第433話「所謂貴族の処世術」
「エスちゃん。魚は新鮮じゃないと危ないので分かります。お肉はどうなんです?貴族はお肉食べる時やはり、内臓系は食べないんですか?」
当然ながら生を食べるなどはしないが、焼いて食べると美味いのも多い。
ダヴァンが作った特製ソースをかけ焼くとたまらないのだ。
「基本的に避けると聞きますね。お肉屋さんが貴族に卸して、余った内臓系をお店で安価で売るのをよく見かけますよ」
「なるほどー」
「サラはよく食べるの?」
「うちはお肉はそうですね。魔獣駆除などで森の中で夜を過ごさないとだめな時にとかで、調理の仕方や食べれる所、食べれない所など教わりましたね。簡単な調理ならお父様もできますよ」
「あーなるほどね」
二人はうんうんと頷く。
そして唐突に何かを思い出しかのように、エステリアははっとした顔でサラティスを見た。
「は、サラちゃん。実は父から手紙が届いたのですが……」
「エスちゃんのお父様からですか。何でしょう」
この時期に手紙とは予想ができない。
さすがに抗議ではないだろう。
「前にサラちゃんが水魔術の研究をしてると手紙に書いたのですが、変った魔術具を見つけたから宜しければサラちゃんにお譲りしたいと」
「へ?」
嬉しいと戸惑いの抱擁。
「学祭の研究発表で最優秀に選ばれたじゃないですか。その事を父はとてもサラちゃんに感謝しており、それでよかったらどうぞとのことです」
「そ、そうですか」
実験を手伝ってもらったのでそんな贈り物は不要なのだが。
「サラ、問題なければ受け取っておきなさい。どうせ手伝って貰ったから別にいらないですよ。とか考えてるんでしょ」
「なっ」
「どうして分かったのか。分かるに決まってるでしょ。いい?サラ相手は平民の商人よ。理由もない贈答品は受け取らなくていいけど、それなりに理由がきちんとしている贈答品を受け取らないと、相手の商人に何か問題があると判断したと、周りに受け取られるわよ?」
「うへー」
出た出た。
サラティスは顔を顰めた。
所謂貴族の処世術であろうが、どうしてこうも面倒極まりないのだろうか。
「なら、ありがたく受け取っておきます」
サラティスはフィーナを見る。
「私?私は貰わないわよ」
「何でですか?」
「私は王族よ?気軽に贈れないし、受け取れないわよ」
「あー複雑な審査を経ないとダメなんでしたっけ?」
確か前に献上について聞いたことがあった。
献上がそこまで複雑なのだ、贈答も同じであろう。
「お、畏れ多いですよ」
エステリアは首をぶんぶんと振る。




