地球という名の専任媒介、あるいは銀河系への仮登記
第40話(最終回):地球という名の専任媒介、あるいは銀河系への仮登記
無職となった田所は、スーツ姿のまま夜の公園のベンチで、自身の「再就職先」という名の資産を目下捜索中でした。
其の一:未知の「内見」
突如、夜空から巨大な光の柱が降り注ぎ、田所の身体を吸い上げました。
気づけばそこはUFOの内部。巨大な頭部を持つ宇宙人が、冷徹に告げました。
「地球人よ。我々はこの惑星を『ロスト』させに来た。邪魔な生命体を一掃し、銀河のゴミ捨て場として更地にするのだ」
田所は一切動じることなく、宇宙人の肌の質感を検品し、カバンから名刺を取り出しました。
「……お言葉ですが。この『地球』という物件は、現在80億の入居者が居住中の専任媒介契約(? )物件です。オーナー(神)の承諾なき破壊行為は、宇宙管理規約における重大なコンプライアンス違反となります」
其の二:惑星規模の「管理代行」
「黙れ! 我々が圧倒的な火力で更地にすれば、契約など無意味だ!」
「……いいえ。更地にするには莫大な解体費用が発生します。それよりも、この私を**『地球管理代行』として採用しませんか? 私が全人類という名の入居者を、貴方様の支配下で完璧にホールド(管理)**してみせましょう。そうすれば、この星は銀河系最大の収益物件へと生まれ変わります」
田所の「誠実な狂気」に満ちたプレゼンに、宇宙人たちは初めて恐怖を感じました。
「……面白い。全生命の抹消を一時停止する。地球人よ、お前にこの惑星の『暫定管理権』を与えよう」
其 三:地球の「仮登記」完了
UFOから地上へと送り戻された田所。その手には、宇宙のテクノロジーで作られた**「銀河系管理組合・公認バッジ」**が光っていました。
「(……いけない。地球という物件が『宇宙のゴミ捨て場』になる危機は脱したが、依然として老朽化と入居者同士のトラブルは続いている。これは、より強力な管理体制(シーズン2)が必要だ)」
一方その頃、事務所で一人残務に追われていた佐藤課長のスマホに、非通知(銀河経由)で着信が入ります。
「……あ、課長? 私です。現在、地球全体の『宇宙への移転登記』を仮ホールドいたしました。明日から、宇宙規模の管理業務という名の大規模修繕を開始しますので、復職の申請を……」
「……お前はそのまま、宇宙の果てまでロストされてこい!!」
【リザルト:地球資産のホールド成功】
田所は「無職」から、一気に「地球暫定管理人」へと昇進しました。しかし、彼の給料は依然として「ロスト」したままです。




