第377話「実験してみましょう」
訓練室の利用時間は決まっている。
時間外ということもあって、四人以外いないとやけに広く感じる。
「チュース先生、ありがとうございます」
「これも業務の一つである。いいか、フィーナ君とエステリア君は決してサラティスくんの前に出ないように」
「では、お二人まずお願いします」
「『立ちなさい』」
「『塞がって』」
フィーナとエステリアが魔術を使う。
土が隆起し壁が作られる。
「念には念をだな」
二人の土壁の後ろにチュースが五枚程分厚い土壁を作った。
「ありがとうございます。では、木の板を置いてと」
サラティスも土で台を作り木の板を置く。
三人はサラティスの後方、距離を取り見守る。
「行きますよ!」
『ドン』
『ガラ、ズドン』
「なっ」
「ひっ」
「すごっ」
サラティスの手元に手の半分ほどの小さな光の円柱が現れ、木の板目掛けて撃ちだされた。
三人も確かにサラティスの手元に光の円柱が現れたのは目視できた。
だが、軌道を視認することがきなかった。
光の円柱が現れたと思った次の瞬間、大きな音が響いた。
そして三人が作った土壁が割れ崩れ落ち、地面にぶつかり存在を主張した。
「あれでこれほどの威力とは……風魔術の上級の凪絶よりあるであろうに」
「大変なことですね。これ」
驚愕。
土壁は六枚ほど割れ、最後の一枚は罅が入り、何とか壁として存在しているまでにする威力。
視認するのが困難な程で、恐らく雷魔術より速度が出ている。
そして、風魔術より静かである。
サラティスは威力の余り台から地に舞い降りた木の板を拾って様子を確認する。
後ろの三人も近寄ってきた。
「サラ、それが穴ってことは完全に貫通したのね」
「サラちゃん、穴なんですが真っ黒になってますよ?」
「恐らくそれは熱によって水分が飛び、焦げたのだろう。あまりに火力があるため炭化していると思われる」
三人の口から出た通りだ。
木の板は丸い丸い穴が開いていた。
そして穴の表面は黒く炭化しており、鼻を近づけると木の焦げた匂いが微かに鼻孔を撫でる。
周囲に木片がないことを考えると、完全に焼き切って円柱が木の板を駆け巡ったのだろう。
さらに恐ろしいのは貫通力だ。
木の板を貫通し、計六枚の土壁を貫通した。
最後の一枚の土壁の痕から推察すると、土壁を通過する度に円柱の大きさが大きくなっていったようだ。
「サラちゃん。どうして大きくなっていったのでしょうか?徐々に小さくなると思うのですが……」
「ぶつかった衝撃で制御が甘くなって膨張したのかと」
「サラティス君」
「はい?」
「君はあのサイズになったのではなく、したのかね?」
「はい。魔獣によって体毛、鱗などで威力が落ちるのでそれを考慮してある程度圧縮しました。あ、暴発しない程度に抑えてますよ?」




