第485話「試したいこと」
「す、すみません」
「いいですよ。きっと苦労されたんですよね」
「まぁ。ここに来るまでは多少……」
リステッドは大森林を挟んではいるが、魔族の国に一番近い国である。
国内でも比較的魔人の数が多く、セクドの方針もあり表だって魔族魔人差別はあまり見られない。
「あ」
サラティスは手をぽんと叩く。
「サラティス様?」
ハルティックはまた余計なことを思いついた主人を止めようとする。
「少し試したいことがあります。暫くモンデさんは石を砕いてください」
モンデは元よりそれが仕事なので少し、ぎこちなさそうに石を砕いていく。
ハルティックも一旦注視する。
「止めてください」
「……サラティス様、周りに被害が出るようであれば控えてください」
有能な使用人とは言葉にせずとも主人の意を汲むものだ。
「大丈夫です」
計算上では。
モンデはサラティスの言葉で手を止めていた。
「これだけ破片があれば十分でしょう」
サラティスが魔術を使った。
周囲に散った石の破片がぶるぶると震え出す。
モンデは慌てて首をきょろきょろと振り、周囲の様子を窺う。
決して、地面そのものが揺れてる訳ではない。
まるで誰かに会いたくて震えているように見える破片達は集め、塊にしていく。
「まるで針みたいだ」
モンデがぼそっと呟く。
次の瞬間慌ててサラティス、ハルティックを見る。
それは癖なのだろう。
様子を窺うが気にしてないようなのでほっとする。
サラティスは石の針を五本作る。
石の針の太さはサラティスの腕ほどはあり、先は尖っている。
「行きますよ」
サラティスが右手を上げると、石の針はすーっと宙に上がる。
「まずは突き刺す」
サラティスが手を下げると、それに習い針が凄まじい勢いで地面に目掛け突き刺さる。
「そして、揺らす」
五本の針はおおよそ等間隔で地面に突き刺さっている。
その五本の針はまるで演者のようにわざとらしく四方にお辞儀を繰り返す。
「……針が上下左右に動いてるだけに見えますが?」
ハルテックは暫く針の様子を注視していたが、特に変化が起きるようでもなさそうなので主人を確認する。
これは意図的なのか、失敗なのか確認する
「もう少しですかね」
『ガシャシャ』
針が再び欠片になり、地に舞い散る。
「あ」
「見事なもんで」
デボンスは感心しこくこくと頷く。
針が砕けた衝撃が引き金で、石の塗装も砕け針をなぞる様に亀裂ができていた。
「うーん。思ったよりは範囲は狭いですね……。あーでも、これ以上広くすると余計なとこまで亀裂が走る恐れもあり。針の威力そのものをちょっとあげるくらい?」




