第382話「実演です」
「では、実演に移りましょう。少々お待ちくださいね」
次の瞬間、空中に土の塊が現れた。
土の塊は四角く、まるで木の板を模したかのようであった。
ウォールダは後ろを向く。
「ちょっとまった」
「生憎現在この部屋は使用中なので控えてください」
「おい、別にいいだろうがよ」
「あ、ススさんお久しぶりです」
「ああ、久しぶりだな」
勝手に入ってきたのはスフィルトゥクスススであった。
「ウォル、面白ぇこと隠すとはどういうこった」
「はぁ……これは業務なので。面白いか面白くないかでやっていませんから。そもそも、どうしてここに?」
どうやらスフィルトゥクスススは知らずにやってきたようだ。
「お前に用があって聞いたら審査してるっていうからよ」
「……普段は顔を出さないのにどういう風の吹き回しですか」
「そりゃ、お前が直々に審査するなんざぁそうそうないじゃねーか」
「はぁ。サラティスさん申し訳ありません。あれでも一応部長ですので」
「はい、あの土の板に撃てばいいのですか?」
「ええ。お願いします。いいですか部長、くれぐれも邪魔をしないように。口を出さないように。魔術の発動中に魔術師の気を逸らさないように。魔術の前に割り込まないうに」
ずいぶんと長々しい注意である。
「ではいきますよ」
サラティスは光孔を使った。
『カラン』
同じであった。
サラティスの手元に光の円柱が出現し土の板を貫通した。
土の板はぶつかった衝撃で、ふっとびそのまま地に落下した。
「……なるほど」
土の板は再度、宙に浮かびウォールダの手元に移動した。
手元の板をウォールダは注意深く観察する。
「嬢ちゃん、こっちに撃ってくれ」
『トン』
次の瞬間三メルはあるだろうか、巨大な土の壁が現れた。
サラティスが確認すると厚さもサラティスの拳より厚みがあり、見ただけで頑丈さが分かる。
「行きますよ」
サラティスは土壁から距離を取り光孔を撃った。
『ドン』
「お、これだと止めれるか」
光の円柱は厚みのある土を穿り、再度景色を見ることは適わなかった。
凡そ半分ほどへこみ、光が触れた面は焦げ固くなっていた。
「さすがにこの厚さは無理のようですね」
サラティスはほっとした。
ただでさえ想像より威力が出ていたのである。
「……サラティスさん、注意してください」
ウォールダが真剣な眼差しでサラティスに言葉をかける。
鼻が見えるので正面の瞳でサラティスを見ていた。
「この土は部長が拵えたのでこの硬度になっています。サラティスさんの身近でいうと学生や教員の魔術程度では容易く貫くと思います」
「嬢ちゃん」
『トン』
土壁の穴は一瞬でなかった事になった。
「今の全力じゃないだろ?」
「部長……」
ウォールダは首を振る。




