第437話「優しく、手取り足取り」
「そうね」
「でも助けることができたら患者さんが皆感謝するかといったら、違うと思います」
「……」
「感謝しないのは別にいいと思いますが、中にはもっと早く治せ、痛かったなど治して貰っておいて文句を言う人だっています」
「……」
「だから何を言われても気にしないことが、大切なのかなと」
「確かにそうね。患者さんも全員が全員お行儀が良いかと言われたら、そうではないものね」
全ての言の葉を噛み砕き、意図を理解したカリナは優しく微笑む。
「本当は蕾ちゃん達全員に聞きたいのだけれど、時間の都合で次に行かせてもらうわね。回復魔術を選択した蕾ちゃん達は大きく分けて二つになるわ。この学年は例外があるのだけれどもね」
カリナはあからさまにフィーナに向けてウィンクをする。
「カリナ先生、私ですか?」
「ええ。王族の方で、フィーナちゃんは義務みたいなものですからね。それ以外の蕾ちゃん達は学園を卒業して、医者になるかならないかこの二つよ」
これは容易に理解ができる。
「長子じゃなくて家を継がない。医者になりたいから選択する蕾ちゃん。回復魔術が得意だから、他の科目に興味がないから。各々あると思うわ。そんな蕾ちゃんたちに最初に教えることは医者も二種類に分類されるってこと」
カリナは生徒を見渡す。
「王都や大きい病院などで働くタイプの医者ね。専門性が高く、例えば火傷を治す専門医とかね。こういった専門医は自分の興味のある、適性のある分野を極めていくの」
サラティスはそういのもあるのかとうんうんと頷く。
「もう片方は町や村などで、一人の医者が怪我など全般を見る全体医ね。一つの魔術を極めるのではなく、手広い知識が求められるわ。医者になりたい蕾ちゃんはどちらになりたいかをよく考えて授業に望んでちょうだい」
初めて習うのは擦過傷に対しての回復魔術。
しかし、サラティスは疑問に頭を傾げていた。
カリナの教え方は実に実用的で覚えやすい。
だがどうしても納得できない箇所があり、頭をひねるしかない。
「サラティスちゃん、どうしたのかしら?」
「質問があるのですがいいでしょうか?」
「ええ、もちろんよ。他の授業はともかくこの授業は人数も少ないから、疑問に思った段階で聞いてもらっていいわよ。優しく、手取り足取り教えてあげるわ」
「この魔力調整の記述が、どうして非効率になっているのでしょうか?」
ネイシャ教本という恥ずかしい物があるのを知っているし、時の歩みにより魔術が改良されているのも知っている。
だが、発達を進化とするのなら、退化するような物を魔術式に加えているのか。




