沈黙の緑(盆栽)、あるいは不当占拠者の強制退去
前回のビールサーバー爆発事件の「原状回復」のため、佐藤課長は田所を連れ、山崎社長の自宅へ謝罪に訪れました。
其の一:一等地の「瑕疵」
山崎社長の広大な庭園。そこには社長が30年かけて手入れをしてきた、数千万円の価値があるという**伝説の五葉松(盆栽)**が鎮座していました。
「……いいか田所。黙って座ってろ。一言でも『ロスト』と言ったら、お前をこの庭に埋める(登記する)からな」
佐藤課長が必死に耳打ちする中、田所の瞳は盆栽を冷徹にスキャンしていました。
「(……いけない。この『樹木物件』、枝葉という名の居住者が無計画に増殖(増築)し、日照権という名のインフラを互いに侵害している。極めて管理不全な状態だ)」
其の二:独断の「大規模修繕」
山崎社長と佐藤課長が奥座敷で書面を確認している隙に、田所は「誠実さ」をフル稼働させました。
「社長、お待たせしまし……ひっ!!」
佐藤課長が戻ると、そこには**「完全な棒」**と化した盆栽、そして足元に積み上げられた数千万相当の枝葉の山がありました。
「山崎社長、ご安心ください。不当に密集していた枝葉(入居者)をすべて強制退去(剪定)し、通風性の良い『スケルトン物件』へと原状回復いたしました。これで資産価値の維持は完璧です」
其 三:契約解除(離職勧告)
「…………あ……あぁ……。俺の……俺の家宝が……ロストしたぁぁぁぁ!!」
山崎社長は卒倒。佐藤課長は、田所の首根っこを掴んで絶叫しました。
「田所ぉぉ!! お前はもう管理のプロじゃない! ただの**破壊神**だ!! 今すぐこの会社から自分自身をロストさせろ! 辞表を出せ!!」
「……課長。それは私という物件に対する『賃貸借契約の解約』ということでよろしいでしょうか。……承知いたしました。自己都合による退去手続きを開始します」




