまーす」
と独り言を言いながらドアを開けるが、もぬけの殻。
首をかしげつつまた階下に降りて、今度はジュリさんの使っている客間をノックする。
「ジュリさん? リサ?」
……
ここも反応なし。
二人して家を空けることはまずありえない。
というか、リサが一人でここを出ることが無いからな。何があるかわからないから、オレかメグさんと一緒にしか外出していない。
……何があった?
次第に焦りが募ってくる。
「くそう!! メグさん! どこ?」
オレは思念を飛ばすことができないから、オレの思念をメグさんに拾ってもらうために、強く念じる。我知らず、手には拳を握りしめいていた。
『あら、ショウ。どうかしたぁ?』
すぐにオレの思念を拾ったメグさんから反応が返ってくる。
「メグさん! リサとジュリさんがいなくなってる。家の入り口も開きっぱなしで。攫われたのかも」
眼を閉じ、強く念じる。
『ほんと? やだ、今から帰るわ!』
そうメグさんは言うと思念は切れた。
切れたと同時くらいにメグさんが帰ってきた。さすが、早い。
上級魔法をやすやすと操るだけのスキルがあるメグさんは、大魔女と言っても過言ではない。見た目は20代後半か30くらいの妖艶な美女。だが年齢は不詳。年齢は地雷に等しい(これはリサとオレの一致した意見)。そんな美女な見た目に反して、中身はサバサバしていて姉御肌。ちょっと短気なのが璧に瑕かな。でも、この大陸中に知り合いネットワークを持ち、どこでも敬われているところはさすがとしか言いようがない。
そんなメグさんが、帰って来て早々に、腰に手を当てて入り口付近を透視しだした。
少し時間を戻して、そこで何があったのかを見ているのだ。
「男が……四人か。ふん……アケルナル……かしら……?」
入り口付近を睨みつけながらぶつぶつと独り言を言うメグさん。
唇に人差し指を当て、ポンポンとリズムを刻んでいる。メグさんの考える時の癖だ。
アケルナルというのは、この大陸の東に位置する小国。特筆すべき点もそうない、本当に小さな国だ。
そのアケルナルがどうしたというんだろう?
透視をするメグさんの邪魔にならないように、静かに見守っていたけど、
「わかったわ。アケルナル国の王宮にいるみたい。行くわよ、ショウ!!」
突然メグさんがオレを振り返り言い放った。透視で十分な痕跡を掴んだんだろう。眼が爛々と輝いている。
『リサを連れて行きやがって、オメーらただじゃすまさねーぞ!!』オーラが出まくっている。
メグさん、怖いっす。ま、オレも同じくだけどね。
アケルナルか。許すまじ!!
メグさんとオレはアケルナルをロックオンして魔法陣を展開した。
今日もありがとうございました!(^^)




