第379話「想定外です」
「正直、想像の数倍威力がありました。私の想像では魔獣の肉を貫通、大型の魔獣の骨などは貫けないくらいかと思ってました」
「大型の魔獣の種によるだろうが、大半は骨すら貫通するであろな」
「はい。しかもこの魔術式は光柱を理解しているのであれば、簡単なので比較的誰でも容易く使えちゃいます」
「見せてもらった魔術式から察するに、確かに式自体は初級であろう。だが実際の消費魔力や魔力操作の観点を加味すると、この魔術は中級であろう」
「危ないですよ。なので、私が登録したら誰でも見れるじゃないですか」
攻撃魔術は技術と知識よりも何より倫理が大切だと思っている。
あれはルリレッタとまだ出会っておらず、レクスルと二人で旅をしていた頃である。
氷魔術を覚え旅事情に大きく改革が齎された。
ある村に数日間泊まった時である。
物資を整えるのと、泊まっている間に村で困りごとを解決し金を稼ぐのが目的であった。
金を稼ぐといっても大金ではないし、時には金ではなく物資などもあった。
村の子供に乞われ氷魔術を教えた。
事件は秋風の如く起きた。
教えた子供の一人がイタズラで氷魔術を使った。
当人は友達を転ばそうとしたという至って軽い気持ちであった。
運が悪く結果的に魔術を受けた子供は足の指二本を失った。
教える側という立場、気持ち、必要なことを知った。
「サラティス君は魔術協会南支部副局長殿から聞いてないのかね?」
「はい。色々お世話になってますよ。魔術式や、魔術具に関して説明してもらいました」
「なるほどな。実利の部分のみか」
「他にあるんですか?」
「ある。三人共協会員なので忘れないように」
三人共頷く。
「サラティス君の思想は非常に大切だ。これを理解できない、持たざる者は魔術師と名乗る資格はないと思っている。授業ではさんざん魔術を使う時に心構えを教えている。諸君らも新しい魔術を作ろうと試行錯誤しその一端に触れた」
「?」
二人は静かに言葉を飲み込む。
「二人は教員と教師の違いについて説明できるか?」
「……組織に雇われているか、個人に雇われているかかしら?」
「正解だが、本質ではない」
「あ、前に仰られていましたが、生徒を一定レベルに育てるか、満足いくかまで育てるかでしょうか?」
「そうだ。その中で、魔術や関連知識を伝授する教師。何か新しい魔術を開発する魔術師。この二つは自身の知識を公開、伝授するという点で同じである。エステリア君が貴族の家庭教師を頼まれたとしよう」
言葉が線を描き、色を付け、未来を映す。
親は良かれと、子を託す。
才を伸ばしてくれとエステリアにオーダーする。
親の想像通りに子供が魔術を習得すれば良し。
だが、残念な事にその子供は魔術の才に溢れてると言い難い。




