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宿屋の娘は聖女と呼ばれ転生す  作者: 紅羽夜


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第80話「ヘルゥトス族」

 二週間ほど、何も起きることなく進行することができた。

 食料が無くなるので、食料確保のために一度止まるか相談していた所、謎の集落を発見した。

 それは小さな村のようだった。

 周囲を囲うように木製の柵が立てられ、中には家が無数に立ち並んでいる。

 畑も一部だけだが、見える。


「ご存じの魔族ですか?」

「知らんな」


 遠くから様子を窺う。


「ここから見えた奴は俺より弱そうだったぞ」

「そうですか……」


 最悪いきなり戦闘になったとして逃げきれれば良い。

 協議した結果集落に近寄ってみることにした。

 集落に近づくと、住んでいる魔族が一体気づき近寄ってきた。


「私はサラティス・ルワーナ・リステッドです。争う意思はありません」


 先制の一言。

 両手をあげ、害意がないよとアピールする。


「あら、ご丁寧な子ね。……ってまかさアナタ人間の子?」


 どうやら、いきなりの戦いはなさそうだった。


「はい」

「一旦アナタだけ来てちょうだい。魔族のお兄さんはここで待って」

「私は大丈夫ですが……」

「好きにしろ。攻撃されない限り、こちらも攻撃する意思はない」 

「そう。紳士的な魔族で安心したわ」


 サラティスは連れられ集落の中に。


「ごめんなさいね。いきなり連れ出しちゃって。私はニカルよ」

「ニカルさんですか」

「そう。ここはヘルゥトス族で作った村よ。あ、種族全員てわけじゃないわ」


 知らない魔族であった。

 見た目は人間と何ら違いはなさそうであった。


「一応こんな見た目でも魔族よ。まぁ、人間と違いは目に見えないから分かりずらいかもだけど」

「あ、すみません。じろじろ見てしまいました」

「いいのよ。ヘルゥトス族は人間でいう男であり女であるのよ」

「男であり、女でもある……」


 それはどういう意味であろうか。


「お父さんにも、お母さんにもなれるってことよ」

「なるほど」


 それは実に興味深い生態だ。


「ところで、あの魔族とどうして共に行動しているのか聞いてもいい?脅されたり、魔法で何かされてるなら、私の身体を指で小突いてちょうだい」


 サラティスは不幸なことにより、森に来てしまったこと。

 ちょっとした縁でディスサルと協力していることを話した。


「良かったわー。ごめんなさいね。こんな人間が来ない所で、魔族と人間の子供。誘拐とか何かだって思っちゃったわ」

「言われて見れば確かにそうですね。心配してくれて、ありがとうございます」


 実に良い魔族であった。

 これなら、仲良くできるだろう。


「あらー、実におりこうさんだこと」


 こうして二人はヘルゥトス族の集落にお邪魔することになった。


「私お金は持ってないですよ?」


 ありがたいことに、歓迎を受けることになった。


「もう、お金なんて要らないわよ。私達は暫く人間と交流はしてないし」

「そうだ。ガキが遠慮なんてすんな」 


 この村のリーダー的存在がニカルだそうだ。

 そして、隣にいるのが傷跡だらけの腕が特徴的な防衛の責任者リッター。

 この村は名前がないそうだ。


「そもそも、村のつもりもないのよ」


 初めはニカル、リッター、ワグ、メントの四人だったそうだ。

ワグ、メントの二人は森で暮らしている他魔族との交易で現在村には不在だそうだ。

 元々は森ではなく、抜けた先の魔族が暮らす国で生活をしていた。

 色々あり、この四人で森で生活するようになった。

 最初は家とも呼べない板の区切りに暮らし、植物を採り、魔獣を狩った。

 それが家になり、畑を耕すようになった。

 そして、何かしらの理由でここで生活を送りたいという物好きが増え、今では三十人ほどにまでなったそうだ。

 別に他の魔族とも断絶したりしていないらしい。

 あくまで静かに自分たちの好きに暮らしたいだけ。

 来るものは拒まず、嫌なら出ていけのスタンスである。


「美味しいです」

「あら、あまり凝った物じゃなくて申し訳ないけど、お口に合ったのならなによりよ」

「すごいですね。ここに来てどれくらいなんですか?」

「どれくらいかしら?」

「お前が知らないなら、知らん」

「たぶん、三十以上、六十未満じゃないかしら?」

「ほえー」


 ここはやはり魔族であった。見た目は人間なら三十前後にしか見えない。

 森の中で暮らしているのなら、月日が曖昧になるのは仕方ないが、あまりに開きがあるいい加減具合がまさにそうであった。


「しばらくうちに泊まってきなさいな」

「ありがとうございます。御手伝いできることあれば言ってください」

「あらー本当に良い子ね。大丈夫よ。労力なら、そっちのお兄さんから借りるから」

「俺は許可してないが」

「あら?確かにお兄さんは強そうだけど、この人数相手よ?」

「雑魚が群れようと変らん」

「……大事な物を守るためなら、私も手段は選ばないわよ?」

「……力仕事程度なら対価にやってらんこともない」

「そ、物分かりの良い顔の良いお兄さんは大好きよ」

「がががが、ニカルとやりあうなんて剛毅な奴だ。ほれ、飲め」


 リッターはディスサルの肩をばしばしと叩き、自家製の酒を注ぐ。

 サラティスは果実水を飲んでいる。 

 ニカルの家にサラティス。

 リッターの家にディスサルが泊まることになった。

お陰様で80話になりました。


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魔族と人で魔人がうまれる 異なる魔族同士は子供できるんかね?
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