第434話「みんなで発展」
「あのね、サラくらいよ?魔術具を貰って喜ぶのは」
「そうなんですか?」
「一般的な贈り物は服や食品、宝飾品ですね」
どうやらこの場に味方はいないようだ。
「そういえばサラちゃん……」
エステリアは自分の机の引き出しを開け、紙の束を取りだす。
厚さから察するに十枚前後はありそうだ。
「本当にありがとうございました」
「あ、ご丁寧にありがとうございます。美髪器の感想ですね」
フィーナがちょこんとサラティスの横に体を近づけ、一緒に報告書を見る。
「すごいですね」
「そうね。サラ、捲るの早すぎ」
「あ、ごめんなさい」
紙を戻す。
紙にはエステリアが使用した感想、良いと思った点、改修されたら嬉しい点が書いてあった。
それだけではない。
改修点を具体的にどう改修するかなども記載されてあり、かなり有意義な報告書である。
「この他店の動向って何ですか?」
サラティスは気になる箇所を見つけた。
「どうせ模倣品を売ってるんじゃないの?魔術具の模造品は詳しい人が見ないと違いが分からない場合もあって取締が大変だって聞いたわよ」
「それもあると思いますが、最近装飾屋さんがあちこちでできて人気だそうです」
「あー柄を付けたり、家紋を入れたりですか?」
草刈り機で既にやっており、美髪器もそういったこともしたいのだがあまりに売れすぎで作ることだけで精一杯。装飾にまで手が回らないのが現状だ。
「それだけじゃないんです。持ち手を取り換えて装飾を加えたり、持ちやすいようにしたりなど色々とありますね」
「なるほど、サービスをメインですか」
それだけ美髪器から美味なる匂いがするのだろう。
実際鼻がよくなくとも、国内の最新流行なので便乗しようと考えるのはおかしくない。
「サラちゃんは嫌じゃないのですか?」
「嫌とは?」
「そういったサービス店は結局便乗商法じゃないですか」
「あーなるほど」
サラティスは頷く。
「悪質な偽造や劣化品を売るようなのは嫌ですよ。でもそうじゃないのなら、自由だと思いますし感謝してますよ」
「感謝ですか?」
「はい。だって、それだけ美髪器が人気な証拠ですし、なによりさらに発展するかもしれないじゃないですか」
「発展……」
「そうですね。それはそれは最高に疲れが取れて食事も最高な宿があったとしましょう。行ってみたいですか?」
「そのような宿でしたら行ってみたいですね」
「しかしその宿に行くには山や谷険しい道のりで、魔獣に襲われることもあります。何より、近場の村から歩いて一週間以上。果たしてその宿は人気が出るでしょうか?」




